
【原文】
子謂子貢曰、女與囘也孰愈、對曰、賜也何敢望囘、囘也聞一以知十、賜也聞一以知二、子曰、弗如也、吾與女弗如也、
【読み下し】
子、子貢に謂いて曰わく、女(なんじ)と回と孰(いず)れか愈(まさ)れる。対(こた)えて曰わく、賜(し)や、何ぞ敢て回を望まん。回や一を聞きて以て十を知る。賜や一を聞きて以て二を知る。子の曰わく、如(し)かざるなり。吾と女と如かざるなり。
【通釈】
先生が子貢に向かっていわれた、「お前と回とは、どちらが勝れているか。」お答えして「賜(し)[この私]などは、どうして回を望めましょう。回は一を聞いてそれで十をさとりますが、賜などは一を聞いてそれで二が分かるだけです。」先生はいわれた、「及ばないね、私もお前と一緒で及ばないよ」
【English】
The Master said to Tsze-kung, "Which do you consider superior, yourself or Hui?"
Tsze-kung replied, "How dare I compare myself with Hui? Hui hears one point and knows all about a subject; I hear one point, and know a second."
The Master said, "You are not equal to him. I grant you, you are not equal to him."
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。