孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

「史上最悪」・・・だけでもない日韓関係 罵りあいに終始せず、新たな協力関係を構築するには?

2019-03-01 22:23:52 | 東アジア

(【2月28日 AERAdot.】 韓国側の顕著な変化は、日韓の将来を考えるうえで非常に重要に思われます。一方、日本の傾向には、韓国が嫌い・中国も嫌い・・・といった閉鎖性・内向きも懸念されます)

【韓国の「反日感情」の実態は?】
領土問題、慰安婦問題、徴用工問題、レーダー照射問題、天皇に言及した韓国国会議長の発言等々、昨今の日韓の関係悪化を示す問題は山積しています。

当然の結果として、日本側には韓国に対する不満・批判が溢れています。

韓国側の反日感情も相変わらずのようで、“日本名の樹木、韓国で植え替え 「日帝時代の残滓」指摘”【2月20日 朝日】といった、罪もない植物までも標的になっています。

ただ、植物について言えば、“朝鮮半島の特産植物527種のうち327種の学名に「ナカイ」という日本の植物学者の名前が入っているという。記事は「韓国の特産植物の名前の多くが日本植民地時代に中井猛之進によって付けられた」と説明し、「そのため世界中で朝鮮半島だけにある植物ですら、今も日本人学者の名前や日本式の名前で呼ばれている」と指摘している。”【2月28日 レコードチャイナ】ということですが、学名は国際的に承認されているため、いかな韓国でもどうにもならないとか。

この話題を別の角度から眺めれば、「日帝時代の残滓」がいかに現在の韓国に根深く残存しているか、日本がどれだけ韓国社会を変容させたという、ひとつの事例でもあるでしょう。

国家間で締結した条約ひとつで清算するにはあまりにも重いものが社会全体、人々の心に深く食い込んでいるとも言えます。

関係悪化を報じる報道、双方の批判の応酬・罵りあいは、はいて捨てるほどありますが、そうした状況にあっても必ずしも“最悪の関係”とばかりはいえない側面をうかがわせる記事もあります。

今日は、最近の報道のなかから、そうしたものをいくつか拾い上げてみます。

****韓国の日本旅行人気は本物!関係悪化も影響なし=韓国ネットは複雑?****
2019年2月21日、韓国・聯合ニュースは、先月の訪日外国人観光客のうち韓国人が最も多かったとの集計結果を報じた。

観光庁によると、1月に日本を訪れた外国人観光客は昨年同期比7.5%増の268万9400人で過去最高を記録した。

国籍別では韓国が77万9400人で最も多かった。昨年同期比は3.0%減少したものの、記事は「哨戒機レーダー問題や慰安婦問題などで日韓関係が冷え切っている中でも、韓国人の日本旅行人気が相変わらず高いことを証明している」と説明している。

韓国の次に多かったのは、昨年同期比19.3%増の75万4400人を記録した中国。後には台湾(38万7500人)、香港(15万4300人)が続いた。

記事によると、日韓両国の対立は訪韓日本人観光客にも大した影響を与えていないとみられる。先月1〜20日のロッテ免税店明洞店の日本人対象の売り上げは昨年同期比31%増加、新世界免税店の明洞店も53%増加したという。

これに、韓国のネットユーザーからは「こんな時期に…。情けない」「プライドはないの?」「嫌韓デモをする国になぜ行くのか」「日本政府に笑われているよ」と嘆く声が多数上がっている。

一方で「日本はきれいだから何度も行きたくなる。気持ちは分かるよ」「日本は嫌いでも日本のものは好き」「何時代の話?日本に旅行に行くことが罪になるの?」「両国の対立は政治家がつくったもの。嫌っているのは少数の人たちだけ」など理解を示す声も上がっている。【2月21日 レコードチャイナ】
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本当に「反日」一辺倒であれば、これだけ多くの訪日韓国人観光客がいるとも思えません。
韓国の「反日」には微妙な感情も潜んでいるようです。

メディアはこぞって韓国内の反日的行動、反日感情を取り上げますので、韓国全体がそうした空気一色に覆われているようにも感じてしまいますが、世代間で見ると、若い世代には、日本側がやっきになって反応するほどには「反日」を意識していない面もあるようです。

