後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

山林の焼き物師、窯八

2007年11月29日 | 日記・エッセイ・コラム

Yahooの検索へ窯八と入れて検索して下さい。小生の山小屋の下の方に穴窯を2003年から築いて赤松だけで焼き締めた陶器を作っている人です。ブラリとよったら実に素朴で人間性の良い若い陶芸家が気持ちよく窯を案内してくれます。小さな息子が2人いるらしく近くの里山の中に住んでいるようです。奥さんが窯に隣接した大きな建物のギャラリーへ案内してくれます。薄手に焼き締めた作品が多数展示してあります。芸術性が高くてしかも日常使いやすい感じの作品です。ご主人へ聞く、「次回はいつ炉へ火を入れるのですか?」「来年の春頃です。年間2回くらい焼きます。」「燃料はプロパンガスですか?」「全て赤松を自分で割って使います。年2回は赤松の薪を作るペースなのです」。

それで作品を売って生活は成り立つのですか?という問いは声にしないで飲み込んだ。なんと悠々たる人生なのであろう!山林、杜の中に住んでいる人々にはこんな豊かな人生を送っている人も居るのです。(終わり)


男の小さな隠れ家

2007年11月29日 | 日記・エッセイ・コラム

先週の土曜日と日曜日に厳寒の山小屋に独りで一泊して来ました。一面落ち葉が散り敷いて庭先の清流につけた魚道が心地よい音をかなでています。

近くには男の隠れ家が散在しています。兎に角、奥さん族はめったに来ない。男独りが来て何が面白いのかニャニャしながら何かコソコソしています。小生の家内は一緒に来ることが多いほうだが、やはり独りで来ると楽しさの奥が深い。近くに6畳くらいの大きさのコンクリート製の四角い小屋がある。入り口に車が置いてあるので挨拶に行く。「今日は!始めまして。藤山杜人と申します」「Yと言います。電気技師です。家の中を覗いてください」

中は4畳位の部屋とお風呂、水洗トイレ、簡易流し、玄関などがこれ以上コンパクトには出来ないように小奇麗に仕上がっている。お風呂用の小型ボイラーが小屋の裏についている。

「ご覧下さい。テレビもパソコンも有りますよ。何でも揃っています。」「良くみると居心地の良さそうな隠れ家ですね」。

少し立ち話をする。彼が言う、「私は農業が好きでこの下のほうに2反の畑を借りて野菜を作っています」「それは驚きですね。私は畑仕事は嫌いで庭の草取りさえイヤですよ。偉いものですね。それにしても家の中に水道やお風呂もあって素晴らしいですね」「小さいほうが隠れ家の実感が湧き、楽しいですよ」

大きな別荘や山荘を作る人々も居る。小さな小屋を作る人もいる。どちらにしても奥さん族はサービスの良いホテルへは泊まりたがる。はじめは義理で来ていた山荘や小屋へは来なくなる。それらは否応なく男の隠れ家的存在になる。それが山林へ別荘や小屋を作ったときの定めと知る。でも例外もある。今後、山林で会った人々のことを書いて見たいと思う。(続く)


中古クルーザーヨットの買い方(4)

2007年11月29日 | うんちく・小ネタ

            @2級船舶操縦士免許のとりかた

一般にはボート免許という。Yahoo検索へ「ボート免許」と入れ検索すると民間のマリーナでの取得コースや通勤帰りに参加できるような都内での講習会式のまで色々な情報が豊富に出ている。この免許は自動車の普通免許のようなもの。海上の航路の航行規則や海図の読み方などの基本を教えている。広い海上にも大型貨物船の交通頻繁な危険な水道、潮の流れの急な場所、危険な暗礁地帯、座礁しやすい浅い海などなどの見分けかたが理解出来る。

暗夜にGPSが故障したら自分の船の位置が分かりますか?灯台が見えれば分かる。出来たら2つの灯台が見えればもっと正確に分かる。謎明かしは「全ての灯台はそれぞれ違う時間間隔で点滅しているから」である。全国の灯台の点滅間隔の一覧表さえ持参していればどの灯台が見えているか分かる。自分の海図上へ見えている2つの灯台の方角を書き込む。暗夜でも現在地が分かる。

         @ボート免許は中古ヨットを買う前に取る!

忙しい人でも絶対にこの免許は買う前に取得すべきである。1)遊び用の船そのものの危険性が理解できる、2)海上、湖上の交通規則が分かる、3)係留地の選び方に参考になる話が含まれている、4)緊急救助信号や救助を求める方法がわかる、などなど中古ヨットを買う場合に参考になる情報が豊富に得られる。それと怖い裏話だが、先に船を買うと自動車と違って次の日から間単に操縦し船出出来るのでボート免許の必要性が実感できない。それでつい無免許のままクルーザーに乗ってしまう傾向になる。規則違反をしながら趣味を楽しむのはどんな意味でも良くない。

            @免許はヨット係留用のマリーナで受けること!

中古ヨット購入の決心もついた。係留地も大体決めた。お金がないので県庁の土木港湾局管理の格安の公営係留地に決めた。そんな場合でもボート免許の座学と実技試験は係留予定地の最寄のヨット係留用のマリーナで受けるのが鉄則である。マリーナは遠方で通勤の帰りには寄れないのが普通。しかし土曜日、日曜日、祝日のコースへ通ってでもマリーナで取ろう!

