575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

2006年11月02日 | Weblog
母校の名誉教授だった漢字研究の第一人者だった白川静先生が
96才で亡くなられました。
残念ながら授業を受けたことはないのですが白川先生の漢字への一途な
思いを知り、我が家には常用漢字を解説した「常用字解」があります。

先生のお名前の「静」の字を引いてみました。

青と争を組み合わせた漢字。青は青丹から作る青色の絵の具で器物を
聖化するために用いたらしい。争はすきを手で持つ形とのこと。
すきを青色の顔料で祓い清める儀式を静というそうです。

農具を清め、耕作のやすらかな実りを願うことから
「やすらか、しずか」の意味となるそうです。
白川先生のやすらかなご冥福をお祈りします。麗

ちなみに「麗」は鹿の角の形から来ているそうです。
一双の鹿の角は
美しいことから「うるわしい、ならぶ」の意味があるそうです。
漢字の成り立ちも面白いですね。
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ビール酌むにつぽん人の貌をして  姜東

2006年11月01日 | Weblog

姜東さんの句集「身世打鈴」より。
姜さんは、在日韓国人。

身世打鈴(シンセタリョン)は、
身の上話を意味する韓国の言葉です。

いくかの句を紹介します。

  名を問はれ生姜の姜の字と書く灼(や)け地

  マスクの眼韓人同士すぐわかる

  指紋とられ黙って戻る西日中

  永住を許されし夜や底冷えす

  迎火の路地の奥より身世打鈴

   韓国独立記念館
  日本語にふりむく眼鋭し壁凍てて


あとがきには次のように書かれています。

俳句という表現形式による一人の在日韓国人の自叙伝。
韓国人の私が日本語で考え、話し、書くという行為は
自然ではない。しかしこの不自然な姿こそ私の姿。

             (遅足)

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