富士山は神の山として人々が崇めてきました。
一昨日みた五合目からの風景は幻想的でした。神々しい美しさです。
非日常的な景観です。そんな幻想的な写真をお送りいたします。
1番目の写真は標高2400メートルの五合目の駐車場から見上げた富士山です。何故か神々しく感じます。
2番目の写真は頂上から流れ下る稜線の写真です。手前の私の車がとても小さく見えます。
3番目の写真は富士山の北側に広がる雲海です。雲海の下には河口湖、西湖、精進湖、本栖湖がありさらに甲府盆地があります。不思議な光景です。
4番目の写真は雲海に浮かぶ南アルプスの主峰連山です。農取岳、間ノ岳、北岳などは既に雪に覆われています。
5番目の写真は遥か遠方に浮かんでいる八ヶ岳です。
さてこの富士山への信仰について簡略に書いておきます。
富士山への信仰は縄文時代から始まったと言われています。縄文時代から江戸時代の宝永の大爆発まで何度も噴火していたのが富士山です。
ですから昔の富士山信仰は火を噴く恐ろしい山の神を鎮める祈りでした。
しかし現在は平穏な美しい形の山に対する祈りになっています。
それは神社に家内安全を祈る神道の信仰と同じです。ただ富士山の場合はその山体が信仰の対象になっているのです。
富士山の8合目から頂上までの全てが富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)になっているのです。そして富士山本宮山宮浅間神社は、社殿を持たない形式の神社であり、富士信仰の祭祀形態を持つ神社として大変めずらしい信仰形態になっているのです。
このように縄文時代から連綿と続く富士信仰と美しい富士山の風景が一体になって世界文化遺産として認定されているのです。
「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」は文化遺産です。
これは富士山にまつわる信仰や宗教と、芸術活動に対して認定されたものです。
従って富士山や富士五湖や幾つかの浅間神社がそれぞれ単独で認定された訳ではありません。
しかし観光客を集めるためもあって、「世界遺産の忍野八海」を見に行こうとか「世界遺産の北口富士浅間神社」をお参りに行こうという表現がよく使われています。
しかしこの表現は、文化という二文字が省略されているので、しばしば誤解を招くことになります。
さて、2013年に認定された「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」には、それを証明する構成資産が全部で25箇所もあるのです。この25の構成資産の全部を一まとめにして世界文化遺産に認定されたのです。
すなわち富士山、富士五湖、忍野八海、北口富士浅間神社などが世界文化遺産に認定された理由はそれにまつわる文化が貴重だったからなのです。
そして富士山にまつわる宗教活動と芸術活動が国際的に非常に貴重だと認められ2013年に世界文化遺産に認定されました。
芸術活動とは具体的に何を意味するのでしょうか?
今から約1,200年前、奈良時代にはすでに富士山を題材にした歌が、日本最古の歌集である「万葉集」に詠まれています。
また、富士山は、『竹取物語』や『伊勢物語』などの古典作品をはじめ、俳句や漢詩、夏目漱石や太宰治の文学作品にも取り上げられてきました。
絵画の世界では、平安時代から富士山は絵画に描かれるようになります。現存する最古の絵画は、『聖徳太子絵伝』です。
そして江戸時代になると、富士登山が「富士講」等を通じて庶民に爆発的に人気となると、富士山も多くの絵師に描かれるようになりました。葛飾北斎の『冨嶽三十六景』や歌川広重の『不二三十六景』、『東海道五拾三次』など、様々な場所から見た富士山が浮世絵に描かれています。浮世絵が海外に輸出されるようになると、ゴッホやモネなど、西洋の芸術家にも大きな衝撃を与えました。
一昨日、五合目まで上がって幻想的な風景を見ると世界文化遺産に認定されたのが納得します。
確かに日本が世界に誇れる文化遺産なのです。
それはそれとして今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