575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

祖母の俳句  麗

2007年10月18日 | Weblog
先週のブログで内藤洋子さんがお父様の俳句に励まされているという
ことを書きました。
この秋、私も亡くなった祖母の俳句を読み返す機会がありました。
4人の子供を産み定年まで小学校の教員を勤め、定年後は市からの依頼で結婚相談員となりなんと100組の縁談を取りまとめたスーパーばあちゃんです。
大分県生まれなので「大分のがばいばあちゃん」といったところでしょうか。

祖母は自己流で俳句・短歌を作り続けていました。晩年はちょっとぼけて変な句も多いのですがそれでも懐かしく元気なばあちゃんに会いたくなりました。
祖母の秋の俳句を見てみると

  野をゆけばも裾に萩の花こぼれ  (松條) 

という俳句がありました。
そういえば私も去年、萩の花を詠んだことがありました。

  音もなく大和路の萩咲きこぼれ   麗

偶然にも「こぼれ」という言葉を使っていることにびっくり!
血脈を感じた一瞬でした。
そんな祖母の好きな言葉は

「前の川から渡れ」。先のことは考えずまず自分の目の前に横たわる川から
渡っていくというもの。
これからどんな川があるのかわかりませんが
困った時、祖母の教えを思い出せればいいな~と
思った秋晴れの一日でした。
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10月の句会の題詠は「秋の暮」です。

2007年10月17日 | Weblog
秋の暮。
秋だけでも寂しいのに、更に夕暮れ。
一段と、もの寂しい空気が漂っています。
こんな句を見つけました。

  商人に孔雀親しむ秋の暮  摂津幸彦

イメージは鮮明。インドの市場でしょうか、
旅の商人が孔雀に餌を与えている。
孔雀もまるで旧知の人に会うかのように喜んでいる。
二人は親しげに話し合っているよう。
あるいは孔雀は美しい女性の比喩かも。
難解句で有名な作者にしては、とくに解釈に難しいこところはありません。

秋の暮、というウエットな季語を、異国のエキゾチックな景と
取り合わせた句でしょうか。
「親しむ」というややウエットな言葉が、
ふたつの相反するイメージを上手くつなげていると思います。

ただ、日本的な情緒にどっぷり浸かっている私には、
今ひとつピンときませんが。
良い句なんでしょうかね?

   


さて、句会は24日。締め切りは22日一杯です。
皆さんの「秋の暮」を、お待ちしています。




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落花生という奴    鳥野

2007年10月16日 | Weblog
もうすぐ、落花生の新豆のお目見えです。今年は猛暑のおかげで、よく膨れて、味も上々という。

落花生、南京豆、じまめ、ピーナッツ・・・呼び名は人それぞれ。中国では、万寿豆とも千歳子とも呼ばれ、ボケ防止、不老長寿食の代表。

それにしても、この豆は、罪な奴。脂肪分が49パーセントもあって、メタ族の大敵なのです。あのバタピーときたらなおのこと。

  淋しくて食いはじめたる落花生とどまりあへぬくるしみ来たる   小池光

気を付けねば。

繭型の外形は、がさっと野生味があり、トルソーにも似た殻に二つずつの実、味も良く、と愛されて、俳句には度々登場しています。

  落花生喰ひつつ読むや罪と罰  高浜虚子

は有名。

  放蕩の夜のむなしさよ落花生  小寺正三

  南京豆墓前に噛み噛み未成年  中村草田男

秋の情です。

日本では千葉県が主産地で、八街市には白鳥省吾の詩碑が建てられているそうです。

  いつ知らず葉は繁り 花は咲きて
  人知れず土に稔りぬ

余談 愛知県の西三河、碧南・西尾地方では、御節の煮豆といえば、落花生。
   「美味しいよ」と友達がいうのを信じて、名鉄碧南中央駅前のお店に出かけました。
   大豆のそれより、たしかにイケル。2年ほど続けたけど、この暮はどうしょうかな。


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明日は誕生日          愚足

2007年10月15日 | Weblog

 575ブログが誕生して明日で二歳になるようだ。

 誕生日2005年10月16日には、次のような主宰者の最初の記事が載せられている。
                                     「とりあえずスタート。・・・575の会のブログをスタートさせることにしました。これから句会での句を紹介していくつもりです。」

 これだけである。気負いがないというか、自信がないというか、自然体を得意とする主宰者「遅足」氏の姿勢がよく現れている。どうなるかと次の日に覗くと                                        小泉さんが靖国参拝・・愛国の勇士西向き禁煙す 

 それが始まりで二年間のお付き合い。いろいろ勉強させてもらい感謝している。 調べてみたら今日で840の投稿数になるようだ。立派なものだ。レギュラーには女性人も三人。世の中より進んでいる。
 お祝いに誕生日の句を。

   誕生日靴の重たさだけがある        佐藤鬼房
   雪嶺を遮二無二攀づる誕生日        赤尾兜子
   目には見えぬ落ち葉に充ちて誕生日     佐藤三保子

