映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「チャレンジャーズ」 ゼンデイヤ

2024-06-08 16:51:35 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「チャレンジャーズ」を映画館で見てきました。


映画「チャレンジャーズ」はメジャー大作のヒロインとしての出演が続くゼンデイヤ主演のテニスを題材にしたアメリカ映画だ。「君の名前で僕を呼んで」などのルカ・グァダニーノ監督の作品。まったく意識していなかったが、ここしばらくアメリカ映画とごぶさただ。日本映画以外はアジア系か欧州系になってしまうのは、全米俳優組合ストライキの影響で新作が少ないからかもしれない。この映画も公開が延期されたようだ。

サーカスが題材の「グレイテストショーマン」で自分の度肝を抜いたゼンデイヤ、「スパイダーマン」「DUNE」と大作のヒロインが続き存在感を高めている。アフリカ系とドイツ系の混血であるゼンデイヤは多様化する現代アメリカ映画界のスターだ。アメリカ映画らしさを感じて映画館に向かってよかった


映画では全米オープンに挑戦しようとするトーナメントの決勝シーンがベースとなる。戦うドナルドソン(マイクファイスト)とズワイグ(ジョシュオコナー)の2人はスタンフォード大学の同期で、もともと子供の頃からの腐れ縁だった。でも逆に今は疎遠。13年前すでに女子テニスのスター選手となっていたタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)の圧倒的なテニスプレーに2人は憧れ近づいていく。予期せず、三角関係となるが、タシは試合中に足のケガで選手生命を絶たれる

もともとズワイグに好意を寄せたタシに対して、ズワイグがつれなくなっていたところをドナルドソンが失意のタシの心の支えになる。やがてタシはドナルドソンのコーチとなり公私ともに結ばれてスター選手となるが、ここのところドナルドソンはスランプが続き出場した試合だ。ズワイグはホテル代も払えないくらい落ちぶれている。その2人が決勝で対決する。絶縁状態だった2人が戦うにあたって、タシがズワイグに久々再会して三角関係がよみがえる。


スポーツのライバル物語に当代きってのスターであるゼンデイヤがすごい存在感を示してくれて十分堪能できた。おもしろかった。
こういうアメリカ映画が観たかった。衣装、美術、住居のインテリアも含めて全体的な雰囲気にアメリカ映画らしいゴージャス感を感じる。音楽も現代的だ。貧困そのものの日本映画界とは違う魅力だ。そこにゼンデイヤというまさにゴージャスな女優が登場する。

ストーリーもおもしろいけど、ゼンデイヤの圧倒的な存在感に魅了される。テニスのスター街道を歩む頃を演じる若き日を映すゼンデイヤの迫力あるテニスプレイは見応えがある。誰しもがカッコいいと思うであろう。それだけではない。自分に恋憧れる2人の青年とベットでディープキスを交わすシーンがある。これが極めてエロい。これこそ現代の千両役者だ。

ゼンデイヤにテニスの素養があるのかと思っていたら違うようだ。驚いた。3ヶ月コーチを受けてということだが、天性のバネを持っているのであろう。大坂なおみが上り詰めていく試合と同じ躍動感を感じた。残念ながら,日本の女優にここまでの迫力を感じさせる女性はいない。


相撲で言う露払いと太刀持ちのような存在の2人の男性テニスプレイヤーは、そつなくゼンデイヤの相手役をこなした。
映画の基調はこの2人のテニス対決だ。土壇場までこじれるヒッチコックの「見知らぬ乗客」のようにテニスの試合中観客が右に左に首を振る仕草が笑える。もともと学生時代、タシ(ゼンデイヤ)は格上の存在だった。テニスのレセプションに潜り込み,ダメ元でタシを誘ったら部屋に来てくれた。2人が舞い上がるのは無理はない。あのかっこよさは普通じゃない。しかもその後で3人でディープキスを交わす。なんて、夢のようなんだろう。その時の2人の立場になってみれば、そう思うであろう。そんな青春モノの要素を、映画の中ににじませる。それがこの映画の魅力でもある。


ここではスポーツメーカーのブランド満載である。お金も出資しているのであろう。Wilson、adidas、NIKEに加えて、ドナルドソンが着るウェアには日本語でユニクロの表記がある。コマーシャリズム満載だけど、予算をたくさんもらってゴージャスな映画が見れるから悪くない。

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映画「あんのこと」 河合優実&佐藤二朗

2024-06-07 21:15:02 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「あんのこと」 を映画館で観てきました。


映画「あんのこと」河合優実が社会の底辺で彷徨う21歳の女性を演じるシリアスドラマである。「ビジランテ」など社会派の作品が多い入江悠監督作品で、佐藤二朗、稲垣吾郎が脇にまわる。「愛なのに」「少女は卒業しない」などでこのブログでずっと追っている河合優実がTV番組「不適切にもほどがある」で映画ファン以外にもブレイクした。テレビ番組が始まりしばらくして周囲の評判で見始めたが実に面白い。河合優実は1986年のツッパリ女子高校生を演じている。日本映画は、相変わらず辛気くさい題材ばかりだ。貧困家庭で育った少女のドツボぶりをここでも描いている。

