2022年9月2日 6時00分 八剱神社神楽殿にお目見えした「ご遷宮のお飾り」
諏訪市小和田の八剱神社で遷座祭を奉祝する「ご遷宮のお飾り」が1日、同神社神楽殿にお目見えした。
人形を中心に時代絵巻や神話の一場面を再現した飾り物で、かつては地区内の川や橋、船着き場、神社の境内を「巨大な舞台」に変えて祭りを楽しんだ。
現在は神楽殿で受け継ぐ形となっているが、前回に続いて本朝二十四孝の「奥庭狐火の段」を氏子有志が復元。躍動感を増した人形たちが物語の世界に誘っている。
お飾りが盛んだったのは明治~昭和初期で、御柱年に区民総出ではぜ棒を組み合わせて山や岩の骨格を作り、古い蚊帳を掛け、木の枝で背景を作り、人形を飾った。
1932(昭和7)年に北小路区が作った「桃太郎鬼ケ島征伐凱旋の場」の写真を見ると、宝物を積んだ帆掛け船「日本一丸」は若者約50人が乗れるほどの大きさ。
戦後は途絶えたが74(昭和49)年に湯小路区で復活。小規模ながら続けられてきた。
2016(平成28)年には歴代役員有志らで「お飾り実行委員会」を発足し、12年ぶりにお飾りを披露した。
「狐火の段」は武田信玄の息子勝頼と、上杉謙信の娘八重垣姫の恋物語。使者として塩尻に向かった勝頼に刺客が迫る。
危機を知らせたい八重垣姫だが諏訪湖は結氷し舟を出せない。「羽がほしい、飛んでいきたい…」。
武田家伝来の諏訪法性の兜に祈りをささげると、願いはかなう。姫は兜を掲げ、諏訪明神の化身、白狐の招きで湖上を渡っていく―という内容。
八剱神社が諏訪湖の御神渡り神事をつかさどることから湖中に像が建つ「八重垣姫」に着目した。
お飾りは8メートル×3.5メートル。前回の八重垣姫は青い目のマネキンだったが、今回はあどけない少女の面影に仕立て、法性の兜も忠実に再現。
勝頼の人形を追加した。白狐は2匹から4匹に増やし、20個の狐火はLEDライトで光るようにした。御神渡りは発泡スチロールで表現している。
メンバー約10人が参加した8月31日の飾り付けが終わると、全員から「よくできました」と拍手が起こった。
名取美明会長は「格段に良くなった。ぜひ見に来てほしい」。新潟県長岡市から月1、2回通って人形作りに励んだ吉村栄里香さんは
「宮司のイメージが何とか形になった」と安堵の表情を浮かべた。
宮坂清宮司は「先人の創造(想像)力、団結力、エネルギーに驚かされる。現代人として見習うべき点は多い」と語った。
正遷座祭が行われる10月初旬まで展示するという。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます