この秋も幾つかの台風が来ました。大雨も伴って来ました。
するとダムの水が満杯になってから仕方なく放流します。ダムの下流では洪水の危険があります。洪水が起きれば家も人も流され死ぬのです。
台風や大雨は天気予報で何日も前から分かっています。ですから前もってダムの水を流して水位を下げておけば台風や大雨が来てもダムは満杯になりません。急に放流する必要もありません。下流の洪水で人が流される危険もありません。
これは小学生でも分かる理屈です。
ダムが満杯になってから放流して下流で人間が死んでもかまわないというのは人命軽視の思想です。封建時代の昔から日本に根強くあった人命軽視の思想なのです。
皆様は何故ダムの事前放流をしないのかご存知でしょうか?
今日はダムの事前放流をしない理由を説明します。
そうしてその理由がまかり通る日本の人命軽視の思想にささやかな警鐘を鳴らしたいと思います。
さて事前放流をしない理由は明快です。
ダムに溜まった水は農協に代表される農民の貴重な財産です。大きな電力会社の水力発電の為の貴重な財産です。大都会の水道局が使う貴重な水源です。
ですから農協、電力会社、都市の水道局などの同意を得なければ勝手にダムの水を放流することが出来ません。放流はこれら大きな団体の貴重な財産を勝手に減らすことなのです。
そしてダムが満杯になってから急に放流して人が死んでもかまわないのです。
日本民族に根強くある人命軽視の思想です。下流で死ぬ人は公共の犠牲になるのだから仕方が無いという考え方です。
さて上のように書くといささか正確ではありません。
日本には大きなダムが500以上あるそうです。そのうち10%位のダムは管理者の自由な判断で台風が来る前に事前に放流しているそうです。
この前の大雨を伴った台風の時、相模川の城山ダムは満杯になったら放流すると発表し下流の住民に恐怖感を与えました。結局満杯にならず放流はありませんでしたが怖かったです。
しかしその隣の宮ケ瀬ダムは事前放流をしていたそうです。何の騒ぎも起きませんでした。
このような問題が起きマスコミも騒ぎ出したので感受性のある政治家が動き出したようです。
農協、電力会社、都市の水道局などの同意が無くても管理者の自由な判断で事前放流出来る法律を作るそうです。
法律を作るにはまだ2,3年はかかるでしょうが良い方向に動き出したようです。
もっと恐ろしいこと最後に書きます。
ダムは国土交通省の指導で大きな土木建設社が設計し建設します。
そのダムには事前放流の為の排水口が付いてないのが多いようです。
どういう事か説明すると排水口がダムの下のほうについていないのです。
排水口は幾つかあるのでしょうが大部分はダムの上の方についているそうです。
この設計では大雨の場合ダムがすぐに満杯になり緊急放流しなければなりません。
この構造のダムは国土交通省の役人にも人命軽視の思想があることを意味しています。
「人の命は地球より重い」と言いますが何故か空々しい言葉に感じます。
日本の人命軽視の思想にささやかな警鐘になることを祈っています。
今日の挿し絵代わりの写真は11月を彩る花や葉です。写真は順にパンジーなど、ハボタン、エリカ、 ポインセチ、サザンカです。
写真の出典は、http://hananokotoba.com/natsu/ です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。後藤和弘(藤山杜人)