21歳の主人公・杏(河合優実)は、幼い頃から母親(河井青葉)に暴力を振るわれ、学校にも行っていない。十代半ばから売春を強いられてきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅刑事(佐藤二朗)と出会う。多々羅は杏になんの見返りも求めず就職を支援し、取材を進める週刊誌記者の桐野(稲垣吾郎)も刑事とともに杏を支えていた。新型コロナウイルスが蔓延しはじめて、杏が通う職場や学校の人の出入りが制限されて、居場所が失われてしまう。


実話に基づく社会の底辺を彷徨う少女があまりに悲惨な物語である。
いきなり,河合優実赤羽の昼飲み屋街こと1番街を早朝に歩いている映像が映し出される。いつも見る場所だと思った後で,茶髪の河合優実が覚せい剤を打つ男とラブホテルでカネの押し問答をしているシーンに移り変わる。小学校でスーパーの万引きを始めて、小学校で実質中退。漢字も書けない。12歳で男に抱かれ, 16歳で売春を始めるそんな生き方をしている少女がまだいるのだ。実際のモデルがいるとすると、悲しい。

母と祖母と暮らす団地は固有名詞こそ出ないが、赤羽の公営団地だ。親は金を稼がないと、娘に激しく暴力をふるい,自分は男と飲んだくれている。母と娘の関係は昨年見た「市子」と類似している。どうにもならない母親役の河井青葉が好演だ。ひたすら河合優実演じる娘を蹴り、髪を持って振り回す。もともとモデル系の美形で「私の男」や濱口竜介監督「偶然と想像」にも出ている女優だけど、団地のゴミ屋敷状態の部屋に住む出来のわるい女を巧みにこなす。


刑事役の佐藤二朗が適役だ。覚せい剤と売春でどうにもならない底辺の生活をしている主人公杏を救う面倒見の良い刑事だ。介護施設の仕事を用意して、同じようにクスリに毒された人たちのコミュニティも紹介する。DVでキツイ思いをしている人たちが無料で住む住居も斡旋する。1人の刑事以上の仕事をしている善人かと思っていたら、予想もしない展開に進み事前情報がないまま観た自分は驚く。


途中からは河合優実演じる主人公にとっては、まさに次から次へと災難が訪れる。コロナ禍に突入して,通っている介護施設では、非正規の社員は自宅待機になり,通っている夜間学校は休校になる。せっかく作り上げてきた人とのつながりが全てなくなってしまう。しかも,同じ共同住宅に住んでいる隣人の女性が幼い子供を突然主人公に預ける。そんな時助けてくれた刑事も目の前にいない。住所を伝えていないのに祖母の具合が悪いと母親が突然来て引き戻される。

この映画は主人公をとことん貶める映画だ。光が差さない映画としか言いようにない。
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映画「からかい上手の高木さん」永野芽郁&今泉力哉

2024-06-03 21:22:40 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「からかい上手の高木さん」を映画館で観てきました。


映画「からかい上手の高木さん」は、山本崇一朗の漫画を今泉力哉監督が永野芽耶主演で映画化した作品。今回初めて知った作品でもちろん原作は未読。何より今泉力哉監督の新作だとすぐ観に行かなければならない。前作「アンダーカレント」は、脚本にも恵まれた。真木よう子の好演で2023年公開作品の中でも、自分が好きな1つである。予告編を見て、海辺の街にたたずむ永野芽郁がいい感じに見えた。

島の中学校で2年生の担任を受け持つ西片(高橋文哉)は,教頭(江口洋介)から教育実習生の面倒を見てくれと依頼をされる。ちょうどその時昔の同級生の高木さん(永野芽郁)から電話をもらっていた。すると、学校内で3週間教育実習を受け持つ美術教員として高木さんに出会い西片は驚く。

中学の時同級生だった高木さんに西片はいつもからかわれていた。ところが、高木さんはパリに行ってしまう。密かに恋心を抱いていた西片は久々の再会に喜ぶが、自分の気持ちは胸の内にとどめていた。


永野芽郁はかわいくて,バックに映る小豆島の風景はきれいだった。ただ、ダラダラ感が強く残念だった。

今泉力哉監督の作品を見るときは,超絶長回しは覚悟しなければならない。それでも,前作「アンダーカレント」はいつもよりも脚本がまとまっていて、ダラダラ感が少なかった気がする。正直今回はちょっと間延びしすぎた

