一瞬の風になれ 第二部講談社このアイテムの詳細を見る |
【一口紹介】
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冬のオフシーズンを経て、高校2年生に進級した新二。
冬場のフォーム作りが実を結び、スピードは着実に伸びている。
天才肌の連も、合宿所から逃げ出した1年目と違い、徐々にたくましくなってきた。
新入部員も加わり、新たな布陣で、地区、県、南関東大会へと続く総体予選に挑むことになる。
新二や連の専門は、100mや200mのようなショートスプリント。
中でも、2人がやりがいを感じているのが4継(400mリレー)だ。
部長の守屋を中心に、南関東を目指してバトンワークの練習に取り組む新二たち。
部の新記録を打ち立てつつ予選に臨むのだが、そこで思わぬアクシデントが……。
第2部に当たる本書では、人と人の繋がりに重点が置かれている。
新二と連の友情、先輩・後輩の信頼関係、新二と谷口若菜の恋愛模様。
第1部で個々の人物を丹念に描き、読者に感情移入をうながしているだけに、皆の気持ちが1つになっていく姿は強く胸を打つ。
特に、一人ひとりがバトンをつなげていく4継の描き方が素晴らしい。
自分勝手と思えるほどマイペースな連が見せる、4継への、仲間で闘うことへの執着、意気込み。
連のまっすぐな言葉に新二たちがはっとする時、その言葉は読み手の心にもストレートに届くのだ。
本書は、起承転結でいうところの、承句と転句。
さまざまな事件、障害、葛藤を経て、スピードに乗った物語は、第3部のフィナーレへとなだれ込む。(小尾慶一)
◆出版社/著者からの内容紹介◆
何かに夢中にだった、すべての人へ贈る青春小説
「最高だ」
直線をかっとんでいく感覚。このスピードの爽快感。身体が飛ぶんだ……。
少しずつ陸上経験値を上げる新二と連。
才能の残酷さ、勝負の厳しさに出会いながらも強烈に感じる、走ることの楽しさ。意味なんかない。でも走ることが、単純に、尊いのだ。
「そういうレースがあるよね。きっと誰にも。一生に一回……みたいな」
今年いちばんの陸上青春小説、第2巻!
【読んだ理由】
話題の書。珍しい陸上青春小説。第28回(平成18年度)吉川英治文学新人賞受賞。
【印象に残った一行】
『簡単に比較はするな。陸上はずばり数字で出てくる競技だ。比較は簡単だ。だが、その選手の潜在能力は現在のタイムだけでは計れない。追いつこうとあせったっらダメだ。そう簡単に追いつける相手じゃない。それでも、追いかけるんだ。盗めるものは全部盗め。真似られるところは全部真似しろ』
『努力したぶん、きっちり結果が出るわけじゃない。だけど努力しなかったら、まったく結果はでない」
【コメント】
五十代後半の私にも若き日の血が甦る。