   ひんやりと木犀の香や誕生日        愚足
  
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カラス様々               草女

2007年10月14日 | Weblog
10月11日庄内緑地公園のバードウオッチングに参加。前日には居たという情報はあったがなかなか見つけ出せない。モズやシジュウカラをウオッチングしていると、草刈の仕事をしている人がハヤブサがいると教えてくれた。
 100mほど向こうの一番高い鉄塔の上。しかし、あまりに遠く頭の黒がわかる程度。なんとか飛んでくれないかと思っているが、ハヤブサは頭を動かすだけ。
 狩は朝と夕方で、昼間はそこでじっとしていると草刈の人も言う。
 諦めて移動しかけた時事件は起きた。 カラスが一羽、また一羽とハヤブサに近づいて行く。ドラマを予感させるものがあり、皆が釘付けになる。
 カラスは一羽も鳴かない。なのに続々と集まり、ジリジリと近づく。
 カラスが8羽ほどになった時、ハヤブサが飛んだ。美しい飛翔。翼の形がとりわけ美しく音もなく飛んでいるという感じである。300mほどでユーターンして再び鉄塔に戻ってくる。が カラスはなおも結集して数を増す。
 ハヤブサは、うるさそうにしているが、飛び去らない。
 「疲れてなんかいませんよ。飛ばないのは沽券にかかわるからでしょう。」とバードウオッチの先生が一言。 ハヤブサのプライド>私はそう思った。
 しかしどう見ても多勢に無勢。しばらくして、ハヤブサは再び森の奥のほうに去り、視界から消えた。

 おかげで、しっかりハヤブサの飛翔を観察できた。カラス様のおかげである。ハヤブサを追い払った十五・六羽のカラスは、誇らしげに電線にズラリと並んでいた。
 「結局カラスが大者なんです。と先生。確かにカラスは強くて賢い。そして数も多い。都会の環境に順応する知恵もある。
 ノリス、オオタカ、トビ、ハヤブサ等の猛禽類がカラスに追われている様子を幾度も目撃している。この日ハヤブサ撃退ショーを見せてくれたあのカラスたちは鳴き声も立てなかったし、遠かったのでハシブトカラスかハシボソカラスかは不明のままだ。山と渓谷社の図鑑によると「ハシブトカラスはタカ類やフクロウ類を見つけると追い回す習慣がある。」と記載されている。
 それにしても、今日の功労者はハシブトカラスであった?

  隼の霧きる翅音きこえけり     吉田冬葉

※写真はハヤブサがカラスを追いかけている場面である。
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朱露さんテレビ出演  

2007年10月13日 | Weblog
出演する番組は、
  列島横断俳句スペシャル(BSー2)

日時は
  10月28日
  午前11時から午後4時まで

場所は、
  名城公園
  選者は
  寺井谷子 加藤かな文 草柳伸一(朱露さん)

これで?回目の出演です。

  なお、当日の番組開始まえに、
  会場で「題」が発表されるそうです。

             (遅足)
  

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我が恋は芋唐辛子萩の花   朱露

2007年10月13日 | Weblog

 歳時記を見ていて無理矢理作った。
 芋は食うだけ、唐辛子は辛いだけ。
 萩の花は、独りひっそり咲くだけ。
 ナンチャッテ・・・



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金木犀        草女

2007年10月12日 | Weblog
 庭にとてつもなく大きな金木犀がある。 この木は私がこの家に来たとき幹周り20cm、高さ3mほどだった。それが、ここに住む年数に比例して成長し、今や幹周り100㎝(地面からすぐの所で三本に分かれる)高さ10mほどとなっている。
 この木にはいつも悩まされている。庭に降り注ぐはずの太陽を独り占めしている。落葉の最盛期には掃ききれないほどの落ち葉。常時葉を落とすので道路を毎日掃く。花の落ち様も半端ではない。オレンジ色の絨毯は美しいが掃きとるとき塵取り一杯ではきかない。
 今では邪魔者扱いされているが、切れぬ理由が二つある。一つは余りに大きくなりすぎて老人となった私たちにはもう手に負えなくなっていること。
 もう一つは、野鳥たちを呼ぶのに必要であることだ。庭に来る鳥たちは一度この木の中に入り、それからえさ台に降りてくる。猫や人が近づいたときもまずは、この木に逃げて様子を見ている。こんなになっても植木屋さんに頼まぬ理由がここにある。
 モクセイ科モクセイ属の常緑高木。薄褐色の樹皮が犀の皮に似ているから木犀。
 そうそっくり。中国原産で江戸時代に渡来した。やってきたのは雄株のみであるから結実しない。近縁種のギンモクセイは西日本に多く、キンモクセイは東日本に多いという。

  木犀の香に染まりつつ干し物す     草女
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座右の俳句   麗

2007年10月11日 | Weblog
元ドラゴンズの選手の平野謙さんのお姉さん、エッセイやラジオ番組で
活躍されている内藤洋子さんのエッセイ「雲ひとつあり」
を読みました。
小学生の時にお父さんを、高校の時にお母さんを亡くしておられたことを
本を読んで初めて知りました。