****国民の半数「日本嫌い」の韓国 一方で若い世代は特別視せず?****
(中略)韓国の人々の対日感情は、世代によって大きく異なっているようだ。特に若い世代は、日本を特別視はしていないという。

日本への感じ方は、世代による差も大きい。

日本と韓国の両国でアーティスト活動をしている韓国人女性(36)は、小学生の頃から「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」などの漫画、「風の谷のナウシカ」などジブリに代表されるアニメを見て育った。そして、高校生になって憧れたのが東京・原宿を震源地とする「KAWAII」文化だった。

女性によると、若い世代ほど日本に親しみを持っている一方、日本を特別な国だとは思っていないと語る。

「若い世代にとって日本はLCCもあるので手頃な旅行先なんです。食べ物はおいしいし店員も親切。日本製の化粧品は安くて品質がいいので人気が高い。格差と競争が厳しい韓国社会に比べると、日本は物価も安く暮らしやすい。韓国では若者が夢を追いながらアルバイトで稼いで生活することは不可能。その意味ではバイトの職種も時給もいい日本がうらやましく思います。ただ特別な国では決してないんです。私より下の子は生まれた時から、韓国も日本と同じ先進国でしたから」

周囲に「日本嫌い」の友人はいないのだろうか。

「サッカーと政治については日本に敵対心を燃やす人もいる。けれども、それは30代以上の世代に多い。10代、20代の情報源は全てネット。中学生になるとユーチューブなどの動画メディアでタイやインドネシアなどアジア各国のアーティストの音楽を聴いている。もはや日韓という二国間関係だけに収まりきらない。そんなグローバルな世界観で育った若者にとって、両国の難しい政治問題はどうでもいいんです」

日本のシンクタンク「言論NPO」と韓国の「東アジア研究院」の共同調査によると、日本では13年からの5年間で韓国への印象が「良くない」または「どちらかと言えば良くない」と答えた人の割合が37.3%から46.3%に増えたのに対し、韓国では日本への印象が「良くない」または「どちらかと言えば良くない」と答えた人が、76.6%から50.6%に急減したという。

若年層の多くが日本に抱く好印象を背景に、韓国の対日感情は改善傾向にある。とはいえ、全体では半数が「日本嫌い」なのも事実だ。

対日感情の厳しい一面が表れた調査もある。
韓国の世論調査専門機関「リアルメーター」が1月14日に行った最新の調査によると、文在寅政権の日本政府への対応について「より強く対応を」と答えた人が45.6%、「現在の対応が適切」が37.6%、「対応自制を」が12.5%だった。

ほとんどの地域、年齢層で「より強く対応を」と答えた人が最も多かった。一方、文在寅政権を支持する層では「現在の対応が適切」との認識が多かったという。(編集部・中原一歩)※AERA 2019年3月4日号より抜粋【2月28日 AERAdot.】
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【文化面では「史上稀に見る蜜月」】
文化的な面で言えば、日本側にも韓国文化を受容・評価している面があります。文化面では「史上稀に見る蜜月」とも。

****日本と韓国、実は文化面では「史上稀に見る蜜月」****
(中略)だが、私が今回、このコラムであえて強調したいのは、日韓関係には、政治的対立とは別の「友好的側面」も存在するということである。特に、文化交流の面では現在、あの15年前の「ヨン様ブーム」以来の韓流ブームが到来している。言ってみれば、いまの日韓関係は「政冷文熱」なのである。

「そんなバカな」と思われる方に、いくつか実例を示したい。
 
観光庁の発表によれば、昨年日本を訪れた韓国人観光客は、前年比5.6%増の752万6000人と、過去最高を記録した。消費額も5842億円と、「爆買い」の中国人に次ぐ額を、多くの消費を日本でしてくれている。
 
同様に、韓国観光公社の発表によれば、昨年韓国を訪れた日本人観光客も、295万人に達した。これは前年比28%増である。こうした日韓交流の増加は、政治問題と関係なく、文化的関係が熱を帯びていることを意味している。
 
また、この原稿を執筆している2月17日現在、日本のアマゾンの和書で「文芸作品」単行本の第1位は、日本の有名作家の作品ではなくて、韓国人女流作家のチョ・ナムジュが書いた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』である。(中略)

原爆Tシャツ騒動のBTSもドーム公演で38万人動員
(中略)K-pop部門でも、「防弾少年団」(BTS)をご存じだろうか?(中略)彼らは2014年6月に日本デビューを果たし、「日本中の女性を虜にした」という意味では、あのヨン様以来の存在感を見せている。

これまでオリコン週刊ランキングで1位になったシングル曲が4曲もあり、2017年6月には雑誌『an・an』の表紙を飾った。日本語バージョンのオフィシャル・ミュージックビデオのユーチューブでの再生回数は、3331万850回にも上っている(2月17日現在)。

「防弾少年団」は、昨年11月9日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に生出演する予定だったが、メンバーの一人(ジミン)が過去に着ていたTシャツに、原爆投下後のキノコ雲の写真と韓国人の万歳写真が印刷されていたことが発覚し、急遽出演を取りやめた(後に事務所が謝罪)。

それでも同月から本日(2月17日)にかけて、東京ドーム、大阪京セラドーム、ナゴヤドーム、福岡ヤフオク! ドームと、4都市9公演を行い、計38万人を動員したのである。
 
韓流ドラマも、日本ではすっかり人気が定着した感がある。これだけ日韓関係が悪化している現在も、例えばNHK総合チャンネルでは、夜11時から1時間、『オクニョ 運命の女』(全51回)を放映している。

「嫌韓」ムードの影響は皆無、絶好調の韓流ドラマ市場
多くの韓国ドラマの買い付けを行っている日本企業のバイヤーが証言する。
「この業界には『嫌韓』なんてありませんよ。逆に、ますます韓流ドラマの『爆買い』に拍車がかかっています。2015年には、1話あたり3万ドルが相場だったのですが、昨年から1話あたり20万ドルのドラマが続出するようになったのです。(中略)

韓国側も、一時期は中国が最大の輸出市場でしたが、(2016年にTHAAD=終末高高度防衛ミサイルの配備を巡って)中国との関係が悪化してからは、日本が最大の輸出市場になっています。韓国側も、誰をキャスティングし、どんなストーリーに仕立てれば日本で人気が出るかを吟味して、ドラマ作りを行っているのです。その意味では、韓国のエンタメ業界にも、『反日』なんてありません」
 
このように現在の日韓関係は、あくまでも「政冷文熱」なのである。
 
日本から見ると、文在寅政権は看過できない面が多いのは確かだ。だがそうだからと言って、それが日韓関係のすべてではないことも知っておくべきである。【2月19日 右田早希 JB Press】
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【冷戦終結で劇的に変化した政治的・経済的日韓関係】
一方、今後の日韓関係を考えるうえでは、両国の政治・経済関係が大きく変わってきていることを認識しておく必要があります。

****「日本は韓国にとって”特別な国“」は冷戦終結で終わった****
(中略)この30年の間に、韓国における日本の存在感は驚くほど低下した。韓国側からあまりにも「軽い」発言が出てくる背景には、この日本の存在感低下がある。

こうした韓国側による認識の「軽さ」は極めて問題だが、一方で冷戦終結という世界史的な出来事の影響を考えると日本の存在感低下という現象は必然のものだった。

東アジア情勢を激変させた冷戦終結
(中略)冷戦下の韓国は、朝鮮戦争で戦火を交えた北朝鮮とともに東西両陣営がにらみあう最前線だった。(中略)

冷戦終結後の世界情勢は日本を取り巻く安全保障環境に大きな影響を与えたと語られるが、それは他国にとっても同じことである。特に冷戦下で「最前線国家」という窮屈な位置に押し込められていた韓国は、日本とは比べ物にならないほど大きな変化に見舞われた。それを忘れてはならない。

韓国の立場から見たポスト冷戦の世界
韓国に駐在していた日本の外交官と20年近く前、酒を飲みながら交わした会話が忘れられない。打ち解けた雰囲気で話していた時、彼は「冷戦時代の韓国にとって世界というのは日本と米国だった」と言ったのだ。韓国の人たちには怒られるかもしれないが、それは真実を言い当てていた。(中略)