理由はいっぱいある。まず売りたい中古ヨットの情報がある。近辺の車の駐車場や交通機関の利便性が分かる。そのマリーナとは関係なく県庁管理地に係留してもマリーナの世話になることが多いからである。中古ヨットは思いもしない故障がでる。自分でマリーナへ回航して行くと修理をしてくれる。クレーンで吊り上げ修理もしてくれる。勿論有料だが。

霞が浦には京成マリーナという大型マリーナがあり陸置き場所も係留場所も開いている。それに係留料金は安い。まわりの県庁管理地に係留している人々も京成マリーナのお世話になっている。次回の話題の船舶検査証取得の立会い代行もしてくれる。とにかく中古クルーザーヨットの趣味を10年、20年と続けるには専門マリーナの助けがあると楽しくなる。

ボート免許をヨット係留近辺のマリーナで取得する本当の理由は上記の10年、20年にわたる付き合いのきっかけになるからである。(続く)


外国体験のいろいろ(16)

2007年11月29日 | 旅行記

    ◎アメリカの離婚―光と陰

オハイオ州コロンバス市で結婚式の世話をしてくれた友人夫妻と先生夫妻がしばらくして、ともに離婚した。自由・平等の国アメリカには離婚の自由もある。しかし、離婚で生ずる子供の犠牲、悲劇への友人の巻き込み、経済的損害などを考えると、離婚の自由には代償が大き過ぎる。

われわれの結婚式場の予約をし、式では付添い人をし、結婚祝いのシャワーをしてくれたのは友人のジャックと奥さんの金髪美人ナンシー。料理上手で、服も自分で縫い上げる。数学が得意で、その才能を発揮できる会社で働きながら二人の子供を育てていた。センスのよい自宅へ呼ばれたが、カクテルシェーカーでマテーニを作ってくれた時のナンシーの優雅さは脳裏に焼きついている。

4、5年後、東京にナンシーから突然の航空便。夫が浮気をしたので離婚した。いま子供二人を連れて行商のような仕事をしながらアメリカ中をさすらっている。田舎町の行商旅の悲しさ。夫のいない三人だけのわびしいホテルでの夕食の様子などが細かに書いてある。悲劇的な映画の場面を見ているようである。何度もそのような手紙が来た。そのたびに勇気付ける手紙を家内が出していた。

ナンシーから手紙が来なくなった。再婚したに違いない。子供が二人いてもスレンダーな金髪美人である。再婚できないはずがない。一方、あんなに親切だった夫のジャックからは手紙が来ない。夫にも言い分があったはずだが、ジャックは沈黙でよく耐えた。

     @離婚と職場の関係

離婚は個人的な悲劇にとどめよう―それがアメリカ社会の約束である。しかし、恩師夫妻の離婚のように職場を巻き込むこともある。離婚されそうになった奥さんのメアリーが夫と同僚のスミス教授に相談。恩師夫婦の離婚は成立し、その後スミス教授は離婚の相談に来たメアリーと結婚。恩師は若い婦人と再婚した。スミス教授の前の奥さんははじき出された形になり、消息は伝わってこない。

この騒動の後、オハイオを訪問した。友人が一部始終を話してくれた。「あす大学に行くが、恩師に会った時、何って言えばよいの」「何も言うな。一切知らなかったことにするのがよい」「恩師の前の奥さんには大変お世話になったので、家内からのお土産を持って来たが」「今晩、その奥さんの再婚先の家へ連れて行ってあげる。でも離婚のことは話題にするな」

大学で共同研究の相談をしている時、メアリーと結婚したスミス教授がそっと私を呼び出して、「先日は家内を訪問してくれてありがとう。東洋人は恩を忘れないと家内が喜んでいたよ」

       @離婚後の付き合い

夫婦が別れた後は顔も見たくないというのが洋の東西にかかわらず本音であろう。しかし離婚の多いアメリカでは「離婚の自由」が「離婚後はお互い友人として付き合い、社会生活では離婚による差別はしない」という規範に支えられている。悲しい偽善のように思えるが…。

離婚した恩師はその後、学科主任になった。学科主任は毎年二回ぐらい教授と学生を自宅へ招くのが普通である。離婚した前の奥さんメアリーも招待しなければいけない。招待を受けたら出席するのが義務だ。パーテイーでは友人同士として明るく話し合う場面を見せなくてはいけない。

前の夫が学科主任になり、その部下になった現在の夫スミス教授のためにも晴れやかに談笑するつらさは察するに余りある。それが証拠に、その場面が済むとパーテイー半ばにもかかわらず引き揚げる。親しい教授に「前の奥さんがかわいそうだ。帰る時そば行って慰めてやりたいが」「やめなさい。帰るのに気が付かない振りをするのが親切というもの。それがアメリカのルールさ」

皆ホッとして、これで米国社会は健全だとも思うのか一段と楽しそうになる。その後は日本の「二次会」のような雰囲気になる。パーテイーをする家の前庭には大きな星条旗が風に揺れ、少しずつ遅れて到着する参加者を歓迎している。旗は何も言わないが、「自由と平等の国アメリカを忘れないでね」というメッセージを語りかけている。(終わり)