その中に内藤さんの三面鏡の横に掲げてある俳句が紹介されています。
  
  おみくじは 凶とあるなり 冬晴るる

これは亡き父上が35歳の時に詠んだ俳句だそうです。
毎朝、化粧をするときに目に入ってくるお父さんの俳句。元気のない日、落ち込んだ日に「今日もがんばれ。空は晴れているじゃないか。」とその俳句に励まされているそうです。
亡き父上が仕事がうまくいかない時に作ったらしい俳句が今なお娘の背中を押してくれる。そんな座右の俳句を「座右のおまじない」として紹介していました。

元気の出る俳句。
私もいつの日かそんな俳句が作れるようになりたいです。

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俳句教室より    遅足

2007年10月10日 | Weblog
荻原先生の俳句教室、題は「秋刀魚」でした。

この題は佐藤春夫の秋刀魚の歌のイメージが強烈で、
なかなか、そこから抜けられませんでした。

 空色の翼をたたむ秋刀魚かな  遅足

読む人によって評価が真っ二つに分かれる。
すんなりと納得してくれる読者と、
「秋刀魚に翼はない」という人と。
「空色の翼」という表現で句としては成り立っているのでは?
という診断でした。


 普通の日普通に暮れて秋刀魚焼く  晴代

サザエさんの一日は、さまざまな事件が起こるけれども
平穏に一日が過ぎてゆく。
秋刀魚が、あり合わせでも、特別でもない夕食の食材なのが
句を生かしている。
普通の日も特殊な日なのである、という認識があって
見事に成り立っている句。
とのお話しでした。

  

私は最初に

 秋刀魚焼く男は○○になりにけり

というパターンを考えたのですが、ついに○○が
思いつきませんでした。
○○は何がいいでしょうね?








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この国を何と心得る泡立草    朱露

2007年10月10日 | Weblog


  背高泡立草は北アメリカ原産帰化植物。
  国粋主義者じゃないが、この草は嫌だ。
  薄と泡立草の死闘を君よ知るや東の国。
  遂にここ数年で薄の勝ちと見た、ヘヘ。
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摩訶曼珠沙華      鳥野

2007年10月09日 | Weblog
今年の酷暑は生き物たちに、ずいぶん辛い思いをさせました。
縁あって毎年訪ねる津屋川堤防の彼岸花も、いつもの勢いはなく、花数も少なく花色も冴えません。

南濃町(平成の合併で海津市)のHPにも、例年のように一面には咲いていませんと、断ってありました。

秋彼岸のころになると、なぜか心惹かれて、落ち着かない花。彼岸花の不思議です。

嫌われているのか、愛されているのか、この花は400もの異名を持つとか。

嫁のかんざし、狐のくびかざり、じごくばな、しびとばな、ゆーれーばな・・・。
葉と花は決して会うことがないからと、韓国では、相思花。

仏教では、法悦の時、空から舞い降りる4種の蓮華の一つ、摩訶曼珠沙華。

俳句にも短歌にも、数多く詠まれていますが、忘れられないのは、

  つきぬけて天上の紺曼珠沙華  山口誓子

  あかあかとほうけて並ぶきつね花死んでしまえばそれっきりだよ  山崎方代
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相手の台詞で一句         愚足

2007年10月08日 | Weblog
 「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの

 俵万智さんを一躍有名にした短歌。 これは相手の囁きを巧みに取り入れています。
 先回は自分の台詞を織り込んだ俳句でしたが、今回は相手の囁きを取り込んだ俳句を「ひらのこぼ先生」から紹介いただきます。

 近くまで来たのでと言う秋桜       鈴木鷹夫
 渡り鳥見えますとメニュー渡される    今井 聖
 翁かの桃の遊びをせむと言ふ       中村苑子

愚足の推薦句 ほととぎす問い問ふ「こころ荒れたか」と 
                          中村草田男
愚足の句   秋の暮れ明かりつけよと妻の言ふ   
 
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心と情    遅足

2007年10月07日 | Weblog

便(たより)なくば一花(いちげ)の手向情あれや 一茶

私から便りがなくなったら、せめて花一輪でも手向けとして下さい。
そのお心遣いで十分です。
一茶がある人と別れた時に詠んだ句です。

「情」をこころ、と読みます。
心と情はどう違うのでしょうか?

金子兜太さんの解説です。
心は「ひとりごころ」
自分に向かって深入りしてゆく心の状態。
「情」は「ふたりごころ」
他に向かって開いていく心。
心は閉じて行くこころ。
情は開かれて行くこころ。

             一茶句集・金子兜太より

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家壊し家建てる音秋深し   朱露

2007年10月06日 | Weblog


    三十年も経つと代も変わることだし。
    笑顔と暑い寒いの挨拶だけの日々だ。
    日本中そんな感じの毎日じゃないか。
    ニンゲンハナンノタメニイルノカナ。

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