映画とライフデザイン

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映画「アルゴ」 ベン・アフレック

2012-10-31 19:41:03 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「アルゴ」を劇場で見た。
ベンアフレックが自らメガホンをとり実話の回想をリアルに描く。スリリングだ。
ベンアフレックもイーストウッドのようになるのかな?と予感させる快作だ。

イランがホメイニ師の配下となった後、アメリカ大使館が襲撃を受ける。その時、間一髪逃げ出して、カナダの大使館員宅に潜んでいた6人をCIAが救出する実話に基づく。何しろその作戦が「ニセ映画」を企てて、イラン人の厳重な警備を欺くというわけだから興味深い。
ベンアフレック以外はそんなに有名な俳優は出ていないが、これは面白い。

まずは歴史的背景が語られる。
ペルシャ帝国だったエリアをイランと呼ぶようになった。パーレビ国王が実権を握ると、石油の利権を自分が牛耳り好き勝手にしていた。それに対してのシーア派の反発が強く、ホメイニ師による勢力がイランの政権を握る。1979年パーレビ前国王はアメリカに亡命した。
アメリカに対して、イラン国民は前国王を引き渡すように強く要求していた。デモの軍団がアメリカ大使館の前で暴れるうちに、大使館内に乱入する。アメリカ大使館員は警察を呼ぶがくる気配はない。自衛の軍隊による抵抗は催涙弾のみだ。そしてデモ隊は建物の中へ乱入する。その中で6人の大使館員が秘密の出入り口から脱出する。脱出先はカナダ大使館員宅だ。密かにかくまってもらう。
アメリカ国内では人質問題で大騒ぎになった。当時のカーター大統領はなかなか問題の打開策を打ち出せない。大統領選を控えてイライラしていた。そんな時、CIAで密かにイラン大使館員脱出作戦が練られていた。外国語学校の教師のふりして救出とかいろんな作戦が検討された。

しかし、人質救出のプロである主人公(ベン・アフレック)はテレビで映画「猿の惑星」が上映されているのを見て、映画のクルーのふりをしてイランに入国して、潜んでいる大使館員を救出する作戦を思いつく。上司に提案するが、周りから反対を受ける。それでも行動派の主人公はロスに飛び、旧知のハリウッドの映画スタッフと組み、架空の映画「アルゴ」の製作にあたろうとする。「アルゴ」はSF映画の脚本だ。イランの砂漠でロケをする設定だ。マスコミにも記事にしてもらうために、記者会見まで開いてまわりを欺く。

主人公は周到に準備し、隣国トルコのイスタンブールに入る。映画の製作者だと偽り、そこでビザを取る。そしてテヘランに入国した。そこではいきなり映画等を所轄する文化系の官庁へ向かい、映画製作の主旨を説明する。アリバイ作りだ。理解を得てから、カナダ大使館員宅に入って6人のアメリカ大使館員に会う。ところが、彼らは脱出のために来た主人公のことを信用しないのであるが。。。。


前作「タウン」とは違い、激しい銃撃戦やカーチェイスがあるわけではない。末梢神経に響く様なシーンもそんなにはない。実話に基づく分普通のスパイ映画のような激しいシーンはないが、ドキドキさせられる。脱出作戦に対しても、政府やCIAの中でも意見が交錯しているわけだから最後の最後まで着手できるかわからない状態だ。それぞれの葛藤の描写はしっかりしている。

印象に残ったのは、イラン人が大使館に乱入しようとしたときに、懸命に大使館員たちが証拠隠滅で様々な書類をシュレッターにかけていた姿だ。今の機械のように紙が粉々にはならないから、あとで乱入した連中が懸命にシュレッターした内容を調べようとしている姿が映る。いずれにせよ、機密情報のシュレッター処理の重要性がよくわかる。

いわゆる第2次石油ショック騒ぎのころだ。当時日本ではイランの政変で三井物産の石油プロジェクトが大変なことになったと大騒ぎだった。大学生だった自分のまわりでもこの話題でもちきりだった。しかもすぐ後にソ連のアフガニスタン侵攻があった。今と違いソ連に対する恐怖意識が強かった。結局モスクワオリンピックには不参加となる。それでも当時の論調は最初のショックよりは和らいでいたと思う。しかも、自動車やテレビがアメリカで売れすぎていると批判されるような状態だ。景気がいいとは言えないが、経済は今ほど深刻な状態でもなかった。
学生運動は影を潜めて、夜のディスコは大フィーバーだ。自分も含めて何とかなるさと脳天気だったのかもしれない。そういえば、主演のベンアフレックは当時人気のドゥービーブラザースのマイケル・マクドナルドに似ている気がする。「ホワット・ア・フール・ビリーブス」はよくディスコで流れたなあ。

イランはどうやって撮ったのかなあ?と見ていた。8000年続いたバザールの様子とか、イラン人がかなり大量に出演していたけど、街の中の撮影とかどうやったのかは気になる。セットも多いと思うが、トルコでロケしたのかもしれない。今もイランとアメリカは仲が悪い。ずっと引きずっている感じだ。最後にかけて映し出される空港の警備役のイラン人がなかなかリアルだった。

それにしてもいい題材に目をつけたものだ。なんと18年も脱出へのCIAの関与は秘密だった。
それを描きよくできた映画だと思う。

コメント
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