575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ほんとうにあったのです。「蛍川」        鳥野

2006年06月02日 | Weblog
 兼題が「蛍」とあって、思い出すままに。

 蒸し暑い初夏の一夜でした。ホタルを見にと誘われて出かけた山里、土手の茂みを下りて、息を呑みました。 漆黒の闇に浮遊し乱舞する蛍。その数は千、万。

 宮本輝の作品の中で銀蔵爺さんがいう「ものすごい数の蛍よ、大雪みたいに右に左に蛍が降るがや」ほどではないにしても、絢爛たるお伽絵です。
 点となって明滅し、光芒を引いて交差し、思いのたけの饗宴。約二時間続くとのことでした。

 さて場所。長野県の蛍の名所は、いくつもあるようですが、体験したのは丸子町の狐塚。千曲川から分かれた細い水路沿いです。闇夜のこととて、あやふや。
 
 蛍の発生は天候の影響を受けやすく、条件が揃わないと大乱舞とはいかないそうです。六月上旬から七月上旬くらいの、日没後4-50分頃。湿度の高い夜が最適のようです。

  またも拙作を

 中信濃丸子はずれの狐塚温き里人ほたる守り来

 狐塚に産神(うぶすな)さまの座したまう万の蛍の生(あ)れてまた生る

 生き急ぐあり死に急ぐあり飛び交いて蛍は七夜を青き息吐く

 もうこれ以上は望まない、と言っていたのに、業突く張りが今度は、滋賀県の山東町へ。
 人影まばらな村はずれに、ひっそりと浮き沈みする蛍。殿様がえるに河鹿の鳴き声まで混じって、これもまた素朴な旅情。

  掌の窪に草の香残し蛍発つ         

 
コメント (2)
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