@舟と船の違い
船外機のクルーザーと船内にジーゼルエンジンの付いているのとは使ってみると舟と船くらい違う。前者がボートなら後者は小型船舶のような感じである。楽しさの深みが違う。しかしそれだけにトラブルが多く、保守管理には苦労する。
今回は船内機クル-ザーの見分け方を書く。中古艇のトラブルは水漏れ、中古エンジンの始動不良、バッテーリー上がり、水洗トイレの水漏れ、速度計の不調、自動操舵装置の故障、古いシブやメインセールの破損、などなどいくらでも有る。しかしそれらを自分でコツコツ修理して行くのも大きな楽しみになる。自分で修理をして行くとクルーザーヨットの設計の見事さや簡素ながら頼りになる金具類や部品の素晴らしさに感心する。スペインやポルトガルによる大航海時代からの人間の知恵の粋が凝縮しているようで心豊かな思いがする。
@水漏れが有無を丁寧に見よう!
船底からの水漏れと上からの雨漏りが有るか丁寧に見よう。エンジンルームの底や奥を懐中電灯で丁寧に見る。スクリュー軸のまわりから水が漏れ摩擦熱で軸とパッキングの温度が上がらないようにしてあるので必ず多少の水漏れはある。しかしエンジンルームの底がビシャビシャ濡れているのは要注意。すこし濡れて居るくらいが良い。あるいはカラカラに乾いているのが一番安心である。持ち主にスクリュー軸のパッキングを年間で何回くらい締めるとカラカラに乾くのか丁寧に聞き、パッキングの締め方と特別な工具を教わるのが重要である。
小生もスクリュー軸のパッキングを適度に締めてエンジンルームがいつもカラカラに乾くようにするコツを覚えた。ところが、4、5年後、ヨットへ行くたびにエンジンルームに溢れるばかりに水が溜まっている。これが雨漏りと分かるまで随分と苦労した。近くのマリーナの懇意にしている専門家に見れもらいやっと雨漏りと分かった。雨漏りは窓の割れ目、船体の接合部分の老化など。その原因を根気良く探すのに6ケ月もかかった。中古艇を買う場合はエンジンルームだけで無くすべての床板と椅子用のクッションを取り外して過去の水漏れの痕跡を探す必要がある。持ち主と良い関係を作れれば過去の水漏れのことを教えてもらえる。
@船内機ジーゼルエンジンを丁寧に見よう!
5馬力から10馬力の小さなエンジンながら沖で故障すれば生命の危険につながる。始動しにくい中古エンジンは弁類が磨耗していて圧縮が上がらずかかりにくい。バッテーリーを新品にしてもすぐにバッテーリーが駄目になる。バッテリーはアメリカ製のマリーンバッテーリーが付いているとメンテナンス不要で良い。クルーザーの持ち主がヨットレースにばかり出るタイプの場合がレース用のセイルを何枚もそろえるがエンジンには無関心の人が多いらしく意外にエンジンルームがメチャクチャの状態のものをあると聞く。レース用のセイルが何枚もある中古艇ではエンジン関係を丁寧に見よう!
@セイル3枚は上げて見よう!
港に係留した状態でも風が弱ければセイルは上げられる。メインとジブの金具類やロープ類の破損をチェックするためにも持ち主に上げて貰おう!最後にスピンも上げて貰う。風が強すぎて上げられない場合はセイル3枚の古さの程度や必要な金具類やロープ類のことを丁寧に教わる。もちろん一緒にセイリングしてもらえれば一番良い。
@船底とキールの状態は?
船をクレーンで吊って船底の貝類の付着状態や鉄製のキールの付け根などの腐食の状態を見る。しかし100万円以下の中古艇の場合は持ち主がそこまで親切に付き合ってくれない。船底の様子は喫水線のあたりを観察して想像する。淡水で使用してきた艇なら貝類の付着は心配する必要が無い。
進水後10年以上のものでは船体のFRP(繊維強化プラスチック)が水で含んで厚くなり重くなり船のバランスが崩れているのもあると聞く。これは素人には分からない。近くのマリーナの専門家に判定して貰う。
@自動操舵装置、計器類、航海灯の故障
中古艇では自動操舵装置のジャイロが駄目になっていたり速度計がおかしくなっていることが多い。また船舶検査で要求されている停泊灯、前灯、機走用のマスト灯、後尾灯火が故障している場合がる。新品と取り替える必要があるのでその費用を見込まなければならない。
自動操舵装置は独りでヨットを楽しむ場合には絶対的に必要で、新品は6万円くらい。それとマストの天辺についている停泊灯は高かすぎて自分では交換できないので専門家に頼むことになるので費用がかかる。その他は自分で交換できる。
その他水洗トイレ、炊事用コンロや流し、清水タンク、室内灯などについては致命的なトラブルにはつながらないが持ち主に聞いておくと後々の修理のとき役に立つ。(終わり)