小泉総理大臣の退任以来、迷走していた日本の政治状況が昨年の安倍総理の就任で大きく改善されました。
安倍総理は強力な株価上昇政策を実行し、昨年は8000円ほどの日経平均株価を今週は16000円台まで上昇させたのです。この成果はまれに見る政府の経済政策の勝利でした。
そして外国へ自ら何度も足を運び、各国首脳と熱心に交渉し、多くの外交的得点を挙げたのです。この国際的な外交努力も高く評価すべきと信じています。
その上、昨日は沖縄県の仲井真弘多知事が宜野湾市の中央部分を占有している普天間基地の名護市辺野古への移設に同意したのです。
これで17年間にわたり懸案となっていた普天間基地返還問題に明るい前進が出来たのです。
仲井真知事の決断の陰には菅官房長官や石破幹事長の沖縄関係者への必死の説得があったのです。このようなチームワ-クの強さを見ると安倍政権が今後もいろいろな分野で大きな成果を出すと考えられます。
しかし今回の仲井真知事の決断に対して沖縄県民の全てが支持しているわけではありません。現地では同じ県内移転への反対デモもありました。
そこで、ここで改めて沖縄の基地問題を見直してみましょう。
下の図は沖縄県の米軍基地を示しています。ジット眺めて、その広大さをご理解下さい。
沖縄県に観光旅行に行った方々は嘉手納基地と普天間基地が人口密集部の真ん中に存在している事実に気がついたと思います。
特に普天間基地は宜野湾市の中心部にあり住宅街のすぐ横を巨大な爆撃機やオスプレイが離着陸しているのです。
何故、沖縄県にこんなに基地が集中しているのでしょうか?
沖縄県は、米軍が多大の犠牲を払ってやっと占領した初めての日本の県だったからです。
米軍はその犠牲の大きさを想うと、絶対に沖縄は日本へ返還したくなかったのです。
従って沖縄返還にあたっては、広大な米軍基地を残存させたのです。
そして沖縄は厳しい冷戦構造の中共とソ連に対峙する最前線基地として重要だったのです。
冷戦が終わっても、中国が軍備拡張をしている現在は、沖縄の戦略的重要性が再び増大しているのです。そこで普天間基地の写真を下に示します。
(上の基地の配置図とこの普天間基地の写真の出典は、http://www.nippon.com/ja/behind/l00055/です。)
沖縄の米軍基地は68年前の血みどろの沖縄戦の悲劇を背負った存在なのです。一朝一夕には解決できない深い問題なのです。全ての日本人が考えるべき問題なのです。
その普天間基地の移転に一歩前進をさせたのが安倍政権なのです。久しぶりに胸のつかえが取れたような気分になった人も多かったと思います。
さてその安倍総理が靖国神社を電撃的に参拝したのです。
私は靖国神社の存在の功罪を議論するつもりはありません。
英霊を慰める行為は大切なことです。
しかし大きな外交上の失点を作ってしまったのです。
中国は韓国だけでなくアメリカ政府も怒ってしまったのです。
総理大臣の職にある人は個人的な思想や宗教的信念を勝手に表明して、国家へ損害を与えるべきでな無いのです。総理大臣を引退してから表明すべきです。
就任以来の経済政策や外交活動で大きな得点をあげ、して普天間問題の解決をした安倍総理の慢心でした。個人的感情を出してしまったのです。
政治家をもっともっと靖国神社参拝のもたらす利害得失を冷徹に考えるべきなのです。人間としての倫理的善悪でなく経済的得失や外交的利害を計算すべきだったのです。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)