後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

中古クルーザーヨットの買い方(3)

2007年11月24日 | うんちく・小ネタ

                                  @船外機にするか船内エンジンにするか?

進水後10年以上の50万円から100万円の中古船を買うときの決定的な判断基準はエンジンが船外機なのか船内に付いているかの点である。長さ24フィート以下の小さいヨットでは船外機、25フィート以上の船には船内機のものが多い。

持ち主に中古艇を見せてもらったら、まずこれを確かめる。船外機は文字通りエンジンが後尾の船外に付けてあるので船底に一切の穴が開いていない(水洗トイレが有る場合は2個の穴があいているが)。船底に穴が無ければ浸水のトラブルが皆無で船内は一年中カラカラと乾いている。小生がはじめて買った中古艇はヤマハ19(フィート)で船外機。浸水や雨水漏れのトラブルはその後10年間一度も無かった。

                @帆が3種類ついているか?

船外機方式の場合はマストがしっかり立っているか?前後左右のステイ類(ワイヤー類)にたるみがないか?メインセイルとジブセイルは汚れていたり修理の縫い目がないか?などを見れば良い。一般にセイリングに必要なマストやセイルは持ち主が神経を使うものなのであまり問題が無い。セイルで忘れてはいけないのが第三番目の帆であるスピネーカー帆である。これは無くとも普通の帆走が出来るので中古艇には付いていない場合がある。しかしこの帆とそれを上げるスピンポールが付いていることをしっかり確認するほうが良い。購入後しばらくして一応2枚の帆で走れるようになると必ずスピンを上げたくなる。追い風でスピンを巨大な風船のように膨らませて快走している他のヨットを見ると自分もそれをしたくなるのが人情。初心者でも風さえ弱ければスピンは上げられるものである。したがってスピネーカー、スピンポール、スピン用の長いロープ(スピンシート)が付いているか否かを確認するのが重要で有ろう。

                   @エンジンのトラブル

船外機は大体5馬力から10馬力の小出力ものが付いている。エンジンカバーをあけると2気筒のガソリンエンジンが多い。構造は素人でも修理出来るように部品の取り外しも簡単に出来る。スタート用のモーターがついていないので紐をいきよいよく引いて始動させる。この方式はバッテーリーが必要でなく電気系統の故障が無い利点がある。10年間で点火栓を10回位新品と交換しただけである。それと前進、中立、後進はギヤーで入れ替えるが、ギヤー棒が短くて入り難かった。これはギヤー棒に20Cmくらいの鉄棒を紐で固定して解決した。ガソリンは20対1の混合油を使用するが、これはガソリンと2サイクル用のエンジンオイルを買ってきて自分で混ぜて使用する。エンジンの保守に必要なものが全部そろっているか?点火栓交換用の工具が有るか?過去のエンジントラブルの内容などを持ち主へよく聞くことが重要であろう。

船外機エンジン方式の良い点は船底からの浸水が無くエンジンの故障も少なく中古艇でも保守管理に苦労しないことである。しかし船内機の場合は保守に苦労が多い。しかしそれ以上の楽しさが有るのでどちらにするかは次回の続きをお読みの上ご判断頂きたい。(続く)


外国体験のいろいろ(12)

2007年11月24日 | 旅行記

「現存する中世の村人たち」

@アーミッシュ村の風景

アーミッシュの村に入ると、「路上で黒塗り箱型の馬車が近付いたら徐行すべし」という意味の絵看板が増えてくる。周りは一面の実り豊かな麦畑。その間に牛馬がのんびり草を食む牧場が散在し、素朴な木造一階建ての農家が栃の大樹の木陰に見え隠れしている。

看板通り、黒塗りの箱形馬車が近付いて来る。慌ててブレーキをかけ、徐行しながらすれ違う。手を挙げて挨拶をすると、黒いシルクハットをかぶり、襟の小さな黒い背広を着た老人が目を上げないで、手をわずかに振って挨拶を返す。

麦畑では刈り取った麦束を馬車に積み上げている。農夫はさすがに上着を脱ぎ、黒いチョッキ姿で汗を流しながら一心に働いている。

アーミッシュに車で観光に行った場合のマナーを大学の同僚が教えてくれた。

「御土産店、喫茶店、民宿の前以外の道端に絶対車を停めないこと。馬車が見えたら急いで減速し徐行せよ。必ず挨拶をすること。しかし相手の目を見たりしない。もちろん話し掛けてはいけない。女性は黒い長い服を着ているが、車と馬車がすれ違う時、前から覗き込んではいけない。アーミッシュ専用のスーパーマッケットがあり、黒い馬車がたくさん止まっているが、スーパー店内へ入ってはいけない。ソーッと遠方から眺めるだけにすること」「御土産店では村への入場料のつもりで多めにチーズやヨーグルトを買って上げなさい」

             @人生の豊かさの質とは

夜は木造2階建ての民宿に泊まる。部屋にはローソクしかないが、外の方が明るい。窓から見ると、満天の星空。星明りで外が明るい。「夕食ですよ」と呼びに来る。食堂には電気がついている。新鮮なホーレン草のサラダと鶏肉のソテーのみだが、自然栽培なので実に美味しい。もちろんビールや酒類は一切ない。

布に包んだ温かい焼きたてのパンが籠に入って出てくる。そばに座ってくれている女主人にいろいろ聞いた。電気は来ている。冷蔵庫、洗濯機、井戸水汲み上げポンプ、食堂と調理場の電燈に限って電気を使っているそうである。アーミッシュの人の職業は農牧業しか許されていないので、民宿やスーパーマーケット、御土産店などの経営者は普通のアメリカ人である。

「ところで、あすアーミッシュの人々の生活を見たいし話も聞きたいので、誰か紹介してくれませんか」「泊り客はそういうことをよく頼みます。でも丁重にお断りしています。アーミッシュの信仰中心の日常生活を邪魔しない。それが人として正しい接し方と思いますよ。」「日本にもキリスト教徒がいるのですか」

五島列島の隠れキリシタン二百六十年の歴史や現在のキリスト教信者の話をしながら、ふと気が付いたらもう十時を過ぎていた。ローソクの炎の揺れる暗い部屋へ引き揚げ、星明りの窓の外をもう一度見てベッドへ潜り込む。アーミッシュの村は静けさに満ち、時がゆっくり流れている。ここには間違いなくクオーリテー・オブ・ライフの一つのタイプがある。しばらく帰っていない日本の人々の生活を想い、日本の「人生の豊かさの質」を考えている。