孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

スリランカ 権力が目に見える社会  香港 民主化デモ

2010-01-03 13:56:21 | 世相

(スリランカ・カタラガマ ブージャのお供え物を持って並ぶ人々 2010年1月1日)

【目に見える権力】
スリランカからの帰国途中、香港での乗り継ぎ時間を使って更新しています。
 
昨日ブログでも書いたように、元旦はスリランカを代表する聖地カタラガマでのプージャ(礼拝の儀式)に参加しました。
当初、私とドライバーとガイドの3名でしたが、現地でガイド氏の親戚だか知人だかが合流、更にその方のお友達の地元警察のえらい方(私服)も乗り合い、総勢5名になりました。このことは全く聞かされていませんでした。
そのうち、白バイの先導でもつきそうな感じです。

プージャは1日に3~4回行われますが、私が参加を希望しているのは10時半の回。もし、これに参加できないと次は夜になって、日帰りできません。
最大の聖地にしては小さな建物で行いますので、建物内に入れる人員はせいぜい40~50名ほどでしょうか。

予定のプージャは年頭にあたるため混雑が予想され、建物内にはいれないかも・・・ということで、同行の警察のえらい方の“顔”で強引に入ろうということです。
あまり感心した方法ではありませんが、私のことを考えてくれてのことですし、実際プージャに参列できないと、今回の旅行の最大の目的がかなわないことにもなりますので、「しかるべく」ということでお任せしました。
ガイド氏は「まるで政府の偉い人の旅行みたいになりましたね」と笑っています。

カタラガマに着くと、本来一般車両は乗り入れできない境内に、警備の治安関係者への車内からのあいさつひとつで入ります。

仏塔(キリ・ヴィハーラ)への参拝途中も、自動小銃を抱えた兵士が並んで歩いたり、制服警官がつきそったり。
神殿につくと、長蛇の列には目もくれず、誘導を行っている者に「入るよ」って感じで直接入り込み、最前列に陣取ります。
誰も何も言いません。
そんなこんなで、警察の偉い方の権力の一端にすがる形で、16年ぶりのプージャ参列が実現しました。

親切からのことでしょうから、文句を言う筋合いもありませんが、一行を仕切る偉いさんに、“この人のご機嫌をそこねると面倒なことになるのだろうな・・・”といった感じも。
「おかげで助かりました」みたいなことを言わないといけないだろうな・・・とも思っていたのですが、挨拶の機会もなくいつのまにか別れてしまいました。

日本にいると、“権力”というのは縁遠い抽象的なものですが、スリランカみたいな社会では日常生活で目に見える形で機能します。
何より、コロンボのような銃を構えた兵士がいたるところにいるような場では、権力は銃口であり、逆らうことは拘束、場合によっては死を意味します。

【岐路に立つ香港】
話変わって香港。
1日、比較的大規模な民主化デモが行われました

****香港:普通選挙実施など民主化求めて3万人がデモ****
香港で1日、普通選挙の早期実施と、中国で共産党の一党独裁体制廃止を呼び掛け実刑判決を受けた著名民主活動家、劉暁波氏の釈放を求め、市民ら約3万人(主催者発表)が参加した民主化要求デモがあった。
デモは香港島の中心部で実施。参加者らは「普通選挙をいま」などとシュプレヒコールを上げながら中国政府が香港に置く出先機関「香港連絡弁公室」前まで練り歩いた。
香港政府は昨年11月、2012年に行われる行政長官選挙と立法会(議会)議員選挙の制度について、長官を選ぶ選挙委員会の定員を増やすことなど を盛り込んだ改革案を発表。だが民主派は普通選挙を実施するまでのスケジュールが明確に示されていないことなどから政府案に反発している。【1月1日 毎日】
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11月の政治改革案を発表した唐英年(ヘンリー・タン)政務長官は、これは2017年に直接選挙を実現するための「重要な一歩」だと述べていますが、中国全人代が17年の普選を認めたのは行政長官選挙にとどまっています。
「1国2制度」という形を維持できるのか、共産党一党支配という権力が目に見える社会へ吸収されていくのか・・・香港は強い中国の引力のもとで岐路にあるように見えます。

コメント
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