本来の俳句は縦書きの手書きによる墨書です。
従って、三段の縦書きや句間を適宜空けることが可能。
ところが、明治期に活版印刷が導入された際に俳句は横書きとなります。
活版印刷は鉛文字を組む凸版。
文字間を自由に空けることができません。
そのため、活版印刷の職人は組版の面倒を避けるため句間を無視。
しかし、現在は全てがオフセット印刷。
文字間など数ミリ単位で調整できます。
また、文字も手書きではなくパソコンやスマホ入力へと移行しました。
私はグラフィックデザイナーです。
デザイナーが大切にすることは文字の判読性。
文字は読みやすく、内容を読み手に的確に伝えることを最優先します。
たしかに、書籍など紐とけば句間はありません。
しかし、これは死滅した活版の時代に生まれた印刷上の慣習です。
これは和歌や短歌など古文を教える友人も同意見。
下記の拙句。句間の空きなしと句間の半角空けを表記。
どちらが詠みやすいでしょうか。
凍て蟲や末期の歩み羽震え
凍て蟲や 末期の歩み 羽震え
俳句の文字表記が変遷するのは時代の流れと考えます。<殿>