映画とライフデザイン

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映画「ドッグマン」リュックベッソン&ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

2024-09-08 18:00:59 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ドッグマン」は2024年公開のフランスの巨匠リュックベッソン監督作品だ。大好きなリュックベッソン監督作品なのに公開時に行けなかった。ポスターの女装の雰囲気に違和感を感じたからかもしれない。それでもAmazonプライムのラインナップに入ってきて思わず気になる。

以前2019年に同名の「ドッグマン」があり、マルチェロ・フォンテがカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞する名演技だった。2019年度で個人的に上位に推す映画で、いじめられっ子の復讐というストーリーでスカッとした後味を残した。ストーリーはまったく違うが、主人公が虐待を受けた経験があることは共通する。


ある夜、警察に止められた一台のトラックに負傷した女装の男と荷台に十数匹の犬がいた。精神科医のデッカー(ジョージョー・T・ギッブス)は、女装の被疑者ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)と拘置所で面談する。通称「ドッグマン」に対してデッカーは現状のダグラスを知るために生い立ちを聞き出す。


少年時代のダグラスは闘犬を生業にしている強いDVの父親に逆らい犬小屋にしばらく監禁される。そして母親は逃げていく。父が放った銃弾で倒れている時に犬に助けられ警察に保護される。しかし、脊椎を痛め歩行不能になってしまう。養護施設に預けられた時に世話をしてくれる俳優希望の女性に憧れるが、離れ離れになる。そして、再度犬と暮らすようになる。

リュックベッソン監督が投げる鋭い変化球。
一緒に暮らす犬と心を通じ合いながら犬に助けられて生きていくドッグマンの人生をたどっていく。現実離れしている犬たちの活躍があっても不自然に感じない。ダメ元で見たのに気がつくと一気に最後まで観てしまう。さすがリュックベッソンだけに波瀾万丈の人生の中に見どころをいくつもつくる。犬たちの名演技に感心する。

⒈リュックベッソンのスピード感
緊張感あふれる「レオン」を経て、「トランスポーター」「TAXI」などのスピード感あふれるアクションを90分で簡潔にまとめていく作風が好きだった。今回はそのぶっ飛ばしていくようなスピード感はない。でも、自らが足の悪いドッグマンの代わりに、意思の通じる犬に悪さをさせたり、ドッグマンを痛めつけようとする悪党に対して犬がやっつけるところにスカッと楽しめる部分を感じる。


⒉少年期の虐待と異常な家族
ドッグマンことダグラスの父親は闘犬を仕事にしているのに犬が好きでない。兄も父親の加勢をしていてまともではない。母親はダグラス寄りでも、時おり父親から強い暴力を受ける。最低なオヤジだ。犬をかばったダグラスを犬がたくさんいる犬小屋に閉じ込めてしまう。犬たちはダグラスになつくが、汚い服を着さされたままだ。母親もかばいきれずに逃げ出す。また、犬のことで父親に逆らうと銃でダグラスの指を撃つ

結局、撃たれてとれたダグラスの指の入った袋を犬がパトカーまで運ぶ。驚いた警官を犬が誘導してダグラスの家まで行き、父と兄は逮捕されてようやく保護されるのだ。こんな感じで犬が窮地を救う場面がいくつもでる。犬に人間同様の知恵を与える。

⒊犬の名演技
出演している犬を巧みに飼育する人がいるのであろう。まるで人間の心がわかるように犬が動くシーンが多い。それぞれのショットで犬を誘導しているのであろうが、これは容易ではない。カメラも絶好の瞬間をとらえる。常にダグラスは犬に助けられている。犬に悪さもさせる。ギャングも怖くない。

金持ちの豪邸の居室にある貴金属が次から次に強盗にあう。監視カメラには人が映っていない。保険会社に盗難の届出があって一体どうしたのだろうと調べると、それぞれの防犯カメラに犬が短時間映っている。保険会社がその飼い主ダグラスを追うが、犬に返り討ちに遭う。なんて話が続いていく。ギャングの親分のチ◯コを噛むシーンに笑う。発想がおもしろい。


⒋女装になっての変貌
最初に出てきた時に女装だ。男色系のゲイの話かと勘違いしてしまうが違う。少年時代から犬好きでも、むしろ女性にあこがれるくらいだ。仕事がなくなった時に、職探しでようやく見つけた男装女性のショーをやるクラブになんとか入れてくれと頼み断られる。見るにみかねたオカマの女性たちに助けられてようやく入店。


そこでエディットピアフを真似したシャンソンを堂々と披露して喝采をうけるシーンは中盤すぎの見どころだ。思わずうなる。それでオカマクラブのレギュラーになるのだ。さすがリュックベッソンだけに英語主体の作品でもフランス流の見どころも残す。

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演と犬たちの名演技が光る。
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