575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

星がみえて青いにほひ豆の筋ひいてゐる   鈴木折嶺

2013年07月24日 | Weblog
山頭火は、知多半島から渥美半島に渡り、芭蕉の句碑や杜国の墓を訪ねています。
そして「砲声、爆音がたえない」と日記に書いています。
当時、渥美半島には、大砲の試射をする陸軍の射場用地があったためです。
「時勢を感じる。非常時日本である。」とも記しています。

そして豊橋の鈴木折嶺宅に宿泊、句会を開いています。
折嶺は、明治43年、愛知県の田原渥美町生れ。
山頭火が訪ねてきた時は、豊橋市の小学校に勤めていました。
この時、鈴木家では、赤ん坊が生れたばかり。

  ほんに生れた来たばかりの眼をあけて   山頭火

鈴木折嶺は、やはり荻原井泉水に師事、戦後は池原魚眠洞とともに
「視界」を舞台に活躍しています。

冒頭の句。
星のよく見える夜。家で妻が豌豆の筋を取っているところでしょうか。
制作年代は分かりませんが、青いにほい、という表現から
まだ若い頃の句かと想像しました。愛妻家だったのでしょうね。

こんな月の句があります。

  月夜の向うを人が通る花どきの馬鈴薯畑

  月が胸をわづらってゐる様な青いかげ葉におく

  夏もすっかりおとろへた月がしわよせてゐる河口

  月があかるく茶の花、くらく茶の花

月を詠みながら、花鳥諷詠を脱した、新しい句への挑戦を感じます。

                         遅足


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする