575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

俳句発展の分類  ①

2006年06月17日 | Weblog
   
俳句といっても、実にさまざま。
全体像の俯瞰できる本はあまりないようです。
俳人の夏石番矢氏は「早わかり・現代俳句マニュアル」のなかで、
正岡子規の俳句革新のあと、20世紀に入って、
俳句の発展を、5つの方向に分類していましたので紹介します。

① 心理主義的発展
個人の自由な感性と心理を俳句の中心とするもの。
自由律の句が出発点になったとして、次のような句をあげています。

うすものを着てそなたの他人らしいこと 中塚一碧楼

たった一人になって夕立  尾崎放哉

恋ふたつレモンはうまく切れません 松本恭子

② 社会批評的発展
プロレタリア俳句の登場。

 君よそうや元日から税金がまだ払えない話は 橋本夢道

 浮浪児昼寝す「なんでもいいやい知らねえやい」 中村草田男

 では、後から前から三菱銀行あそび  江里昭彦
 
③ 自然諷詠的発展
19世紀からの伝統に立った高浜虚子を中心とした流れ。主流。

 流れ行く大根の葉の速さかな 高浜虚子

 天心の小さき月の錐を揉む 川端茅舎

 ふるさとの雪に我ある大炉かな 飯田蛇笏


(写真は梅花藻です。滋賀県の醒ヶ井で撮影したものです。)

                  遅足



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