後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
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アメリカのパリ協定脱退と米軍と日本軍の北朝鮮沖での共同訓練

2017年06月02日 | 日記・エッセイ・コラム
地球の温暖化を防ぐために各国から空中へ放出する炭酸ガスなどを少なくしようという協定が『パリ協定』です。
それを実行すると炭酸ガスを大量に放出しているアメリカの産業界が困ります。当然、アメリカの産業界はパリ協定に反対です。
その上、パリ協定はアメリカのような先進工業国に厳しく、インドや中国のような発展途上国には寛大な内容になっています。
その理由は先進工業国は過去100年くらいの間に多量の炭酸ガスなど有害ガスを大量に放出してしまっているのです。インドや中国は最近やっと有害ガスを放出し始めたのです。『パリ協定』ではこの歴史的事実を勘案してアメリカなどの先進工業国に厳しい内容になっています。
トランプ大統領はアメリカの産業が伸びれば地球はどうなっても良いという考えです。その上、歴史的観点を無視してパリ協定は不公平だと怒っているのです。
トランプ大統領はアメリカさえ良ければよいという非常に利己的な考えの上に、歴史的考察がまったく欠落した大統領なのです。
昨日のニュースを以下に示します。
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『トランプ大統領 パリ協定脱退の方針を発表』
6月2日 4時38分、http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170602/k10011003791000.html
アメリカのトランプ大統領は地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から脱退する方針を決定したと発表しました。パリ協定の規定では脱退は早くても2020年11月となりますが、世界第2位の温室効果ガスの排出国であるアメリカの温暖化対策が後退し、世界全体の機運に大きな影響が出ることが予想されます。
「パリ協定」は地球温暖化対策の国際的な枠組みで、2050年以降に世界の温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを目標に掲げています。
アメリカのトランプ大統領は日本時間の2日午前4時半ごろからホワイトハウスで「私は国民との約束を守る」と述べ、パリ協定から脱退する方針を決定したと発表しました。
そのうえで、トランプ大統領は、世界最大の温室効果ガスの排出国、中国に言及し、「パリ協定のもとでは中国は温室効果ガスの排出を増やすことが許されている。アメリカにとってとても不公平だ」と不満を示し、アメリカの労働者や企業に公平な内容になるなら、再び交渉を行う姿勢を示しました。
パリ協定の規定では脱退は早くても2020年11月となりますが、中国に次ぐ世界第2位の温室効果ガスの排出国であるアメリカの温暖化対策が後退し、世界全体の機運に大きな影響が出ることが予想されます。
トランプ大統領は去年の選挙中、地球温暖化について「でっち上げだ」などと否定的な立場をとり、パリ協定から脱退すると主張していました。
このため公約を守り、アメリカ第一主義のもと環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先する姿勢を鮮明にする狙いがあるものと見られます。ただ国際社会がパリ協定にとどまるよう求めるなか応じなかった形で、反発が強まりそうです。
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このようなトランプ大統領の露骨なアメリカ第一主義は軍事力で他国を脅迫する政策にも連動しています。彼の考えではアメリカが持っている世界一の軍事力を有効に利用し国際間の取引をしようとしています。
その具体的な実例が日本海に空母打撃艦隊を2つも展開させ日本の軍隊と共同作戦をとっている事実です。
この軍事的脅迫は北朝鮮にミサイル開発を止めさせるためですが、中国にとっても大きな軍事的脅威になっていることは明白です。
それではその関連のニュースを下記に示します。
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『海空自衛隊、米空母2隻と日本海で共同訓練』
http://www.sankei.com/politics/news/170601/plt1706010050-n1.html 

海上自衛隊の護衛艦2隻と航空自衛隊の戦闘機、米海軍の空母2隻が1日、日本海で共同訓練を開始した。海空自衛隊が発表した。自衛隊が米空母2隻とともに訓練するのは初めて。強固な日米連携を示すことで、挑発を続ける北朝鮮を牽(けん)制(せい)する狙いだ。
 自衛隊はヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」と護衛艦「あしがら」、小松基地(石川県)所属のF15戦闘機6機が参加。米軍は空母「カール・ビンソン」と「ロナルド・レーガン」、艦載機のFA18戦闘攻撃機が参加した。
 海自は陣形や通信訓練、空自は戦闘を想定した戦術訓練を行った。海自は3日まで、空自は2日まで訓練を行うとしている。カール・ビンソンは4月末から日本海に展開。ロナルド・レーガンは定期整備を終えた後、母港である米海軍横須賀基地(神奈川県)を5月16日に出港していた。

1番目の写真; 
航空自衛隊のF15戦闘機が、米海軍の空母「カール・ビンソン」「ロナルド・レーガン」と、その艦載機とともに、日本海で共同訓練を行った。「カール・ビンソン」と空自のF15(自衛隊提供)

2番目の写真; 
共同訓練する(右上から下に)米空母カール・ビンソン、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」、米空母ロナルド・レーガン。「ひゅうが」の後方に「あしがら」が航行。上空を飛行するのは航空自衛隊のF15戦闘機=1日、日本海(航空自衛隊提供)

3番目の写真; 
共同訓練する(手前から)米空母カール・ビンソン(70)、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」、米空母ロナルド・レーガン(76)=1日、日本海(米海軍第7艦隊提供)
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以上のように日本軍は何時の間にかにアメリカ軍と共同作戦をするような時代になってきたのです。
トランプ大統領のアメリカ第一主義は以上のように世界情勢を大きく変えようとしています。世界の国々が国家主義を強め、弱肉強食の文化が再来する方向に動き出したのです。世界が寛容の文化から狭量な文化に変わりつつあるのです。

皆様はこのような傾向をどのような感想をお持ちでしょうか?ご感想をお送り下さいましたなら幸せです。


それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
====参考資料=======================
『パリ協定』とは?
「パリ協定」は、地球温暖化対策の国際的な枠組みで、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせ、2050年以降に実質的にゼロにすることを目標に掲げています。
おととし12月にフランスのパリで開かれた国連の会議「COP21」で採択され、去年9月、世界1位と2位の排出国の、中国とアメリカがそろって締結を発表したことで、各国が次々と締結し、去年11月に発効しました。
今月1日の時点で締結した国は、日本を含む146か国にのぼり、世界全体の温室効果ガスの排出量の8割以上を占めています。
パリ協定では、先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務づけた「京都議定書」と異なり、発展途上国を含むすべての国がそれぞれ目標を立てて対策に取り組むことが定められ、日本を含む多くの国がすでに2020年以降の削減目標を国連に提出しています。

アメリカは、オバマ前政権のもとで2025年までに温室効果ガスの排出量を2005年に比べて26%から28%、削減するという目標を提出し、日本は2030年までに2013年と比べて26%、排出量を削減するとしています。
ただ、現在の削減目標では、すべての国が目標を達成したとしても、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えるという、協定の目標は達成できない見込みです。
このため、各国は、国連に提出する削減目標を5年ごとに更新しさらなる削減を行うことが求められていて、目標をどう引き上げ、協定に実効性を持たせるかが課題となっています。
現在は、各国の削減目標の達成度合いを評価・検証するための具体的なルールなどを、来年12月に開かれる会議までに定めようと、交渉が重ねられています。