孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パキスタン・カラコルム 今も昔も人々の暮らしを見守る大自然

2019-03-29 10:25:31 | 身辺雑記・その他

一昨日(26日)から、パキスタン北部のフンザ(カリマバード)に滞在しています。

フンザは「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったと言われる美しいエリアですが、3月末から4月にかけては、アンズの花を中心に、チェリーやリンゴの花が咲き乱れ、視線を上げれば雪に覆われたカラコルム山脈の7000m級の山並みが広がるという「桃源郷」としても知られる場所です。

 

フンザ三日目の今日(28日)は、カリマバードから更に北上してゴジャール地方のグルメットやパスー村周辺を観光しましたが、ガイド氏はそのパスー村の出身で、親戚の結婚式があるとのことで、セレモニーの様子を見学させてもらいました。

広場に設けられた会場では、新郎新婦を含めた村人が四角形に座り、その中で男性陣のダンスが繰り広げられます。

時折小雨もぱらつくようなあいにくの天気で、美しい山並みの全容は見ることができませんでしたが、雄大なカラコルムの山並みをバックに、ローカルな笛太鼓の音楽に合わせて村人たちが踊る様、それを興じる人々・・・・やがて笛太鼓がフェイドアウトして喜多郎の音楽に代わり、石坂浩二のナレーションが流れる・・・そんなNHK「シルクロード」の世界に舞い込んだような気分にもなりました。

 

実際、カラコルムハイウェイ沿いのこの地域は、かつてのシルクロードでもあり、当時の遺物なども点在しています。

政治・文化的にも中国方面との繋がりが強く、カリマバードに残る砦も、15世紀当時フンザ地方の国王が、チベット王国の一部であったバルティスタンから王女を妃に向かえたことで、チベット建築・文化の名残が色濃くあります。

 (カリマバードのバリティットフォートに展示されている、20世紀中ごろこの地域で流通していた中国紙幣)

現在も、周辺のゲストハウスには、「シルクロードホテル」「パルコポーロゲストハウス」といった名前が散見されます。

この地域は、中国新疆・チベット方面からインドへ南下、あるいはアフガニスタン・イランへ西進するルートではありますが、険しいカラコルム越えは、灼熱のタクラマカン砂漠に続く難所でもあったのでしょう。

カラコルムが交通の難所であることは今も変わりなく、カラコルムハイウェイ建設をはじめとして、トンネル建設など、様々な事業が中国の投資で行われています。

(カラコルムハイウェイのATTABARD LAKEトンネルに掲げられた「中パ友好」の表示) 

 

中国の「一帯一路」などの投資・支援については、「債務の罠」といった批判も多々あります。アメリカと覇権を争う中国の姿勢への懸念もあります。

そうした現在の国際政治的上の利害・問題に関する議論も必要ではありますが、それだけで終わっては“つまらない”感じも。

2000年前、3000年前から連綿と続くシルクロードの経済的・文化的交流の一部として、現在・将来の関係も考えていくべきで、そこに中国が「中国の夢」を紡ぐならそれもよし、日本・パキスタンも「日本の夢」「パキスタンの夢」を紡げばいい話で、そうした各民族の夢を包摂して余りある大きさをこの地の大自然は有している・・・・大自然に抱かれて結婚式のダンスに興じる人々を見ていて、そんなとりとめもない思いを抱かさせてくれました。

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