今朝の朝食中に妻が今日は隣町小平市のスーパー『ヤオコー』に車で連れて行ってくれと言います。近所のスーパーマーケットでも良いと思いましたが行くことにしました。三栖右嗣の油彩画を思い出したからです。
今日は三栖右嗣の油彩画をご紹介したいと思います。
さてヤオコーというスーパーマーケットは川越市の八百屋さんが作った店で、埼玉県と東京の西北部に数多くのスーパーを展開しています。
その創業者の女主人、川野トモさんが油絵が大好きで川越美術館を作ったのです。
この美術館は三栖右嗣(みす ゆうじ)記念館でもあります。
彼の絵画を蒐集し33点展示してある小さいながら芸術性あふれる美術館です。館内にカフェもあります。
建物の設計は伊東豊雄氏です。川越の新河岸川のほとりの閑静な場所にあります。
ヤオコー川越美術館に展示してあるものを含めて三栖右嗣画伯の油彩画の写真をご紹介いたします。
1番目の写真は「麓郷早春」と題した長い大作です。北海道の大地の生命感を力強く描いた1982年の作品です。圧倒されました。
2番目の写真は「信州うみのくち」という題で1997年作、60号の大作の油絵です。
雪の降る木崎湖です。湖面には沿岸の雪が写し出され何故かシーンとした気分になります。私の好きな情感豊かな絵です。
3番目の写真は「春園」という題の大作の部分です。三栖さんの晩年の傑作です。
4番目の写真は冬の北海道の牧場風景です。この絵は展示されていませんでした。
5番目の写真は冬の灯台風景です。 6番目の写真は「林檎のある風景」です。 7番目の写真は「カテドラルの或る街」です。
ヤオコー川越美術館は以前に訪問しました。
川越からの帰りの車の中で家内が三栖右嗣さんは一流の芸術家だ、そして安井曽太郎や木下孝則の画風に似て柔らかな写実が優しいですねなどとつぶやいていました。 現代リアリズムの画家ともいわれ、人気作家でもあったのです。彼の作品は、単に写真のように対象を精緻に写し取るリアリズム絵画ではなく、彼の優しい視点が反映された人間味のあるものです。温かみのある描写の作品です。質の高い充実した油彩画です。
ヤオコーというスーパーに買い物に行くたびに三栖右嗣さんの油彩画を思い出して楽しい気分になります。
そんなスーパーがあるのは幸運ですね。
川越の近辺にお住まいの方は是非この美術館を訪問なさって下さい。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
=====参考資料==============
(1)ヤオコー川越美術館のホームページ、
http://www.yaoko-net.com/museum/
(2)三栖右嗣さんの略歴、
ヤオコー川越美術館がコレクションする作家三栖右嗣は、埼玉県比企郡ときがわ町にアトリエを構え、制作活動をおこなってきました。
略歴 :
1927(昭和 2年) 神奈川県に生まれる。
1952(昭和27年) 東京藝術大学(安井曽太郎教室)卒業。
1972(昭和47年) アメリカにアンドリュー・ワイエスを訪ねる。
銀座・飯田画廊にて昭和51年(1976)まで毎年個展。
1975(昭和50年) 沖縄海洋博覧会「海を描く現代絵画コンクール展」に『海の家族』を出品、大賞受賞。沖縄県立博物館蔵。
「大賞受賞記念 三栖右嗣展」<読売新聞社主催><新宿伊勢丹>
1976(昭和51年) 第19回安井賞展に『老いる』を出品。安井賞受賞。東京国立近代美術館蔵。
皇太子殿下(現:天皇陛下)依頼により『沖縄の海』を制作。東宮御所蔵。
1977(昭和52年) 国立公園協会の依頼により『小笠原・父島より南島・母島を望む』を制作。同協会蔵。
個展<上野松坂屋>。
1979(昭和54年) クライスラー画像<スペイン・マドリード>にて個展。
個展<上野松坂屋、松坂屋本店(名古屋)>。
中略:
1994(平成 6年) 緞帳『薫風』を制作<玉川村文化センター>。
1995(平成 7年) 個展 <松坂屋本店(名古屋)>。
1996(平成 8年) 『爛漫』500号を制作<(株)ヤオコー本社>。
リトグラフの2世紀記念展に招待出品<フランス>。
2010(平成22年) 4月 逝去 享年82歳
2012(平成24年) 「ヤオコー川越美術館 三栖右嗣記念館」開館。