575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

百年後四角い葡萄皿に盛る     狗子

2012年09月21日 | Weblog
9月句会。7人の参加でした。
葡萄の句をつくるために爪が染まるほど食べた方も。
静荷さん、立雄さんの選句も頂き、最終結果です。   

題詠「葡萄」

①宅配の幟はためく葡萄道(麗子)鳥野・童子・智恵・亜子・立雄
②許そうかぶどうの色に染まる爪(えみ)能登・すみ
③血圧を葡萄で下げる心意気(朱露)
④青ぶどう部活バイトにあけくれて(静荷)
⑤口づけの余韻のやうに葡萄の香(亜子)鳥野・朱露・遅足・えみ
⑥先ず味見葡萄を描く姉妹かな(立雄)すみ
⑦ひとつひとつ死後のことなどマスカット(遅足)麗子・鳥野・能登・狗子・えみ・晴代・亜子・静荷
⑧葡萄食む母うめぼしの口をして(能登)朱露・童子・狗子・すみ・立雄
⑨葡萄食む茎のありさま化学式(晴代)麗子・智恵・狗子・郁子
⑩黒葡萄するりと脱いでうすみどり(すみ)能登・童子・智恵・遅足・郁子・晴代・静荷・立雄
⑪頬寄せて葡萄艶めくロココ調(郁子)
⑫葡萄色爪染め付けて三日の余(智恵)
⑬百年後四角い葡萄皿に盛る(狗子)麗子・朱露・遅足・郁子・えみ・晴代・亜子・静荷

 
自由題
 
①母を恋ふ子を預りぬ虫の宿(静荷)鳥野・能登・すみ
②秋の日の光をみだして蝶の恋(遅足)智恵・立雄
③風の子が葉裏で舞えば秋になる(えみ)麗子・朱露・遅足・郁子
④冬瓜の調理法見るアイパッド(麗子)智恵・晴代・静荷
⑤黒板の数式解けて涼新た(亜子)麗子・能登・狗子・晴代・立雄
⑥遠雷にひときわ高き虫の声(立雄)能登・童子・狗子・亜子
⑦薬とて不味そうに飲む温め酒(能登)鳥野・智恵
⑧栞より読みだす紀行秋の風(晴代)遅足・えみ・亜子
⑨青蜜柑一房づつの回し食べ(すみ)郁子・えみ
⑩立ちこぎで帰る背中や秋の夕(郁子)麗子・鳥野・朱露・童子・狗子・えみ・晴代・すみ・亜子・静荷
⑪二階からモチの木の葉に話しかける(朱露)
⑫残り蚊が二ヶ所刺すとは腹立たし(智恵)朱露・郁子・すみ
⑬合す掌のまだ汗ばんで秋彼岸(狗子)童子・静荷・立雄


次回は10月17日(水)午後1時 東鮨
題詠は「木の実」「木の実落つ」です。       遅足


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秋暑しまだ起きて来ぬ若者共     朱露

2012年09月20日 | Weblog
      仕事がない私がこの辺の早起き頭。
      今八時半若者夫婦の家は気配なし。
      八時四十分六軒のプレハブ沈黙中。
      今一軒の家から夏休みの子供一人。


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9月句会の投句が集まりました。    遅足

2012年09月19日 | Weblog
大雨が東海地方を襲いました。皆さん、大丈夫でしたか。
三重県や岐阜県は大変だったとのこと。
台風と秋雨前線の降らす雨は怖いくらいです。
葡萄の句、面白い句が集まりました。

題詠「葡萄」

①宅配の幟はためく葡萄道
②許そうかぶどうの色に染まる爪
③血圧を葡萄で下げる心意気
④青ぶどう部活バイトにあけくれて
⑤口づけの余韻のやうに葡萄の香
⑥先ず味見葡萄を描く姉妹かな
⑦ひとつひとつ死後のことなどマスカット
⑧葡萄食む母うめぼしの口をして
⑨葡萄食む茎のありさま化学式
⑩黒葡萄するりと脱いでうすみどり
⑪頬寄せて葡萄艶めくロココ調
⑫葡萄色爪染め付けて三日の余
⑬百年後四角い葡萄皿に盛る
 
自由題
 
①母を恋ふ子を預りぬ虫の宿
②秋の日の光をみだして蝶の恋
③風の子が葉裏で舞えば秋になる
④冬瓜の調理法見るアイパッド
⑤黒板の数式解けて涼新た
⑥遠雷にひときわ高き虫の声
⑦薬とて不味そうに飲む温め酒
⑧栞より読みだす紀行秋の風
⑨青蜜柑一房づつの回し食べ
⑩立ちこぎで帰る背中や秋の夕
⑪二階からモチの木の葉に話しかける
⑫残り蚊が二ヶ所刺すとは腹立たし
⑬合す掌のまだ汗ばんで秋彼岸

どの句に風が集まるのでしょうか?
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旅する秋刀魚

2012年09月18日 | Weblog
「あわれ秋風よ 情あれば伝えてよ 男ありて今日の夕餉に
 ひとりさんまを食ひて 思いにふけると・・・」

南紀勝浦の駅前に建つ、佐藤春夫の歌詩碑。その前で友人はしみじみ
と言いました。「秋刀魚って寂しいサカナなんだね」遠いむかしのことです。

安価で滋養たっぷり、その上に美味と親しまれているさんまは、はるばると旅を
する魚。
北太平洋の千島列島あたりで生まれ、南下して秋の味覚になります。

歳時記によれば「江戸時代には人気がなかったからか、季語にはならず、
見直されたのは、現代になってから」とのこと。

銀光に包まれ、小太刀めく魚形。口元にちょっと黄色を差して顔つきは魅力的。
今夜は塩焼きに、と思っても、コンロの炭火がないのは残念。

 ・ 厨までいかなる旅路をたどりしか秋刀魚のまなざし澄みて健やか

                          鳥野
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鳥渡る被曝分け合う漢たち    遅足

2012年09月17日 | Weblog
秋雨前線に台風の影響もあって、今日も不安定な天気です。
あまり報道されませんが、事故を起こした原発では、
相変わらず綱渡りの作業が続いています。
知りたいことをキチンと報道してくれるNHKのETV特集。
「原発作業員・二年目の夏」を見ました。

30年、40年と、何時、終わるとも知れない危険な仕事に
汗を流しているのは、事故の前から原発の仕事に携わってきた人たち。
それに、地元福島で仕事を失った人々が新たに加わっています。

年間で20ミリシーベルトの被曝まではOKとされていますが、
原子炉に近いところほど、放射能は高濃度です。
そんな現場で作業すれば、放射能はどんどん蓄積されていきます。
一人一人が一日でも長く働くために、作業員の皆さんは「被曝を分け合って」います。
将来の健康に不安を抱えての毎日です。

事故以前からの元請→下請け→さらに下請け、という
差別の構造は変らず、むしろ拡大再生産されています。
一番危険な作業に従事している人たちは、被曝を分け合うしかないのです。

私に何が出来るのでしょうか?
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電気器具次々壊れ秋暑し     朱露

2012年09月16日 | Weblog
    昔風に言えば蓄音機が自爆した。
    音楽がないと生きていられない、
    ということがしみじみ分かった。
    本なんかどうでもいい、音楽だ!



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海を渡るアサギマダラ     遅足

2012年09月16日 | Weblog
先日、蓼科山の御泉水に遊びにいきました。
この公園にはヒヨドリ草が咲いています。
この花はアサギマダラの大好物。この日も蝶の姿を見ることが出来ました。
アサギマダラは、ここからさらに2000キロ、
南にむかって飛んでいくわけですが、どうも決まった道があるようです。
麓の一箇所で、蝶が沢山飛んでいるのを見かけました。
ふわふわと飛んでいるので、車のフロントガラスに衝突、
道路に転がっているものも・・・

この蝶の翅を真似た扇風機の新製品があるそうです。
アサギマダラは、あまり細かく羽ばたかず、
ひらひらと滑空するような飛び方をするそうです。
その秘密は、翅のくびれと羽ばたく時のうねりにあるとか。
この翅を真似たところ、一枚の羽根から送られる風が、
ふたつに分かれ、肌にやさしい風となったとのこと。

自然が何万年もかけて開発した蝶の翅。素晴らしい自然の智恵ですね。

   蝶々の翅をまわして風送る     遅足

写真は薊に止まったアサギマダラです。

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咲き満ちて時には風の芙蓉とも       遅足

2012年09月15日 | Weblog
庭の木蓮の木に雉鳩が巣をつくっています。
かなり長い間、卵を抱えてじっとしていましたが、
先日、雛が姿を見せました。一羽です。
もう親鳥はいつも巣に居るということはありません。
しかし、昨日、今日と強い雨が降り始めると、
ちゃんと巣に現れて雛を雨から守っていました。

芙蓉の花が今を盛りと咲いています。  遅足




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サンヨネで鰻眺めて通り過ぎ     朱露

2012年09月15日 | Weblog
     サンヨネは豊橋の食品スーパー。
     鰻は夏の季語の横綱格でいいか。
     しかし我が家では鰻など喰わぬ。
     私が真鶴の者なのでなじまない。



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本当は逢いたし拝復蝉しぐれ    池田澄子

2012年09月14日 | Weblog
句集「拝復」のなかの一句です。

作者は、ある本のなかで、拝復について、こんな風に書いています。
頂いた手紙の返信を書く。まず、拝復と。至福の一瞬である。
窓辺の木の葉が秋風に揺れている。
秋風に「拝復、ありがとう」とつぶやく、と。

