拘留された窮屈な雑居房内では、ベットの四囲は壁とカーテンで遮蔽される。
窓際であれば容易に外界の世界に触れられ、息抜き出来れるが、一つ奥にベットがあるとそれも望めない。
体の臓器がカテーテルで結ばれ、人工的に排出、注入など、何とか機能維持している患者や重症患者がベットに拘束されているのも止むを得ないであろう。
しかし、手術も終わり、安静期間も過ぎ、歩行も出来、健常者と余り変わらないにも関わらず、ベットの空間だけの拘禁は我慢出来ず実に辛い。
3カ月の間で2箇所の病院の梯子をやってしまった。おまけに呪いもかかった出戻りもあり、余り有り難くない、暖簾潜りの病院梯子であった。
同じ入院でも、片や眼科系、片や内科系で、これほどの文化の違いに戸惑いを感じる。
唯一の娯楽室であるミーテイングルームでは、眼系は歓談しながらの食事や息抜きの雑談場所でもあった。手術の恐怖体験、処置後の経過など患者同士の励まし合いや貴重な情報交換場所でもあった。
しかし、病院にもよるが、此処内科系ではミーテイングルームで食事するのは何時も己一人の孤立の世界であった。時折、群れなす姿は患者と見舞い者の歓談で、それを割ってまで、入ることもなかった。それを承知で、カーテンの隙間から敢えて、声をかけようと、すると、ぴしゃりと閉められてしまうこともあって、完全な閉鎖社会であった。
そんな息が詰まるような空間で、現実離れした夜間は9時の消灯、書物に眼を通すことも、出来ず、悶々と暗闇の世界は正に独居房の空間である。
それでも、娑婆に出たときの、スムースなランデイングの為、すっかり落ちた足の筋肉を鍛えようと人の余り、通らない1Fから6Fまでの階段を昇り降りして、ゼーゼー言いながら敢えてムチを入れた。
時々、職員とすれ違うが、不審者と怪しまれず、見過ごしてくれた。
一時の放免の時に、とりわけ心配頂いた地元の名士、資料館館長にご挨拶に伺った。その折に、過去に入院した折、やはり同じことをやったようであった。その折に、ベットからの行方不明で、時ならぬ院内放送で呼び出されたなんて、珍事に、大笑いした。
市内には高層マンションなどあるが、気軽に上がれる高層階はすくない普段見慣れた世界が、平地からだけでの限定版である。
完全に外界から遮断され刺激のない世界から、5F,6Fからの見通しの効いた、風情を病院の東西の縁から俯瞰することが、唯一の息抜きである。
<東側の縁>
直下は市民グランドである。二中の女子のソフトボールの練習。おじさん、おばさん達のパターゴルフなど、何時も賑わいを見せていたが、ポッカリと空いていた。
<西側の縁>
直下は激しく行き交う車両の日野バイパス。その路沿いの植え込みと建屋がコニカの広大な敷地である。
右手にスクット建ち、赤白のまんだら模様は八王子工業団地のエレベータ試験タワーで、一人目立っている。
直下の家並みが隙間無く続くが、八王子市街まで繋がっている。
そろそろ夕闇が迫るころ、遥か彼方に雪を被る富士山。その裾野を何時も邪魔にかかる大室山。その左手稜線沿いに黒く、繋がるのが丹沢の山系である。
時の経つのも忘れ、ぼーっと眺め、こんな下界との繋がりに、拘留された唯一の息抜き、である。
「畜生何時までこんな所に居るのか」気ぜわしい娑婆の世界が、いとおしい。
窓際であれば容易に外界の世界に触れられ、息抜き出来れるが、一つ奥にベットがあるとそれも望めない。
体の臓器がカテーテルで結ばれ、人工的に排出、注入など、何とか機能維持している患者や重症患者がベットに拘束されているのも止むを得ないであろう。
しかし、手術も終わり、安静期間も過ぎ、歩行も出来、健常者と余り変わらないにも関わらず、ベットの空間だけの拘禁は我慢出来ず実に辛い。
3カ月の間で2箇所の病院の梯子をやってしまった。おまけに呪いもかかった出戻りもあり、余り有り難くない、暖簾潜りの病院梯子であった。
同じ入院でも、片や眼科系、片や内科系で、これほどの文化の違いに戸惑いを感じる。
唯一の娯楽室であるミーテイングルームでは、眼系は歓談しながらの食事や息抜きの雑談場所でもあった。手術の恐怖体験、処置後の経過など患者同士の励まし合いや貴重な情報交換場所でもあった。
しかし、病院にもよるが、此処内科系ではミーテイングルームで食事するのは何時も己一人の孤立の世界であった。時折、群れなす姿は患者と見舞い者の歓談で、それを割ってまで、入ることもなかった。それを承知で、カーテンの隙間から敢えて、声をかけようと、すると、ぴしゃりと閉められてしまうこともあって、完全な閉鎖社会であった。
そんな息が詰まるような空間で、現実離れした夜間は9時の消灯、書物に眼を通すことも、出来ず、悶々と暗闇の世界は正に独居房の空間である。
それでも、娑婆に出たときの、スムースなランデイングの為、すっかり落ちた足の筋肉を鍛えようと人の余り、通らない1Fから6Fまでの階段を昇り降りして、ゼーゼー言いながら敢えてムチを入れた。
時々、職員とすれ違うが、不審者と怪しまれず、見過ごしてくれた。
一時の放免の時に、とりわけ心配頂いた地元の名士、資料館館長にご挨拶に伺った。その折に、過去に入院した折、やはり同じことをやったようであった。その折に、ベットからの行方不明で、時ならぬ院内放送で呼び出されたなんて、珍事に、大笑いした。
市内には高層マンションなどあるが、気軽に上がれる高層階はすくない普段見慣れた世界が、平地からだけでの限定版である。
完全に外界から遮断され刺激のない世界から、5F,6Fからの見通しの効いた、風情を病院の東西の縁から俯瞰することが、唯一の息抜きである。
<東側の縁>
直下は市民グランドである。二中の女子のソフトボールの練習。おじさん、おばさん達のパターゴルフなど、何時も賑わいを見せていたが、ポッカリと空いていた。
<西側の縁>
直下は激しく行き交う車両の日野バイパス。その路沿いの植え込みと建屋がコニカの広大な敷地である。
右手にスクット建ち、赤白のまんだら模様は八王子工業団地のエレベータ試験タワーで、一人目立っている。
直下の家並みが隙間無く続くが、八王子市街まで繋がっている。
そろそろ夕闇が迫るころ、遥か彼方に雪を被る富士山。その裾野を何時も邪魔にかかる大室山。その左手稜線沿いに黒く、繋がるのが丹沢の山系である。
時の経つのも忘れ、ぼーっと眺め、こんな下界との繋がりに、拘留された唯一の息抜き、である。
「畜生何時までこんな所に居るのか」気ぜわしい娑婆の世界が、いとおしい。
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