575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

彼国微風吹動常立杉微塵  夏石番矢

2006年06月11日 | Weblog

あの地方には揺るぎもしない大きな杉の木が立っていて、
そこにそよ風が吹いている。
風が吹くたびに、杉花粉が飛び散っている。

といった光景が見えてくるような句だ。

杉花粉は花粉症を連想させ、現代的な雰囲気も帯びてくる。
古い巨木と新しい病気が組み合わされ、ユーモアもある。

  吉本隆明が、夏石番矢の俳句について書いたものです。
  さらに、こう続きます。

この句の場合、助詞を抜いて成り立っている。
助詞を抜くということは、先に触れた日本的な情緒を
抜くということにつながっている。
しかし漢詩になったわけではない。まぎれもない日本語の作品だ。
夏石さんの句は、一見すると、とんでもないものに思えるかもしれないが、
よく読むと、前の時代の前衛俳句よりも、むしろ俳句らしく
音数律の枠を保って、わかりやすい。
すべての言葉を漢字にしたことで、見た目の効果も表れている。

さて読み方です。

 ひこくみふうすいどうとこたちすぎみじん


「現代日本の詩歌」吉本隆明より  遅足

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする