阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

映画「キャピタリズム-マネーは踊る」  ヤキがまわったか? マイケル・ムーア監督

2022年10月25日 | 音楽・絵画・映画・文芸
2010年02月10日(水)「阿智胡地亭の非日乗」掲載
 

唖然とするしかないアメリカの庶民の惨めな生活の実情を、これでもか、これでもかと全くの直球勝負で描写していく。

今回は自分の最後の映画と決めたからか、元GMの工員だった実の父親も登場させ、30年ほど前、工員だった父親が勤務していた製造工場と、

家族が幸せに暮らしていた住宅街の今も映していく。

ひねりも くすぐりも 何もない。まさに荒涼とした廃工場、あるいは跡地、そして誰も住めなくなった住宅地が画面に出るかと思えば、突然料率が上がった住宅ローンを払えないため、

保安官に住まいを追い出される老年の家族が映し出される。  ありのままの、見ていても辛いフツーのアメリカ人たちの今。

もうマイケル・ムーアに、現状を笑いのめすだけの余力は残っていないのだと思った。想像を越えるあまりの社会変動についていけず、彼にもヤキがまわってしまったのかも知れない。

中学生の頃テレビで見た「パパは何でも知っている」「うちのママは世界一」や「アイラブ・ルーシー」のアメリカの、あの憧れの中流家庭はどこに行った?

  
(画像はwebから引用)

 地球上のどこかで、いつも武器と弾薬とヒトを消費させる仕組みを作った軍産複合体と、サブプライムローンを考えだした金融才人たちに、

いつのまにかフツーの生活の基盤を崩されてしまった名もない多くのアメリカ人たち。

見ているうちにスタインベック原作の「怒りの葡萄」が映画化されたトム・ジョード(ヘンリー・フォンダが演じた)とその家族が画面に重なっていった。

映画は「蟷螂の斧」や「負け犬の遠吠え」かも知れないが、この作品は多くの映画賞の候補になっている。

☆昨日から「ルポ貧困大国アメリカⅡ」を読みだした。不思議なほど映画とコンテンツが重なる。本の概要はこちら



この本を読んでいくと、今のフツーのアメリカ人は全員が大きな「蟹工船」に乗せられ、死ぬまで下船することなく、海上で使役されているように思えてくる。

興味のある方は半澤健市さんのレヴューをお読みください。こちら


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 10月24日に目に留まったSNS・... | トップ | 東京ステーションホテルの中... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽・絵画・映画・文芸」カテゴリの最新記事