映画とライフデザイン

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映画「TATAMI」

2025-03-04 20:10:29 | 映画(アジア)
映画「TATAMI」を映画館で観てきました。
映画「TATAMI」イランの女子柔道選手がイスラエルとの関係で試合出場を辞退させられることでの葛藤を描くモノクロ作品。イラン出身女優ザーラ・アミールとイスラエル出身のガイ・ナッティヴが共同演出する。ザーラ・アミール主演「聖地には蜘蛛が巣を張る」は観ている。先日もイラン映画「聖なるイチジクの種」を観たが、いずれも本国未公開だ。秘密裏に撮影に参加したイラン出身者は全員亡命したようだ。
 
2019年日本での世界柔道選手権で、イスラエル選手との対戦を辞退せよと指示を受けたイランの男性選手が反発した事件が元ネタになっている。結局ドイツへ亡命して東京オリンピックではモンゴル代表で銀メダルをとった。自分は高校の時に柔道をやっているので、柔道着姿のポスターには引き寄せられて映画館に向かう。
 
ジョージアで開催中の女子世界柔道選手権。イラン代表のレイラ・ホセイニ(アリエンヌ・マンディ)は順調に勝ち進む。ところが、イラン政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避ける指示が来て、ガンバリ監督(ザーラ・アミール)は棄権を命じる。レイラは抵抗するが受け入れられない。自虐的にひたいにケガをして棄権も考える。
 
しかし、試合に出ると強行する。ケガを見て国際柔道協会も注目する。一方で本国では人質に取られた家族に危険が及んでいるのがスマホを通じてわかる。レイラは葛藤に悩む。
主人公の熱演が光っても期待したほどではなかった。
モノクロ映画だ。主人公レイラが闘う柔道の試合のシーンを手持ちカメラが追う。ブレるカメラでスピード感が加わる。負けそうになっても常に逆転する試合展開には手に汗を握る人もいるだろう。本国の家族や夫をイラン当局が拘束する中で、このまま試合を続けるとレイラがどうなってしまうのかの緊張感もある。試合をするなと訴える監督と主人公の葛藤が映画の見どころだ。
柔道をやっていた自分からすると、試合のシーンが長すぎるので技に粗が見えてしまう印象をもつ。ただ、柔道はお互いに全身の力を投入して組み手するので稽古であっても3分以上になるとむちゃくちゃ疲れる。映画で闘った両者ともフラフラだろう。レイラが自虐的に鏡にオデコを打ってケガするのは本気でやったのであろうか?本気だったらすごい。
 
柔道技や審判の指示はもちろん日本語で馴染みのある言葉だ。それなのに柔道が題材でも日本人は出てこない。秘密裏での撮影なので仕方ないと思うけど残念。初めて知ったことであるが、イラン政府は国際的なイベントでイラン人とイスラエル人が対面しないように指図してきたらしい。さすがの北朝鮮も過去には同じような動きをしてきても直近ではないのではないか。
 
個人の自由が奪われるイランの惨状をいくつかの映画で観てきた。確かにやりすぎだと感じる。イランに言論の自由はない。最終的な他国への亡命の決断は正しい。柔道人口が減っているのにヒジャブをつけて試合をするイスラム系の彼女たちには柔道人として敬意を表する。今後どうなるんだろうかと気になる。
コメント
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