「愛はなんだ」では江口のり子の使い方がうまくストーリーが引き締まったが,「街の上で」は下北沢の若者を描くのに、気にくわない登場人物も多くダラダラ感が強すぎた。あんまり好きではない。逆に「猫は逃げた」展開が絶妙で好きだ。今泉力哉監督の作品には、個人的に好き嫌いがずいぶんでる。今回は映画としては凡長な感触を受ける。


もともと田舎の海辺の街の映画は風景は抜群に良いのに,ネタが少なく話の内容がいまひとつ盛り上がりに欠けるケースが多い。途中も、最近の日本映画に多い無駄に長い時間が流れていた。この映画もおもだった内容は映画が終わる30分前には終了していた。そこからが長かった。おそらくこの長回し部分については賛否があるだろうが,僕自身はやりすぎと感じる。

ただ、永野芽郁は彼女自身が持つ魅力を最大限に我々に見せつけてくれた。高橋文哉に向かって、いたずらっぽく微笑む姿も素敵だし,結婚式のシーンで,ブーケをめぐって、高橋文哉がプールに飛び込むシーンがある。追いかけてプールに入る永野芽郁がなんて可愛いことか。それについては感謝したい。


残念ながら,香川県に行ったことがあっても,小豆島には行ったことがない。途中で小豆島と言う固有名詞が出てはいない。小豆島からは高峰秀子の名作「二十四の瞳」を生んでいる。永野芽郁がロケで映し出されるそれぞれの場面は実に素晴らしい景色であった。登校拒否の少年と一緒に小さな山を登り、上から海を眺める景色の美しさは絶品である。
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映画「告白(コンフェクション)」 生田斗真&ヤン・イクチュン&山下敦弘

2024-06-02 15:17:47 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「告白(コンフェクション)」を映画館で観てきました。


映画「告白(コンフェクション)」は、雪山の山小屋を舞台にしたサスペンス映画だ。生田斗真と、韓国のヤン・イクチュンのW主演で,監督は山下敦弘である。原作は「カイジ」の福本伸行カワグチカイジのコンビ。映画と雪山サスペンスの相性は良い。古くは黒澤明が脚本に回った三船敏郎主演「銀嶺の果て」,井上靖原作「氷壁」,松本清張「ある遭難」など名作ぞろいで、いずれも面白い。それなので、雪山を舞台にしたサスペンス系と知ると、すぐさま映画館に向かいたくなる。

雪山で遭難しかかっている2人がいる, 2人は大学の山岳部の同期で卒業して16年になる。元留学生だったジョン(ヤンイクチュン)がもう自分はダメだと思い,思わず16年前に2人の同期で山で遭難をしたさゆりのことを自分が殺したと浅井(生田斗真)に告白する。


何とか九死に一生を得る頃吹雪が和らぎ、山小屋が見えてくる。2人はたどり着いて生き延びる。しばらくして,ジョンは人を殺した告白をしたことを後悔するようになる。2人の関係は徐々に悪化していき,気がつくと、疑心暗鬼の中ジョンが刃物を持って暴れ出す

ホラーのようなテイストを持つサスペンススリラーである。
雪山サスペンスであっても,雪山自体を映すシーンは多くはない。ほとんどは山小屋の中のシーンである。実質的に室内劇である。だからといって閉塞感に満ち溢れているわけではない。舞台でこれを演じようとしても不可能であろう。強烈な暴力描写は山小屋の中の空間を隙間まで最大限に使い切る。

山下敦弘監督は観客を驚かせる場面をいくつも揃えて,ドキドキさせる。恥ずかしながら,思わず大きい声を出す場面が2回ほどあった。お互いに疑心暗鬼にとらわれる男の狂気がこの映画のテーマだ。室内劇に終始して、前哨のストーリーは短いので最近には珍しい73分の放映時間だ。

ヤンイクチュン自ら監督と主演を演じたキネマ旬報ベストテンで1位となった「息もできない」からはや14年となる。高利貸しの取立て屋を演じて強烈な暴力描写で我々を驚かせた。韓国のヤミ金融って怖いなあと感じた。ある時期から日本映画への出演も増える。「あゝ荒野」も良かった。ここではホラー映画のゴーストのように不死身でしつこく追ってくる気味の悪い役柄をうまくこなした。


元留学生のヤンイクチュンは,殺したことを元同期が知ってしまったことを悔いている。もしかして誰かに話すのではないかと。生田斗真はそういった気配を感じて殺されるのではないかと逃げ回る。やがて将棋の駒がぶつかるかのように2人の間に格闘が生まれる。延々と山小屋の中でヤンイクチュンが常に追う。追っかけごっこは恐怖の波状攻撃のようにエスカレートする。その間、ハラハラドキドキする場面が続く。


果たしてこの映画はどうやってクロージングするのだろうかと考え始めていく。自分の推理は途中で外れる。一旦外したと思った後に,作者はひねりを加える。そして最後の結末は意外な感じで終わっていく。なかなかよく考えて作ったストーリーだ。
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