孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  習近平版「文化大革命」が進むなか、大連「日本街」営業停止 微妙な対日感情

2021-09-03 23:12:10 | 中国
(「盛唐・小京都」の商店街=2021年8月25日 大連【9月2日 朝日】
よく見ると日本語表示の看板などもあるようですが、全体の雰囲気は中国各地にある古い街並みをアピールした土産物屋街「〇〇古鎮」そのものです)

【習近平版「文化大革命」】
このところ連日のように中国における娯楽産業の規制強化のニュースが報じられています

「ブロマンス作品は大衆を誤った方向へ導く」と中国紙、ネット世論は紛糾【8月26日 レコードチャイナ】
中国人気女優に罰金など50億円、セレブ文化が当局の標的に【8月27日 AFP】
女優ヴィッキー・チャオの封殺、深刻な事態へ発展か?政財界との深いつながりも話題【8月28日 レコードチャイナ】
中国芸能界、世間を騒がせた芸能人を一斉締め出しか?【8月29日 レコードチャイナ】
ブロマンス作品は全面禁止へ?“推し活”取り締まり、共産党機関紙の警告が前触れか【8月30日 レコードチャイナ】
中国芸能界に激震が走った8月、クリスやヴィッキー・チャオ、封殺・引退・逮捕は10人以上に【9月1日 レコードチャイナ】
中国アイドルの「推し」競争、ルール変更 過熱しすぎて中傷合戦も【9月2日 朝日】

*****中国、娯楽産業の規制強化 高額報酬や「男らしくない」番組を批判****
中国政府は2日、娯楽産業への規制を強化した。放送局に対し「間違った政治的な立場」を取っているアーティストの起用や「男らしくない」スタイルの番組を中止するよう指示、「愛国的な雰囲気」を醸成するよう求めた。

中国国家ラジオテレビ総局は2日付のオンライン通知で、文化プログラムの規制を強化すると表明。不健全なコンテンツ、スターの過度な高給や脱税を取り締まる方針も示した。

中国国家インターネット情報弁公室(CAC)は先週、オンラインにおける有名人ファンの「無秩序な」文化を取り締まるとする通知文を公表していた。

国家ラジオテレビ総局は、俳優やゲスト出演者の報酬に上限を設ける規制を厳格に施行すると表明。俳優やゲスト出演者は公共福祉活動に参加し、社会的責任を果たすべきだと主張した。脱税は厳格に処罰するとしている。

俳優やゲスト出演者の選定に際しては、政治的リテラシーやモラルなどを基準とした慎重な管理が求められると指摘。番組では「男らしくない」美学など、「奇形」した趣味を排除すべきだと主張した。

娯楽番組では、ネット上の「品のない」有名人の起用を中止し、不祥事を起こさず、富の見せびらかしを止めるべきだとしている。

不健全なファン文化を取り締まる必要があるとも指摘。番組内でのファン投票は厳格に管理し、商品を購入したファンに投票権を与えることは厳しく禁止するとしている。

当局や国営メディアはここ数カ月、男はもっと男らしくなるべきだと現状を嘆き、濃い化粧で女性的なイメージを出す男性スターを批判していた。【9月2日 ロイター】
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男はもっと男らしくなるべきだ?
愛国的な雰囲気を醸成するよう?

「余計なお世話だ」というのが日本的感覚ですが、中国では共産党の指導の下、全てが愛国・社会主義建設の方向で一致して進むべき・・・という考えです。

話は娯楽産業に限りません。ネットやゲームのあり方も

中国規律検査委、ネットで人気の飲食店の監督強化求める【8月30日 ロイター】
中国 未成年のゲームは週末夜1時間 「精神的アヘン」と厳しく制限【8月31日 FNNプライムオンライン】
「社会に悪影響な配信者」は問答無用で追放、人気の女性配信者を排除した中国当局【9月3日 Newsweek】

