575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

秋の暮    遅足

2008年10月22日 | Weblog
今日の荻原俳句教室の宿題は「秋の暮」
王朝の昔から詠みつづけられてきた題。
名歌、名句がゴマンと。

 秋の暮大魚の骨を海が引く  西東三鬼

独断でいえば、これに優る句はない!

  

そこへ一句などとは畏れ多いこと。

  美濃尾張分かつ大河や秋の暮
  秋の暮早口の鈴またひとつ
  秋の暮四方八方水走る
  きこきこと顎の骨鳴る秋の暮
  結べどもゆるめる紐や秋の暮

さて、ひとつ選んで提出しないと・・・


    時々

秋の暮大魚の骨を海が引く

先生に読んでいただきました。

まず、海が引く、この表現が良い。
魚が最後は生まれた海に戻っていく。引かれて行く。

次に、大魚。
小さな魚ではなく、魚のなかでも王様クラス。
そういう存在も、やがては骨となる。

秋の暮、の季語がよく効いている。
たとえば、夏の暮とすると、風景を詠んだだけになるが、
秋の暮、としたことで、季節の移り変わりを意識させる。

諸行無常。生命の循環というイメージをも感じさせる。

   

愚足さんが選んでくださった句ではなく、

  秋の暮早口の鈴またひとつ

を、提出しました。

先生の診断。
ふたつ問題がある。
ひとつは「またひとつ」とくに「また」という表現。
「また」は、「も」と同じ働きをする。
意味が拡散してしまう。
この句の場合はイメージが拡散しないほうが良い。
「また」も禁じ手にして作るように。

もうひとつは「早口」と「鈴」、しっくりいない。
鈴の音、としたほうが、はっきりする。
例えば、猫の鈴としたら「通る」と動きがあったほうが良い。

○○○○○鈴の音通る秋の暮

上五を、楽しみながら探すと良いのでは。

    

次回の宿題は「柿」と「秋風」です。







コメント (1)
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