575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

秋扇(しゅうせん)や美しきまま母となり  中村汀女

2006年08月15日 | Weblog

たった一瞥なのに、こうして俳句に残すと
すっかりその人を忘れられないのである。
扇は黒っぽかった。きちんとととのえた胸もと。
かきあげた髪。それでいてとりすました感じも
冷やかさも見えなかった。
年のころは四十をいくつか越えた人。
私は、その人になんでこんなにはっきりと
母性を感じたものだろうかと、
今、思い返してみたら、戦時、男の子を持つ
母親の祈願、それをこの人に感じたのだった。


中村汀女・自句自注より

この句は昭和15年の作です。
日中戦争が始まって3年、次第に英霊となって
帰国する兵士が増えていきました。
私の叔父も、この頃、中支で戦死し
無言の帰国をしています。

今日、小泉総理が英霊を祀る靖国神社に参拝しました。
どうも困った人です。
個人としての参拝はともかく、総理の靖国参拝には反対です。
宗教的な行為ではなく、まったく政治的な行為ですから。

              遅足



 


   
コメント (2)
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