575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ヘルパーと風呂より祖母を引き抜くなり    関悦史

2013年07月13日 | Weblog
句集「六億本の回転する曲がった棒」のなかの「介護」と題する
70句あまりの連作の最初の句です。

以下、いくつかを拾ってみます。

  水含ますのみ救急処置室に放り置かれ

  便始末されゐて夏がかなしかろう

  病室はどつとにほへり秋の暮

  世話しぬけば枯木がア・リ・ガ・タ・フと言ふ

  氷より冷たき額撫でにけり

  人死ねば書類の多さ十二月

  抱えて遺骨の祖母燥(はしゃ)ぎつつバスを待つ春

作者の関悦史さんは、1969年生れ。 
5歳から祖母に育てられた関さんは、一人で介護にあたったとのこと。
この死別を経て、それまでの句が平板に感じられたと書いています。

この他の多くの句は、私には鑑賞不能ですが、なかにはこんな句も。

  液晶のゼロ整列し年明くる

  春の雨踏まん艶(なま)めくレジ袋

介護の句には季語のないものもありますが、
違和感はまったくありませんでした。    遅足


コメント
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