孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

内戦の終結したスリランカ 混迷を深めるアフガニスタン

2010-01-01 20:20:13 | 国際情勢

(スリランカ・ゴール LTTEが使用していた武器の展示会場)

【08年、世界で最も激しい戦闘があった地域】
スリランカを旅行中です。
昨日の記載でひとつ訂正。
ゴールの城壁の上から広場で高速艇や飛行機など軍関係の展示がなされており、夥しい人が集まっていたことを書き、これについて、LTTEからの戦利品の展示だとしました。

LTTEからの戦利品を展示したコーナーも確かにあるのですが、高速艇や飛行機は政府軍のものでした。
やはり自衛隊もよくやるような、軍の宣伝目的の展示ですが、大盛況でした。

LTTEから分捕ったものは別の一画に展示されており、銃器や大砲など(冒頭写真)がメインで、LTTEが使った飛行機などは展示されていませんでした。

一列に並んで展示物を見てまわる形式でなかなか進まないため、会場に入るまで炎天下並んで待ちます。
わざわざ日本から来て、炎天下並んでLTTEの使用した武器を見物するというのも、われながらあきれたものです。
武器マニアではないのでよくわかりませんが、政府軍の兵器展示コーナーにあった攻撃用ヘリなどのほうが装備は勝っているようです。
かつては政府軍の攻撃をはねのけていたLTTEが敗退したのは、国際支援を受けた政府軍の装備の近代化についていけなかったことがあるのではないでしょうか。

スウェーデンのウプサラ大学の調査によれば、08年に武力衝突で死亡した戦闘員と民間人は2万5600人で、その3分の2がスリランカ(8400人)、アフガニスタン(4600人)、イラク(4000人)の3つの地域に集中していたそうです。

イラクやアフガニスタンに比べると、メディアに取り上げられることは遥かに少ないスリランカですが、この数字で見ると、スリランカはアフガニスタンとイラクを合わせたほどの犠牲者を出した、世界で最も激しい戦闘が行われた地域だったことがわかります。

【恐らく現在最も激しい戦闘が行われている地域】
スリランカに次いで犠牲者が多かった、そして今現在は恐らくもっとも激しい戦闘が続いているアフガニスタンについて、3つの記事が目にとまりました。

****アフガンで外国人13人死亡 自爆テロや路上爆弾で****
アフガニスタン東部ホスト州にある外国部隊の基地で30日、自爆テロがあり、米国の民間人8人が死亡した。米CNNテレビは米政府当局者の話として、8人は米中央情報局(CIA)関係者と報じた。また南部カンダハル州で同日、カナダ軍の車両がパトロール中に爆弾が爆発、兵士4人と従軍中の記者1人が死亡した。1日に外国人計13人が死亡するのは過去最悪の規模。【12月31日 共同】
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状況は、いよいよ厳しさを増しています。

****外国軍が10人を連れ出し射殺か アフガン調査団報告*****
アフガニスタン東部で外国軍部隊の攻撃で民間人10人が死亡したとされる事件で、アフガン政府の調査団は30日、10代の8人を含む10人が家から連れ出され射殺された可能性があるとの調査結果をカルザイ大統領に報告した。
事件は27日、パキスタン国境に近いクナール州ナラン地区ガジハーン村で起きた。
調査団が村人から聞き取った情報によると、夜間にヘリコプターから降下した外国軍部隊が村を捜索し、3軒の家から10人の男性を引きずり出して射殺した。うち8人は12~16歳だった。
同州に駐留する北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊に所属する米軍の現地司令官は関与を否定。事件は州外の別の部隊によるものとの見方もある。
アフガンでは外国軍の空爆の犠牲になる民間人が後を絶たないが、地上部隊が民間人を引きずり出して殺害した事例は極めてまれだ。【12月30日 朝日】
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これは、俄かには信じがたいニュースです。
別に、米軍がそんな非道なことをするはずがない・・・なんてことは思いませんが、現在の米軍の最大の関心事は、いかに民間人犠牲者を少なくして、アフガニスタン国民の反発を抑えるかにあります。
そんなときに、夜間ヘリから降下した部隊が民間人を引きずり出して殺害・・・というのはどうでしょうか・・・。

****タリバンがアルカイダ排除の用意 米側に提示、新戦略に呼応か****
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが、停戦交渉に向け水面下で協議している米政府代理人に対し、アフガン駐留外国部隊の撤退を条件に、国際テロ組織アルカイダのアフガンでの活動を停止させる用意があると伝えていたことが31日判明。パキスタン政府当局者ら複数の関係筋 が明らかにした。関係筋によると、米大統領のアフガン新戦略を事前に知ったタリバン側が11月末、米側に提示したという。【12月31日 共同】
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オバマ政権は、アフガニスタンでの戦闘は、この地に民主国家を建設することではなく、アメリカへのテロの脅威を取り除くことにあるとしています。
それなら、タリバン政権が復活しようが、アルカイダの活動が停止すれば、アメリカにとってそれは評価できることかもしれません。

ただ、事の真偽や実効性、あるいは、オマル師など指導部がどこまで関与した話なのか・・・という点は別にして、アルカイダはアフガニスタンで活動できなくても、パキスタンやソマリア、イエメンなど世界各地にその活動は拡大しており、アメリカへのテロの脅威は依然続きます。
その意味で、アメリカのアフガニスタンでの戦闘目的が判然としなくなっているとも言えます。

コメント
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