575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

陽炎につまずいているご老体  晴代

2019年04月12日 | Weblog

陽炎。春になると温められた地面から水蒸気が立ち上り、

空気が乱れることで、風景やものが揺らめいて見える現象。

春に限りませんが、のどかな感じのすることから

春の季語として親しまれてきました。

 

  東の野にかぎろひの立つ見えて返り見すれば月かたぶきぬ

 

教科書にあった柿本人麻呂の歌。『万葉集』の時代、ひろびろとした野の陽炎。

こころが解放されるようでした。

 

     ちらちらと陽炎立ちぬ猫の塚

 

こちらは夏目漱石の句。吾輩は猫であるの猫の塚でしょうか。

この猫の最後を思い出せば、苦いユーモアが感じられます。

そして、ご老体が陽炎にもつまずく超高齢社会の日本。行く末はいかに?

 

   かぎろへば来し方行く末定かならず  静荷

 

未来は陽炎のなか。誰にも分らないようです。(遅足)

 

コメント
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