お見舞いに来るとは言ってはいたが、その姿を待ち受けた。
5階の病棟のデイルームから
駐車場に目を凝らし、今か今かと車の姿を追っていたが
中々、その姿を捉えることが出来なかった。
そんな中、『じいじ』と目の前に、幻の アカリ姫が
現れ、びっくりした。
どうやら、車は地下に駐車したようで、上からその姿を
見ることが出来なかった。
テーブルに座り、やおら、取り出した、色紙を貰った。
さーて、なんだろうと、
徐に色紙を開くと
『手術の成功を、おめでとう、がんばってね』
のメッセージが、アカリ姫とじいじ絵姿入りで書いてあった。
わあ~感激とその志に、何とも言えない、気持ちに心揺する。
なんと優しい子と、感心させられる。
そんなメッセージに後押しされ、8日間の悪夢から立ち去れると
それこそ、スキップしたくなる気分で病院を後にする。
季節の変化が急速に駆けめぐり、道に植えられた銀杏並木が
黄金色に輝いている。
この銀杏並木の花道に、ああ~1週間振りの娑婆の空気に
心酔する。
長期拘留で歪んだ心も、一気に弾け解放された喜びの
有り難みを味わう。
そんな解放感に浸り、徐々に普段の生活に戻そうと、2日後
の夜予想もしなかった下血が第2楽章の始まりであった。
夜間、着の身着のままで、救急に駆け込み、深夜の
緊急検査、そのまま再び拘留され、暗黒の世界へ
あの束の間の喜びは何であったのだろうか
折しも、世界一をかけた宿敵韓国との戦いが蘇る。
8回まで、3:0で手の平に収めた勝利が、するりとすり抜け
9回に誰しも予想しなかった逆転負けで、天国から地獄に
突き落とされた
正に日韓戦を思い起こす、病院帰りであった。
猛烈な匂いを血の混じった黒便は
血がまじり、酸化、発酵し、異臭を発する。
何んだ何だ、この排泄物は?、
術中に生まれた出血からと教えられ1週間は続いた。
それから始まった点滴の1週間の連続打ち、
内視鏡の処置と、再検査でその間、食事も許されず、
厳しい拘留は前回以上の仕打ちであった。
それでも何とか出獄を許された 。今度こそは仮出所
でないことを祈り朝風呂を浴び、汚れきった垢を落とし、
獄中の世界に心身とも決別した。
こんなことを繰り返し、もう年の瀬に
姫のメッセージに賭け、『ふゆやすみ、あおうね』
姫と再開を無事に迎えたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます