兼題が「蛍」とあって、思い出すままに。
蒸し暑い初夏の一夜でした。ホタルを見にと誘われて出かけた山里、土手の茂みを下りて、息を呑みました。 漆黒の闇に浮遊し乱舞する蛍。その数は千、万。
宮本輝の作品の中で銀蔵爺さんがいう「ものすごい数の蛍よ、大雪みたいに右に左に蛍が降るがや」ほどではないにしても、絢爛たるお伽絵です。
点となって明滅し、光芒を引いて交差し、思いのたけの饗宴。約二時間続くとのことでした。
さて場所。長野県の蛍の名所は、いくつもあるようですが、体験したのは丸子町の狐塚。千曲川から分かれた細い水路沿いです。闇夜のこととて、あやふや。
蛍の発生は天候の影響を受けやすく、条件が揃わないと大乱舞とはいかないそうです。六月上旬から七月上旬くらいの、日没後4-50分頃。湿度の高い夜が最適のようです。
またも拙作を
中信濃丸子はずれの狐塚温き里人ほたる守り来
狐塚に産神(うぶすな)さまの座したまう万の蛍の生(あ)れてまた生る
生き急ぐあり死に急ぐあり飛び交いて蛍は七夜を青き息吐く
もうこれ以上は望まない、と言っていたのに、業突く張りが今度は、滋賀県の山東町へ。
人影まばらな村はずれに、ひっそりと浮き沈みする蛍。殿様がえるに河鹿の鳴き声まで混じって、これもまた素朴な旅情。
掌の窪に草の香残し蛍発つ
蒸し暑い初夏の一夜でした。ホタルを見にと誘われて出かけた山里、土手の茂みを下りて、息を呑みました。 漆黒の闇に浮遊し乱舞する蛍。その数は千、万。
宮本輝の作品の中で銀蔵爺さんがいう「ものすごい数の蛍よ、大雪みたいに右に左に蛍が降るがや」ほどではないにしても、絢爛たるお伽絵です。
点となって明滅し、光芒を引いて交差し、思いのたけの饗宴。約二時間続くとのことでした。
さて場所。長野県の蛍の名所は、いくつもあるようですが、体験したのは丸子町の狐塚。千曲川から分かれた細い水路沿いです。闇夜のこととて、あやふや。
蛍の発生は天候の影響を受けやすく、条件が揃わないと大乱舞とはいかないそうです。六月上旬から七月上旬くらいの、日没後4-50分頃。湿度の高い夜が最適のようです。
またも拙作を
中信濃丸子はずれの狐塚温き里人ほたる守り来
狐塚に産神(うぶすな)さまの座したまう万の蛍の生(あ)れてまた生る
生き急ぐあり死に急ぐあり飛び交いて蛍は七夜を青き息吐く
もうこれ以上は望まない、と言っていたのに、業突く張りが今度は、滋賀県の山東町へ。
人影まばらな村はずれに、ひっそりと浮き沈みする蛍。殿様がえるに河鹿の鳴き声まで混じって、これもまた素朴な旅情。
掌の窪に草の香残し蛍発つ