植民地支配の記憶が新しかった時代に反日世論が高まったとしても、政権としては野放図な反日を放置する余裕などなかった。象徴的なのが、植民地支配への謝罪なしでの日本との関係正常化に「屈辱外交」だと反発する世論を戒厳令で押しつぶした朴正煕政権の選択だろう。(中略)

だが、前述したように1980年代の世界情勢を受けて「韓国にとっての世界」は大きく変容する。(中略)「韓国にとっての世界」は日米だけではなくなった。(中略)日米との関係が国家としての生命線という時代はとっくの昔に終わった。

経済でも日本への依存度は大きく低下
(中略)韓国が日本に頼ったのは資金と技術だけではない。貿易相手としても、日本は米国と並んで重要な相手国だった。日韓国交正常化から5年たった

70年を見ると、韓国の貿易相手国としてのシェアは日本が37%、米国が34.8%で合計すると7割に達した。日米の比率は徐々に落ちていくが、(中略)(日米合計の比率は)96年には30%台となり、04年には20%台、11年にはついに10%台となった。昨年(18年)は日本7.5%、米国11.5%で計19%である。
 
80年代から細々とした交易が始まった中国のシェアは90年に2.1%だったが、(中略)昨年は23.6%に達している。
 
注目すべきは、日米中3カ国のシェア変動だけではない。3カ国を足しても昨年のシェアは4割強だ。かなり大きな数字ではあるものの、日米の2カ国で7割だったほどの寡占状態ではない。韓国は既にGDP規模で世界10位前後の経済力を誇るようになっており、それに伴って貿易相手も多角化が進んでいるのだ。
 
結局、政治と経済の両面で韓国にとって特別な国だった日本の位置づけは、冷戦終結を前後して大きく変わらざるをえなかった。どちらも不可逆的な変化だから、かつてのような状況に戻ることはありえない。

これからの日韓関係はそれを前提にしたうえで考えていかねばならないのに、こうした変化に対する認識が両国ともに不十分というのが現状だ。この点にもっと注目すべきだろう。【2月16日 WEDGE】
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【限界を迎えた「65年体制」を清算して、将来の協力関係を目指す「日韓平和友好条約」を】
上記のような微妙な、世代間でも差がある反日感情、文化的蜜月関係、政治・経済関係の劇的変化といったものを前提に、今後の日韓関係をどのように再構築していくべきか。

****「史上最悪」日韓関係への処方箋****
<一方的な主張をぶつけ合い建設的な議論ができない――根本的な原因は限界を迎えた「65年体制」にある>

(中略)最近の日韓は、相手を否定し、売り言葉に買い言葉で本筋からずれた言い争いがエスカレートした状態だ。葛藤の背景には北朝鮮問題がある。

例えば日本政府は、南北融和で従来の日米韓の枠組みが崩れ中国の影響力が増大し、日本の存在感が相対的に下がることを懸念している。拉致問題と日本の安全保障上の懸案がないがしろにされることにも反対だ。

だが韓国からすれば、分断体制を何としても克服したい。かつての独裁政権も現在の左右の政治対立も周辺大国からの「軽視」も、根源には分断体制があるとされる。そして、分断の淵源には植民地支配があり、ドイツと違って日本の代わりに分断されたという強い意識がある。よって、南北融和に非協力的な今の日本に失望している。

問題の根源には、これまでの日韓関係を支えてきた「65年体制」が限界に達したことがある。1965年の日韓国交正常化は、ベトナム戦争の最中、米国の冷戦戦略の下に日韓両政府の妥協の産物として、両国民のコンセンサスを得ないまま実現した。

それは日韓の圧倒的な力の差、冷戦という接着剤と米国という仲介者、歴史問題の棚上げ、ポストコロニアルな人脈、そして日本の一定の贖罪意識によって成り立っていた。

それから時代は大きく変わった。韓国は民主化され国力は増大し、南北・米朝が対話を始めた。日本では植民地期の記憶は風化し、韓国に一片の贖罪意識も持たない人が発言力を増した。

