日本男道記

ある日本男子の生き様

その日のまえに

2006年02月18日 | 読書日記
その日のまえに

文藝春秋

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【一口紹介】
神さまは意地悪だから、大切なひとを遠くへ連れ去ってしまう。昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。
それを不意に断ち切る、愛するひとの死-。
生と死と、幸せの意味を見つめる連作短編集。『別冊文芸春秋』掲載。
著者 重松 清
【読んだ理由】
ベストセラーの話題の書。

【印象に残った一行】
『告知を受けたあと、一ヶ月ほど和美は自宅で過ごした。僕も仕事をセーブして、なるべく家にいるようにした。
年明けに二度目の入院をするまでに、僕たちは、たぶん一生分の涙を流した。
子供たちには悟られないよう、夜中の寝室で掛け布団を頭からかぶり、枕に頭を埋めて泣きじゃくった。熱いシャワーを頭から浴びながら泣いた。車の中で泣いた。
行きずりに入ったバーで泣いた。フィットネスクラブのプールで泳ぎながら泣いた。スタッフが引き上げたあとの仕事場で泣いた。
ベッドで抱き合って、お互いの胸に顔を押しつけて、かわるがわる泣いた。
昼間は運命を受け容れている和美も、夜中になると、急に激しく身震いすることがあった。僕だってそうだ、思い切り大声で叫びたい夜がある。
無我夢中で床を転げ回って、頭をかきむしって、手当たりしだいに物を壁に投げつけて・・・最後の最後は、なにも考えずにすむ赤ん坊に戻ってしまいたい、とさえ思った。
どんなに理屈で納得しようとも、決して消えない感情がある。悲しみや、怒りや、悔しさや、恐怖や、不安や、申し訳なさや、後悔や、街で幸せそうな家族連れを見たときの恨めしさや妬ましさも、なかったとは言わない。
僕は自分が思っていたよりずっと弱くて、もろくて、身勝手な男だった。』

【コメント】
突然死、事故死、宣告された死。昨日の、今日の、そして明日の死。
それを迎える人、送る人——。
昨日は明日に続くはずなのに、不意にぷっつりと断ち切られる今日(その日)を、七つの短編で描き、生と死と幸福の意味を問う。




Daily Vocabulary(2006/2/18)

2006年02月18日 | Daily Vocabulary
1701.on the road (旅行中で、出張中で、遠征に出て)
He is a musician and is on the road about half the time.
1702.long-distance (長距離の、遠距離)
Long-distance dating is one one way to keep work lives and love lives in balance.
1703.back and forth (あちこちへ、前後に、行ったり来たり)
If you are tired of driving back and forth, you can rent an apartment near the campus.
1704.luck out(幸運に恵まれる、運よく出くわす)
You really lucked out today.
1705.wedlock(結婚している状態、結婚生活、婚姻)
She has babies out of wedlock.
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