句集のあとがきには、
生きるということは、多くのものを拝受することだ。
それらへの「拝復」の言葉、私にとっては即ち俳句の言葉、とも。

俳句は人や自然との交流なんですね。

  僭越ながらというふうに瓜の蔓

  自然薯の永き我慢を摺りほぐす

ふっと笑いを誘われませんか。
私は、こんな句も好きです。

  横向けばあなたが見えて秋の風

                    (遅足)

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最強のふたり  麗

2012年09月13日 | Weblog
先日、話題のフランス映画「最強のふたり」を見てきました。
お金持ちの障害者と貧しい黒人の介護者との出会い。
趣味も環境も全く違うふたりがやがてかけがいのない最強のふたりとなっていきます。
遠慮のない会話も面白く、人生捨てたものじゃないという気持ちになれます。
人は人によって救われるという当たり前のことを思い出させてくれます。
夏ばてに疲れた身体にはほどよく優しい気持ちになれる映画でした。


       秋晴れのような映画に出会いけり   麗
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紙の上の墨の二文字秋の声   遅足

2012年09月13日 | Weblog
先日、書道展に入選した友人の書を見に行きました。
たっぷりの墨で大きく、漢字の二文字。
家に帰って漢和辞典を紐解いた結果、「静泰」と読みました。
静かで泰然とした様子をいうのでしょうか?
確かに、静泰、の二文字がふさわしい友人です。

書道展には、かな、大字書、篆刻、前衛書、という分け方があるようです。
近代詩文書、というコーナーには、俳句や短歌が素材になっていました。
そのなかの一つ。
全面に、墨痕の龍、と大きく書かれており、
左下には、

  初空や墨痕の龍駆け上がり

俳句の作者は、石川さん。名前は、達筆すぎて読めませんでした。
そういえば、今年は、辰年。
姪に男の子が生まれ、名前は龍之介くん。

この他、こんな句も。

  姫女苑雪崩れて山の風青し  みどり女の句

  壷に挿しきれぬ龍胆横たはる 夏風の句

自分の句が筆で書けたら素晴らしいでしょうね。





  
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「葡萄」句会近づく。     遅足

2012年09月12日 | Weblog
9月句会が近づいてきました。今回の題詠は「葡萄」です。
葡萄など、果実は美味しい。
これは、鳥や獣たちに食べてもらい、糞に混じった種を
遠くに運んでもらうため。
移動の自由の無い植物たちのサバイバル戦略。
人間は果実をどんどん甘くし、ついには種無し葡萄を作り出しました。
ここまで来ると、葡萄にとっては有難迷惑でしょうね。

葡萄を詠んだ句。

  葡萄あまししづかに友の死をいかる  西東三鬼

友人が死んでしまった。そのことを怒っている自分。
そして、もう一人、葡萄をあまいと感じて食べている自分。
キリスト教的に言えば、霊と肉の相克でしょうか。
この友は篠原鳳作。

  しんしんと肺碧きまで海の旅   篠原鳳作

30歳の若さで亡くなっています。

  広島や卵くふ時口ひらく    西東三鬼

この句に通じるものがありますね。

  初恋にはやき晩年マスカット   遅足


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雷鳴や独り碁を打つ多米の朝      朱露

2012年09月11日 | Weblog
     雷は神鳴の意味だと広辞苑で知った、
     と書いた途端猛烈な雨が襲いかかる。
     働いていない私などどうでもいいが、
     豪雨と落雷を潜ってどう行く積りだ。

               


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松一本の景観   鳥野

2012年09月11日 | Weblog
大船渡の盛駅から八戸まで、三陸縦断鉄道が全線開通。待望の旅に出たのは
30年ほど昔のこと。民営化される前でした。

気仙沼線、大船渡線、山田線、南アリス線、北アリス線、八戸線と繋ぐ複雑な行程も
すべて国鉄一本の列車旅です。

楽しみは、車窓からの太平洋眺望。しかし、これは難事、背には山が迫り、前は
断崖で、ほとんどがトンネル。駅に停車する間に、集落の向こうに海を眺めて満足していました。

その後、是非にと願っていたのは、南に続く陸中海岸国立公園。その中ほどの「高田の松原」が見事と聞いていました。

江戸時代に豪商が防潮のために植えはじめ、やがて2キロに7万本。
それが、東日本の震災で、流失とは。

たった1本残った「高田の一本松」。復興のシンボルと親しまれてきましたが、
その松も塩害で危うく、いま保存の方法が講じられています。

この松原に建っていた石川啄木の歌碑も津波に攫われてしまいました。

 ・ 命なき 砂のかなしさよ さらさらと にぎれば ゆびの間よりおつ

                        石川啄木
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