毎年、こんな書類が無作為に届けられる
『狂犬病予防注射』とある
当の飼い犬は既に亡くなっているが、はがきが来てもそのまま放置していた。
毎年、ある時期になると内容も確認しないまま、登録された台帳から、
印刷して機械的に送って、いるようである。
判っては居るものの、中々言い出せなかった。
時の経過に中々、言い出しにくいが、放置していたことを
謝意を持って、係に電話して見る。
記載された記録から、何処から抽出したか判らないが、犬の生年月日が
S25/4/1とされている。
これからすると既に66才になっている。
犬の寿命は精々10数年と言われているから、もし生きているとなると
ギネスブックに乗るような高齢である。
医学の向上で人間の寿命は伸びているが、犬まで、こんな長生きは
とても考えられない。
役所のご担当から、初めて眼を通す記録に、思わず『おお~私より、
遥か先輩だ~と』驚いていた。
そんなことで、笑いながら、去年亡くなったことにしましょうと、台帳上
では没年処理された。
そのチャコは何処で誕生したか、まして何時生まれたか判っていないが、
家族の一員として居心地良かったのか、居ついてしまった、雑種である。
闊達な時期は河原の広場で解き放すと、野生に返り、思い切り疾走する
俊敏な姿は狩猟犬のDNAを思い起こすようであった。
その俊敏さも、長く続かず、加齢と共に、徐々に足腰が弱り、散歩も
ままならず、外出は億劫のようであった。
晩年は、老いも目立ち、既に立つことも出来ず、殆ど寝たきり老犬であった。
介護の中、静かに全うしたが、ペーパ上では、未だ健在だなんて、幻の
ようなスーパー犬に、今頃笑っているのでは思えるが・・・。
毎年この時期になると、はがきの案内に気を咎めていたが、一方では
『忘れないでくれ』と言うチャコのメッセージが送られ、その存在を
遥か天国から呼び起こしているようである。
来年からはもうそのレータも来ないであろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます