後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「昭和新山の成長を観測した三松正夫の銅像と昭和新山の写真」

2022年10月29日 | 写真
昭和新山の成長を観測した三松正夫の銅像と昭和新山の写真などをお送り致します。
1番目の写真は三松正夫の銅像と昭和新山です。
2番目の写真は観測結果の見取り図です。 3番目の写真は有名な「ミマツダイヤグラム 」です。

「北海道の魅力(2)麦畑に突如出来た昭和新山と有珠山」

2022年10月29日 | 日記・エッセイ・コラム

火山が爆発して目の前に突如山が出来る。これも北海道の魅力です。非常に驚異的なことなので今日は麦畑に突如出来た昭和新山と、火山爆発を繰り返す有珠岳のことを書きたいと思います。

北海道の洞爺湖の傍に昭和新山があります。昭和18年から20年の2年間で17回もの火山爆発が起き、平らな麦畑に突如火山が出来たのです。土地の郵便局長だった三松正夫さんが火山一帯を購入し、私有地にしました。毎日、観測し、火山の成長を観測したことで世界中の地質学者の間で有名になりました。彼が描いた「ミマツ・ダイヤグラム」は、その火山の成長ぶりを図面で示したものです。現在、昭和新山の麓に「三松正夫記念館」があります。非常に感銘深い記念館なので2度も見に行きました。

そして昭和新山の隣の有珠山も火山として繰り返し爆発してたのです。昭和新山の麓から有珠山の頂上までロープウェイがあり、それに乗ると昭和新山を見降ろすことが出来ます。洞爺湖も見えます。私どもは有珠山へロープウエイで登りました。有珠山は昭和新山の向かい側にある高い火山です。昭和新山よりは古い山ですが、それでも新しい爆発を繰り返す火山です。

それにしても昭和新山のような巨大な火山が2年間で出来、それを人間が間近に見ていたという事は驚きです。奇蹟の山と呼ばれる所以でもあります。地質学の上での驚異的な観察結果です。火山の噴火も人智を超えた不思議な自然現象です。
そこで昭和新山を生んだ有珠山の火山の歴史をもう少し書いておきます。
有珠山は、北海道・洞爺湖の南に位置する標高737mの活火山です。山頂は有珠郡壮瞥町にあり、山体は虻田郡洞爺湖町、伊達市にまたがっています。
支笏洞爺国立公園内にあり、昭和新山とともに「日本の地質百選」に選定され、周辺地域が洞爺湖有珠山ジオパークとして「日本ジオパーク」と「世界ジオパーク」の両方に認定されています。ジオパークとは地質変動が明快に目で見ることの出来る珍しい場所です。地球の地質学の上で非常に興味深い場所です。世界遺産とは違った意味で重要です。
この有珠山は何度も噴火を繰り返してきました。 江戸時代以降では、 寛文噴火、 明和噴火、 文政噴火、 嘉永噴火、と続きました。そしてそれ以後は、 明治噴火 、昭和新山生成の 1944年 - 1945年噴火 、 1977年 - 1978年の噴火 、2000年の噴火と約30年周期で噴火を続けてきた火山です。特に2000年噴火は規模が大きかったのです。

それでは昭和新山と有珠山の写真をお送りいたします。 1番目の写真は昭和新山です。以前家内が撮った写真です。  2番目の写真は有珠山に上がるロープウェイと見下ろした昭和新山です。

3番目の写真は昭和新山の登山道から見た山頂です。昭和新山の山頂へは40分くらいで登れました。家内も楽々登れました。
4番目の写真は有珠山の2000年の爆発です。写真の出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E7%8F%A0%E5%B1%B1よです。

5番目の写真は有珠山の2000年の爆発で水に浸かった麓の建物です。出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E7%8F%A0%E5%B1%B1 です。


この有珠山の噴火は事前に群発地震が起きてから爆発するという経過をとったので人間が避難する時間的余裕があるのが特徴でした。したがって学校などの建物や国道の破壊という大規模な損害は起きましたが、人命が犠牲になることが少なかったのです。
特に2000年に起きた大噴火は完璧な予知と安全な避難で特筆すべきものでした。2000年の3月27日からの火山性地震が連続し、その分析や断層の探索により近日中の噴火が予知され、3月29日には気象庁から緊急火山情報が出されたのです。これを受けて壮瞥町・虻田町(当時)・伊達市の周辺3市町では危険地域に住む1万人余りの避難を噴火までに実施し、完了していたのです。
通常、緊急火山情報は人命に関わるような噴火が発生することを知らせるものであり、噴火前にこれが発表されたのは初めての例だったのです。


有珠山には350年前から噴火の記録があり、そのデータ蓄積の多さから比較的「噴火予知のしやすい火山」であること、噴火を繰り返す周期が短く、かつ一定で、地域の住民の多くは前回、前々回、中にはそのさらに前の噴火を経験していたのです。
有珠山の周辺市町のハザードマップの作成や、普段からの児童への教育などがなされていました。
噴火直前には、北海道大学有珠火山観測所が144時間以内に噴火すると予告し、その予告から143時間目に噴火しました。この噴火予測の正確さは驚くべきでした。

さて有珠山の噴火が正確に予測された事実は大変な火山科学の進歩でした。しかし噴火の前に群発地震を起こさないでいきなり爆発する火山もあることを忘れさせてしまったのです。その後、御岳山で前兆の地震が全く無いままいきなり爆発し、多数の貴い人命が失われたのです。
人間は浅慮です。科学の限界を忘れると大災害が起きるのです。それは御岳山の噴火だけではありません。福島の4基の原発の爆発を予測した人は誰もいなかったのです。
科学の限界を知り、自然の悠久さと偉大さに心すべきと思う今日このごろです。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)