<酒蔵の道>
家から浜の方へ真っ直ぐ下っていくと阪急神戸線、山手幹線道路、JR神戸線、国道2号線、阪神電鉄本線、
国道43号線を直角に横切って、灘五郷のうちの御影郷の酒造会社が並ぶ地域に辿り着く。歩いても40分くらいの距離だ。
江戸時代から灘五郷と言われているが、魚崎郷、御影郷、西郷の三郷が現在の神戸市東部にあり、今津郷、西宮郷が西宮市内にある。
神戸市の三郷は阪神電車の駅名で言えば、東の方から西へ魚崎、住吉、御影、石屋川、新在家ときて大石駅までの狭い範囲に全て含まれる。
大手の酒造会社はそれぞれ資料館や記念館を開設しており、昔の酒造りの有様や道具・器具類を展示したり、自社の酒を販売したり、
コーナーを設けておいしい出来立ての酒を有料ながら飲ませている。
桜正宗記念館、菊正宗酒造記念館、白鶴酒造資料館が魚崎郷にあり、御影郷と西郷には瀧鯉蔵元倶楽部酒匠館、泉勇之介商店(灘泉)、
神戸酒心館、こうべ甲南武庫の里、沢の鶴資料館があり白い壁の土蔵の間の道が「酒蔵の道」として整備されている。
そしてモデルルートの誘導標識も立っている。
神戸酒心館
八年前に震災で壊滅的な被害を受けた地域だが、ようやく全ての施設が復旧して全行程五時間ほどのほろ酔いトリップを楽しむ人も増えてきたと聞く。
家から車で10分ほどで行ける福寿酒造の神戸酒心館には豆腐と蕎麦料理をメインとする和食レストランが併設されており、
酒もうまいが、豆腐と蕎麦そのものがうまいせいか豆腐と蕎麦好きの中老年でいつも流行っている。
神戸に立ち寄られモダンかつレトロ神戸のスタンダード観光コースを済まされたらこの「酒蔵の道」も一度ためされることをお勧めします。
ご一緒に歩きましょうか。
<おから>と<いしる>
先日の晩、夕食のおかずに「おから」が出てきた。いつものおから料理よりおいしい。
このあいだ蕎麦を食べたあと神戸酒心館の売店で買った「おから」に、今日届いた
「いしる」を入れてみたと言う。いままでのおから料理と旨みが違う。
酒心館に併設されている販売店は全国各地の健康食品・調味料・酒器などを
扱っており、味は間違いないものばかりだ。おからもいいものだったのだろう。
「いしる」は初めて聞く名前だった。東北の「しょっつる」と同じ魚醤の一種だという。
瓶のラベルを読むと日本三魚醤の一つと書いてある。語源は「いお(魚)のしる」かと書いてある。
魚醤と言うものの中ではベトナムのニョクマムが一番有名だと思うが、日本にも昔からある調味料らしい。
この魚醤醸造法は南方照葉樹林文化にルーツがあると言われている。冷温物流チエーンの発達のお陰で
コープコウベが取り扱いだしたので家でも初めて買ってみたとのこと。生産者は金沢市にある会社だった。
酒は「福寿」ではなく買置きの「梅錦」を冷やでやったが、「おから」はこれに良く合った。
うまいと言うと「でしょデショでしょ」とうるさい。「いしる」を入れたらどうだろうと閃いたのが大正解、
おからにちくわと平天を刻んで入れて、これに生姜、ゴマ、ミリン、お酒、しょうゆと砂糖で整えたと。
確かに好きなおからがこの日はもう一味違っていた。うちの「定番の一品」に登録が決まった。
2003.12.23記
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酒心館の「さかばやし」でせいろを一枚食べました。
ショップの「東明蔵」はご婦人方で混んでいました。団体客のようでした。やはり山中教授のノーベル賞受賞晩餐会に供された
朝日新聞の記事から。2012年12月8日03時00分
ノーベル賞晩餐会に神戸の酒
写真:ノーベル賞の晩餐会で振る舞われる「福寿」
山中伸弥・京大教授が出席する10日のノーベル賞授賞式後の晩餐(ばんさん)会で、神戸市東灘区の神戸酒心館(しゅしんかん)が造る清酒「福寿(ふくじゅ) 純米吟醸」が振る舞われる。