映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ラヴィ・ド・ボエーム  アキ・カウリマスキ

2012-10-07 10:35:11 | 映画(洋画 99年以前)
映画「ラヴィ・ド・ボエーム」を劇場で見た。
フィンランドの巨匠アキ・カウリマスキ監督の1992年の作品だ。フィンランドでなくフランスが舞台でフランス語が主体である。新作「ルアーブルの靴磨き」と同じだ。

2000年以降の作品はレンタルで見られるが、この作品はレンタルではおいていない。渋谷ユーロスペースでときおりやっているアキ・カウリマスキの特集だ。
フィルムは古い。しかも、白い字幕の文字が「裏の映像が白っぽい時」は見づらくなっている。最悪の上映条件だ。デジタル化になっていないのであろう。こういうのが好きな人もいるだろうが、字幕が見れないと大意がつかみづらくなるので嫌だ。どちらかというとヨーロッパ系の映画で同じようなことがある。この間も「キリマンジャロの雪」が最悪の字幕だった。配給時にきっと手を抜いているのか?むかつく!
他のアキ・カウリマスキ見ようと思ったけどやめた。

芸術家の町、パリ。作家のマルセル(アンドレ・ヴィルムス)は家賃不払いのためアパルトマンを追い出され、途方に暮れて入ったレストランでロドルフォ(マッティ・ペロンパー)というアルバニアからやって来た画家に出会い、意気投合する。芸術談議に花が咲いた2人はそのままマルセルのアパルトマンへ戻るが、そこには既に次の住人、音楽家のショナール(カリ・ヴァーナネン)がいた。かくして3人の生活が始まった。やがてマルセルは新聞王ガソット(サミュエル・フラー)をだまして雑誌編集の仕事を手に入れ、ロドルフォにも肖像画を依頼してきた資産家のブランシュロン(ジャン・ピエール・レオー)というパトロンが見つかった。さらにロドルフォは隣室の友人を訪ねてきた女性ミミ(イヴリヌ・ディディ)と知り合い、2人の間に恋が芽生える。
上向きになると思ったところで画家の不法滞在がばれる。強制送還されてしまうのであるが。。。

いつもながら朴訥な登場人物、セリフを極度に少なくしてその無表情さの中のわずかな動きで観客に何かを感じさせる手法は見事だと思う。いつもながらアキ監督は登場人物を徹底的にいじめる。次から次へとトラブルが起きる。その構図の原型を感じる。
傑作と言われているが、最近の作品と比較するとそうかな?と思う。映像条件の悪さがその思いを強くさせる。でもこういう作品をつくり続けてきたから今のアキ・カウリマスキがあると思えばいいのであろう。新作「ルアーブルの靴磨き」の完成度が高いのでなおさらそう感じた。最初に新作を見た後で、この作品を見たら、正反対の方向性にベクトルが向いていたのでなるほどと思った。

最後に「雪の降る街を」の歌が日本語で出てきたのにはびっくりだ。
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麒麟の翼  阿部寛

2012-10-07 09:25:23 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「麒麟の翼」は今年公開された東野圭吾原作のミステリーの映画化だ。
原作は読んでいない。
阿部寛の安定感ある演技がよく、傑作というわけではないが飽きずに見ていられる。

東京・日本橋で男性が殺害される事件が発生。
被害者はカネセキ金属の製造本部長である青柳武明(中井貴一)だった。腹部を刺されたまま歩き続けた後に、日本橋の翼のある麒麟像の下で力尽きていた。

同時に一人の青年を映す。八島冬樹(三浦貴大)は恋人に動揺しながら日本橋付近から電話していた。そんなときに警察から職務質問される。うろたえて現場から逃亡しようとしたところを車に轢かれて意識不明の重体となった。

報せを聞いた八島の恋人、中原香織(新垣結衣)は、彼が殺人事件の容疑者となっていることを知る。そして、無実を訴える。

この難事件の捜査にあたるのは、日本橋署の刑事、加賀恭一郎(阿部寛)だ。
警視庁捜査一課の若手(溝端淳平)の調べで八島は以前殺された青柳の会社で派遣社員として勤めていたことがわかる。しかも、仕事中にけがをしたが労災として処理していないようだ。それ自体が青柳の責任ということになり、殺された青柳に一気に責任が追いかぶさり、事件は労災絡みの殺人ということになりそうだった。しかし、念入りな聞き込みをする加賀刑事は別の線を読んでいたが。。。

当初の30分強で犯人が絞られていく様相となるが、そんな単純にはいかない。伏線を張りながらも被害者、容疑者それぞれの家族関係から話を広げて結論に持っていく。話自体は面白い。
洋画で観客に与える事実を最小限にして途中から誰かの独白で話をあらわにするパターンがある。その場合には途中まで何が何だかよくわからない時もある。ここでは少しづつ事実をあらわにして、丁寧に話を持っていくのでわかりやすい。
阿部寛はいつもながらうまい。昔ただのモデルだったとは誰にも思わせないうまさがある。
阿部の出ている映画にはずれはない。

中井貴一もいい。主役をつとめることもあるが、どちらかというと脇役が多くなった。正統派二枚目だけに逆にその方がいいのかもしれない。だだ単に殺されるだけでない役をうまくこなしたと思う。
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