炎上覚悟で本音の議論を
家も50年たてばリフォームが必要となるように、日韓関係もリビルディング――時代に合った関係の再定義が必要だ。(中略)

65年体制の最たる限界は、棚上げにした歴史問題がほこりをかぶり、棚下ろしの必要が生じた点にある。日韓基本条約および請求権協定には、日中共同声明にはある反省の表現もなく、署名したのも外相で和解には程遠い内容だ。これを今後も日韓関係の「基本」にすべきかは大いに議論の余地があるだろう。

最大の争点は韓国併合の法的性格だ。65年体制では、両国は国内向けに別の解釈をすることを暗黙の了解とした。韓国では当然不法とされ、植民地期は「日帝強占期」と呼ばれた。一方、日本では合法で「解決済み」に傍点が置かれた。

日本では韓国がゴールポストを動かしているとの議論があるが、そもそも2つのゴールポストの存在を認めることが65年体制の精神だった。

こうした経緯は忘れられがちだ。韓国を「甘やかしてきた」という自民党議員がいる一方、韓国では日本は謝罪・反省していないとの意見が根強い。

自分たちの論理を原理主義的にぶつけていても、打開への道は見込めない。この際、本音をぶつけて議論をすべきだ。さらなる葛藤が広がるかもしれないが、同じ問題でケンカを繰り返す陳腐な関係を脱却するには、避けて通れないだろう。その結論としては、現時点でおおむね次の3つが考えられる。

第1は、韓国併合は国際法上、合法だったと両国が認めることだ。その上で、日本統治と戦争の過程での人道的な罪については率直に認め反省し、必要あれば追加措置を講じる。(中略)

第2は韓国併合を不法として、日本政府は正式の謝罪を表明する。だが、賠償・補償については65年の請求権協定、その後の経済協力や日本側の措置などにより、清算は終わったとする。(中略)

第3は、合法性についてコンセンサスを得られなかったことを再確認する。つまり棚上げあるいは両論併記にすることを国民的に合意する。その上でどうするかを議論する。(中略)

新たな文化的つながり

とはいえ、合法・不法という法律論が本当に重要なことだろうか? 日韓関係は法解釈で白黒つけていいものだろうか? 植民地支配は戦争と違い、複雑な様相を呈している。ジョン・ダワーは歴史を一言で言えば「複雑」だといったが、まさに日韓の歴史は複雑さそのものだ。

いずれにせよ、隣国を相手の国民の意に反して植民地化したことは無理があった。過去の悲劇を二度と繰り返さないことを誓い、将来の協力関係を標榜する(第二次大戦後に独仏が和解のため結んだ)エリゼ条約に匹敵する「日韓平和友好条約」を結ぶことを提言したい。

韓国側にも日本側の立場や論理にも耳を傾ける寛容さが欲しい。具体的には、天皇や原爆などについて史実と実態に基づく理解を持つ。できれば、天皇を「日王」でなく天皇と呼ぶ。80年代までと、金大中、盧武鉉政権はそう呼んでいた。また、戦前と戦後の日本を区別し、「旭日旗」も認める雅量が欲しい。

「史上最悪」といわれる日韓関係だが、必ずしもそうとも言えない。政府関係とメディア・ネットの雰囲気は最悪だが、昨年の日韓往来者数は史上初めて1000万人を突破した。村上春樹や東野圭吾を読み、BTSやTWICEに熱狂する、スピードスケートの小平奈緒と李相花(イ・サンファ)の抱擁に感動する日韓の新たな「文化人」に期待を寄せたい。

それでも納得がいかずケンカしたければ仕方ない。だが、日韓葛藤を喜ぶ習近平(シー・チンピン)の慇懃なほほ笑みと、日韓が慕うアメリカの碩学ジャレド・ダイアモンドの忠言を想起してからでも遅くはない。

「韓国人と日本人は同じ血を分けているのに長年互いに敵意を抱いてきた......彼らは成長期を共に過ごした双子兄弟に似ている。東アジアの政治的未来は、両国が古代に築いた紐帯を成功的に再発見できるかどうかに懸かっている」【2月26日号 Newsweek日本語版】
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