孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

スリランカ  聖地カタラガマで 民族共存や大統領選挙のことなど

2010-01-02 13:43:52 | 世相

(スリランカ カタラガマ 巨大な仏塔(キリ・ヴィハーラ)に祈るシンハラの人々
シンハラ、タミル両民族にとって良い年であってほしいものです。
私も今年1年がよい年でありますようにお願いしました。)

【民族共存に向けて】
スリランカを旅行中です。
1月1日、初詣を兼ねて、スリランカの南端に位置するカタラガマへ行ってきました。
カタラガマは宿泊地のゴールから車で4時間ほど、宗派を超えたスリランカを代表する聖地です。
ここのカタラガマ神は、願い事をなんでも叶えてくださるとのことで、私も果物を大皿に盛ったお供え物を持って、プージャ(礼拝の儀式)に参加しました。
このプージャのことなどは、旅行記サイトにアップの予定です。

本来スリランカの正月は4月中旬ですが、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)と政府軍との紛争も昨年5月に終結したこともあって、今年の1月1日は少数派タミル人も多く参拝して混雑するのでは・・・とも、車とガイドを依頼した旅行社からは聞いていました。

カタラガマ神はヒンズーのシヴァ神の息子であるように、カタラガマ信仰は土着の信仰にヒンズーが融合して形成されたものです。
ですから、特にヒンズー教徒タミル人には人気があったのですが、政府がここに巨大な仏塔(キリ・ヴィハーラ)を建設したことで、仏教徒シンハラ人の参拝者が増加し、逆にタミル人の参拝は減少してきたそうです。【地球の歩き方 スリランカ】

境内は大勢の参拝者で溢れていました。
外国人の私にはシンハラ・タミルの区別など分かりませんが、日本人女性と結婚して旅行社を経営している日本語ガイド氏に聞いても、「タミル人は服の色に原色を使うことが多いのでわかります」という程度です。
日本人と韓国人の差程度ではないでしょうか。

南インド由来とされるタミル人同様に、シンハラ人とされる人々も歴史的には南インドとのつながりが強いのでは。
あるかないかの差異をことさらに強調する民族主義者に主導されて形成された“民族的差異”が流血を伴うような対立に至るのは比較的最近のことです。
ルワンダのツチ・フツ対立にも似ていますが、スリランカの場合、宗教・言語といった文化的差異は存在します。

LTTEや紛争終結について、タミル人がどのように思っているかガイド氏に尋ねると、「LTTEを支持している人もいますし、彼らを怖がっており戦争が終わったのを喜んでいる人もいます。」とのことで、判然とはしません。
仮にLTTEを支持していても、シンハラ人の彼には明らかにはしませんので、仕方ないことでしょう。
LTTEは海外のタミル人からの送金を大きな資金源にしていましたが、これも、送金しないと国内に残る親族がどのような目にあう・・・という脅迫のもとで行われていた部分も大きいとか。

“これから仲良くやっていけますかね?”という素朴な問いには、「大丈夫です。もともと仲良くしてきましたから。」と明快な答えでした。
“でも、学校でシンハラ語しか教えないとか、国教として仏教を強制されるようなことになるとタミル人も困るのでは?”と意地悪く尋ねると、いろいろ答えてくれましたが、先ほどの明快さはやや薄れたような・・・。

【現職対前国防参謀長】
ところで、道路沿いを中心に、街中いたるところに膨大な数のある人物の大きな広告パネルが設置されています。
本当に“いたるところ”にあって、尋常ではありません。
ガイド氏に、“あれは誰?”と尋ねると、予想していたように、ラジャパクサ大統領でした。

今月、大統領選挙が行われるとのことで、その選挙用のものです。
選挙は、現職のラジャパクサ大統領とフォンセカ前国防参謀長の争いになっています。
大統領は任期を約2年残しているものの、戦勝ムードに乗って選挙を前倒ししましたが、LTTEとの戦いを陸軍参謀長として指揮し、勝利に導いた人物としてシンハラ人に人気が高いフォンセカ前国防参謀長の出馬となっています。

ガイド氏の話では、ラジャパクサ大統領は“汚職や縁故主義、更には都合の悪い人間は殺してしまう”ということで、国民の人気はよくないとか。
強力なライバル出現で、情勢は微妙なようです。

それにしても、日本では考えられないような夥しい数の選挙広告です。
特に、カタラガマなど南部が地盤とのことで、南部一帯は道路沿いに200mおきぐらいに大きな広告が立っているような感じです。
カタラガマ周辺では港湾整備を行っており、新しい道路もできています。
まあ、これは日本でも同じですが。
ガイド氏が「大統領からメールが来ました」と言っていました。
全国民に年頭の挨拶をメールしているようです。
これだけやって勝てないようなら、相当に嫌われているということでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする