第1次大戦ではドイツ空軍のエースパイロット、第2次大戦ではドイツ軍国家元帥だったヘルマン・ゲーリングが、
被告として臨んでいた戦後のニュルンベルグ軍事裁判の間に、アメリカ軍の心理分析官に語ったという言葉です。
「もちろん、国民は戦争を望みませんよ」ゲーリングが言った。
「運がよくてもせいぜい無傷で帰ってくるぐらいしかない戦争に、貧しい農民が命を懸けようなんて思うはずがありません。
一般国民は戦争を望みません。ソ連でも、イギリスでも、アメリカでも、そしてその点ではドイツでも、同じことです。
政策を決めるのはその国の指導者です。……そして国民はつねに、その指導者のいいなりになるよう仕向けられます。
国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、
平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよいのです。
このやり方はどんな国でも有効ですよ」 引用元。
日本で入手可能な確実な出典を探して手にしたのは、ジョセフ・E・パーシコ(Joseph.E.Persico)というアメリカの伝記作家の
「ニュルンベルク軍事裁判」上・下(白幡憲之訳、2003年原書房刊)という本でした。その下巻の171ページに、以上のくだりがあります。その引用です。
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別の翻訳:
「もちろん、一般市民は戦争を望んでいない。貧しい農民にとって、戦争から得られる最善の結果といえば、
自分の農場に五体満足で戻ることなのだから、わざわざ自分の命を危険に晒したいと考えるはずがない。当然、普通の市民は戦争が嫌いだ。
しかし、結局、政策を決定するのは国の指導者達であり、国民をそれに巻き込むのは、民主主義だろうと、ファシスト的独裁制だろうと、
議会制だろうと共産主義的独裁制だろうと、常に簡単なことだ。
国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。とても単純だ。
自分達が外国から攻撃されていると説明するだけでいい。
そして、平和主義者については、彼らは愛国心がなく国家を危険に晒す人々だと公然と非難すればいいだけのことだ。
この方法はどの国でも同じように通用するものだ。」
(ヘルマン・ゲーリング)