映画「石門」を映画館で観てきました。
映画「石門」は中国映画、望まぬ妊娠をした女子大学生をクローズアップさせる。監督は湖南省出身のホアン・ジーと日本の大塚竜治だ。ロッテントマトで絶賛という評判と現代中国が垣間見れそうという期待に映画館に向かう。いつもながら中国映画は人気がない。あまりに閑散の映画館に驚く。恋人と別れる20歳の女子大生がそのまま産んで、医療事故による親の賠償金代わりに提供するという日本ではありえない話だ。
中国湖南省の長沙市。バイトでお金を稼ぎながら、客室乗務員目指して勉強に励むリン(ヤオ・ホングイ)。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を追及され賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠一ヶ月であることを知る。お腹の子の父親と別れたばかりのリンは子供を持つことも中絶することも望まない。彼女は両親を助けるため賠償金の代わりに 生まれてくる子供を提供することを決心するのだが…。(作品情報 引用)
編集が下手で緩慢な映画になってしまい期待ハズレだった。
現代中国の裏側を垣間見ることができたのは良かった。上映時間が長いのはわかって観に行ったが、各シーンがムダだらけである。妙に長回しする意味がない。時間を消耗するだけの映画になってしまった。作っている映画人の自己満足にしか見えなかった。宣伝のロッテントマトの評価は自分には信じ難い。でも懐妊した女性の微妙な心理状態を演じきった主演のヤオ・ホングイと両親の演技は好演と感じる。
舞台となる長沙市には行ったことがない。内陸にある1000万都市だ。作品情報では親が診療所を営むとなっていても、父親は薬剤師のようだ。母親はマルチ商法で活力クリームを売るのに狂っている。死産による多額の賠償金というが、完全な過失なのであろうか?裁判の形跡はなく一方的に賠償金を支払う設定もよくわからない。両親が娘の妊娠を知り、産まれた子を賠償金がわりにする設定が日本ではありえない設定なので映画が終わるまで腑に落ちない。
昨年観た杭州市が舞台の「西湖畔に生きる」では、マルチ商法で一攫千金を目指す詐欺集団を取り上げていた。ここでも主人公の母親が「活力クリーム」を売りまくって、幹部になって下に売らせる立場になろうと躍起になるシーンが出てくる。儲けたお金を賠償金の支払いに充当するわけだ。日本では昭和の頃ほどマルチ商法による社会問題はなくなった気がする。逆に現代中国ではこういう詐欺が横行しているのであろうか?
人身売買的な話もある。金になるバイトを探している主人公は中国辺境のウイグルから長沙に来ている若い女の子に代理母親になるような裏取引に関与する。映画を作る側からの現代中国の悪い側面を露わにする意図を感じたが、中途半端な印象を受ける。いつも中国映画の最初に出てくる軍服を着た兵士が映る当局承認のテロップはなかった。