映画とライフデザイン

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捜査官X 金城武

2012-10-25 22:08:11 | 映画(アジア)
映画「捜査官X」は推理物の要素をもった中国武侠映画である。

ピーターチャン監督は香港映画の傑作「ラブソング」で素晴らしいラブストーリーをつくってくれたが、ここでは金城武が「金田一耕介」系の捜査官役で新境地を見せる。

時代設定は1917年だ。
山奥の村に突如2人の強盗が現れる。2人は両替商に押し入り、金を要求する。うろたえる両替商夫妻だ。そこに偶然居合わせた紙職人主人公リウジンシー(ドニー・イェン)は、自身の身を守るために必死で応戦する。そして犯人たちを殺してしまう。殺された二人は指名手配中の凶悪犯だった。正当防衛であった上、犯人を殺したという事で、ジンシーは一躍村の注目を浴びる。
そこに捜査官シュウ(金城武)が現れる。普通の身なりをしたジンシーが凶悪犯の2人を殺した事に疑問を持ち調査を始める。もともと妻(タン・ウェイ)と幼い子供2人と普通の家庭を営む普通の男だ。聞き込みと状況調査でジンシーの過去を探り当てていく。

村の英雄となったジンシーを追う捜査官に対して村の面々は白い目で見るが。。。

サスペンス物かと思ったら、途中から武侠映画の色彩が強くなる。中国題はまさしく「武侠」だ。
主人公は最初怖い相手にオドオド対処している。強そうに見えない。でもうまくしのぐ。映像のカンフーアクションが途中から一気にレベルを増す。自分は知らない俳優だが、往年のカンフー俳優2人が凄い動きを見せる。


時代は1917年というと辛亥革命のあとだ。無政府状態と言っていいだろう。その時代の田舎だ。出演者の髪も辮髪のような頭をした人間が多く、アヘンをたしなんでいる姿が映し出される。この映画では中国風の身体の弱点「ツボ」などの概念が出てくる。西洋風医学の概念なんて当然のごとくないだろう。相手の頭脳を破壊する「ツボ」を叩き一気に殺す。足の裏の「ツボ」や胸の「ツボ」の話が出てきて面白い。

捜査官が村で家族をもったリウジンシーを残してあげようと、いったんリウを仮死状態にして死んだふりをさせるシーンも面白い。これって「ロミオとジュリエット」のジュリエットの仮死状態の話と似たようなものだ。仮死状態でいられるのは限界で15分、それを超えると本当の死に至るという設定だ。ところが、リウを迎えに来た仲間が彼が死んだのを見て、独特の弔いを始める。あわてる捜査官だ。15分たってしまう。その場面も見モノだ。


ピーターチャン監督というと96年の「ラブソング」だ。この映画は中国風「君の名は」の色彩を強くする。2人が双曲線を描くように近づくようで、なかなかくっつかない。現代中国映画と比較すると映像的にはシンプルだが、レオンライ、マギーチャンの人気俳優の2人の演技とカメラ捌きのうまさが光る作品だ。
今回は全く違う。チャンイーモア、アンリーと中国映画の巨匠はカンフー映画でその地位をしっかり固めた。ピーターチャンも同様の展開を見せる。対決する2人の格闘を追うだけでない。2次元を超えて、3次元の空間をしっかりとらえる。ここでも空間の全容をとらえるのが見事だ。


あとはタン・ウェイ嬢だ。「ラブコーション」でのトニーレオンとの激しいラブシーンと違い、ここでは少女のような表情を見せる。この顔見たことあるなと思いながら、どこかの子役だと思っていた。彼女と知り信じられなかった。
コメント
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