教育においても、野放し状態を国家・党が強く規制・指導する方向に転じています。
中国、営利目的の個別学習指導を禁止 家計負担軽減へ=新華社【7月26日 ロイター】

更に大きくみると、経済においても、アリババ、テンセント、ディディといった巨大テク企業の活動に国家・党が規制を行う方向性が打ち出されています。

中国のテク企業攻撃という習近平のギャンブル【9月2日 WEDGE】
中国、ネット配車サービスへの監視強化 一部企業を問題視【7月30日 ロイター】

社会・経済・市民生活のあり方・・・全てを国家・党が規制・監督し、「あるべき方向」に導くという発想であり、社会主義の原点へ回帰しようという流れです。

鄧小平以来、中国は民間の自由な活動で驚異的経済成長を実現してきましたが、格差や(党指導者からすれば)風紀の乱れといった弊害も大きなってきた・・・そこで、習近平国家主席の下で、「原点回帰」し、新たな段階に中国は進む・・・という一種の「文化大革命」でしょう。

習氏が「共同富裕」実現に本腰 大企業も富を還元?【8月30日 朝日】
小学生向け教科書に「習近平おじいさん」 習主席の政治思想が必修化【8月31日 FNNプライムオンライン】
習氏「中華文化が幹、各民族の文化は枝葉」 民族政策で【8月28日 朝日】

****中国当局の文化取り締まり、重大な政治的変化の兆し=著名ブロガー****
中国当局が芸能人文化を取り締まり、巨大インターネット企業の抑制に乗り出しているのは「重大な」政治的変化が起きている兆候──。著名ブロガーがこうした内容を投稿し、国営メディアで広く報じられている。

中国政府はこのところ、オンライン上の「無秩序な」ファンクラブ文化に対する措置を講じたほか、脱税などで芸能人を処罰。経済への介入では、不平等、「過剰に高い」所得、不動産価格の上昇、利益を求める教育機関に対処すると約束している。

ナショナリストブロガーの李光満氏は自身の「微信(ウィーチャット)」チャンネルに投稿した文書の中で、「これは資本中心から人民中心への変化だ」と指摘。「これはまた、中国共産党の当初の意図への回帰、社会主義の本質への回帰でもある」との見方を示した。記事は国営新華社通信や共産党機関紙・人民日報が配信・掲載した。

国営出版社の編集者だったとされる同氏は、中国市場は「資本家が一夜で富を手にするのを許すような楽園ではもはやない」と指摘。その文化は芸能人にとって天国とはならず、世論は「もはや西洋文化を崇拝する場ではない」と付け加えた。

「従ってわれわれは全ての文化的混乱を制御し、明るく健全で頑健かつ力強い人民中心の文化を築く必要がある」【8月31日 ロイター】
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【大連「日本街」営業停止】
でもって、今日の話題は大連の“小京都”をアピールした「日本街」。

****大連に「小京都」が出現 ネットで話題に=中国****
大連市に「日本街」が出現し話題になっている。これまでも、たびたび中国メディアでも「中国の日本街」が取り上げられているが、今回はかなり本格的なプロジェクトのことで、ネットで議論を呼んでいる。

このプロジェクトは、正確には「盛唐小京都プロジェクト」と名付けられ、45億元(760億円)もの費用が投資された一大プロジェクト。場所は、大連の中心街から車で一時間ほどの場所にある。

中国メディアの中財網の記事では、記者が取材した8月29日にも入り口には長蛇の列ができており、人気の観光スポットになっていると報じている。

一方、ネットではこの街に関する否定的な報道が相次いでおり、「日本のものしか販売できない商店街はどうなのか?」との疑問も提起されている。

このプロジェクトの担当者によると「日本のものしか販売できないことは決してない」と否定。「たしかに、日本からの様々な商品は販売されているがそれだけではなかった。実際、商店街の中には中国茶や、中国の伝統工芸品なども販売されている」と説明している。

この商店街は、その名のとおり「唐と京都の建築様式が融合した古い町並みを再現すること」と説明した。さらに、今後は日本の商品だけでなく、韓国やネパールの商品も販売する予定、と釈明している。

日本に自由に渡航できない今の状況下で、京都に来たような気分を味わえ、また日本の物も買えるということで、人気の観光スポットになっているようだ。【8月31日 Searchina】
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同様の日本の繁華街や商店街を再現した「日本街」は蘇州など各地にあるようです。

中国には「〇〇古鎮」と称する、古い街並みをアピールした観光地が全国いたるところにあります。その実態は土産物屋が並んでいるだけという感も。「日本街」もその「古鎮」の日本バージョンのようです。
ただ、「〇〇古鎮」が中国の歴史を反映している野に対し、「日本街」は・・・というところが問題。

