575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

飛花落花荘川桜は白の闇  等

2019年04月21日 | Weblog

飛花落花。桜の花が盛りを過ぎて散ること。
よく似た季語に花吹雪がありますが、
吹雪のように花びらがいっせいに舞い散ること。
作者は一斉に散る桜の花にこころを奪われています。
桜は荘川桜。
日差しも傾き夕暮れが近づいてくる頃でしょうか。
目の前が白一色に。
それは闇のように感じられました。
「白の闇」をどう読み取ったら良いのでしょうか?
ヒントは「荘川桜」にあるようです。

荘川桜(しょうかわざくら)は、岐阜県高山市荘川町(旧荘川村)の
御母衣ダムの湖岸に咲く2本のエドヒガンの古木。
樹齢はおよそ500年、淡いピンク色の花とごつごつした幹が特徴です。

敗戦後まもないころのお話。
日本復興のため、国策として電源開発の必要性が叫ばれ、
開発計画の白羽の矢が立ったが、庄川最上流の荘川村でした。
東洋一といわれたロックフィルダムが完成すれば、
荘川村内の中野全域と白川村の一部が湖底に沈むことになり、
先祖伝来の土地を奪われる村民は強く反対しました。

国のためという電発総裁・高碕達之助氏の説得の前についに建設に合意。
ダムは昭和36年に完成しました。

湖底に沈む運命にあった2本の桜。
何度も村を訪れていた高碕達之助氏は、この桜を救おうと決心。
湖岸に移植させました。昭和35年のことでした。
一時は枯死してしまうのでは、と心配された「荘川桜」ですが、
見事によみがえり、毎年美しい花を咲かせています。
湖底に沈んだ村の人たちが年に一回、この花の下で再会。
(そんなニュース、最近では見かけませんが・・・)

このエピソードから何を読み取るのか?
それによって白い闇の感じ方が違うのかも知れません。(遅足)

コメント
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