もともと反日感情の強い中国で「日本街」・・・当然批判もあります。
ましてや、前述のように国家・党による「文化大革命」が進むこの時期となると、問題が起きない方が不思議なくらい。

中国共産党にとって、共産党支配の正統性の最大根拠は抗日戦争の遂行・勝利であり、その日本を模した街並みを中国につくるというのは、どうみても無事に済みそうにありません。

****京都再現の商業施設、中国で営業停止に 「日本文化の侵入」と批判****
中国遼寧省大連市の郊外で試験営業中だった日本の街並みをモチーフにした商店街が今月から、営業を一時停止した。多くの観光客でにぎわう一方、ネット上で「日本文化の侵入」などと批判する声があった。
 
商店街は「盛唐・小京都」と名付けられた日中の文化交流がテーマの開発地区にある。「唐代と日本の建築を融合した街並みをつくる」として2019年夏から段階的な整備が開始。地元政府も協力し、23年までに日本産の木材を使うなどした約1200戸の住宅と90軒の店舗の設置が計画されている。
 
先行して完成した300戸の住宅はほぼ完売。日本の家電メーカー専門店や北海道の物産店、日本料理店など29店舗が並ぶ商店街の一部が8月25日に街開きされ、多くの観光客でにぎわっていた。
 
だが、街開きについて報じた記事に対してネット上で「日本文化が侵入してきた」「かつて日本に植民された大連は国の恥を忘れるな」「中国人は中華街をつくるべき」などとの批判が上がった。これに対して「中日の古来からの友好交流をアピールする場所だ」「大連は東北アジア全域の窓口の都市として正常な交流をしている」「地元経済が発展して中国にとってもいい」などの反論が出て論争になっている。
 
商店街の関係者によると、こうしたネット上の論争や新型コロナウイルスの感染拡大防止策の影響で、9月1日から試験営業を一時停止。再開は決まっていないという。【9月2日 朝日】
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一方で、行列が出来るほどの大盛況だったことに、中国人の日本への関心の高さが伺えます。

****中国で賛否両論の日本タウン、中国人「入場制限するほどの人出だった」=中国****
遼寧省大連市にオープンした「盛唐 小京都」は、京都の街並みを再現した日本タウンだ。中国でもかなり話題となった「盛唐 小京都」だが、「日本による文化侵略ではないか」として賛否両論となり、営業を停止してしまったようだ。

中国の動画サイト西瓜視頻はこのほど、実際に「盛唐 小京都」を訪れたという中国人女性による動画を配信した。

配信者の中国人女性はまず、入口にある石に大きく「盛唐 小京都」と書かれていることに注目した。「盛唐」が先に書かれているので、あくまでも中心となっているテーマは古代中国の唐文化だと主張している。その後ろに「小京都」とあるが、京都は唐を模倣したものに過ぎず、当時の唐がいかに強大だったかを強調した。

しかし、中には入ってみるとそこはやはり「小京都」で、京都の街並みを再現しており、たこ焼きを売る店や焼き鳥を売る店、さらに日本の化粧品店や電気店など、日本関連の店が軒を連ねている。配信者は夕方に訪れたようだが、日本タウンの内部は非常に混雑していて、繁盛している様子が見て取れる。

また、大通りでは踊りのパフォーマンスも行われていたと紹介した。あくまで「唐文化」を強調していることになっているためか、着物ではなく唐の衣装を着たスタッフが踊りを披露している。日暮れ前に配信者は帰っているが、その時間にはあまりに来場者が多くなっていたため、すでに入場制限が始まっていたと述べており、いかに人気が高かったかを伝えた。

この動画に対し、「盛唐とは言っているが、中身は日本の要素だらけ」、「世界は大きく、よいものがたくさんある。中国にも多くの素晴らしい伝統文化がある。日本を選ぶ必要など全くない」、「なんて恐ろしいんだ。これはまさに文化侵略だ」などの否定的なコメントが多く寄せられていた。

中国のネット上ではやはり批判的な意見が多いようだが、このようなテーマパークは自国にいながらにして他国の文化に触れることができる存在であり、決して文化侵略ではなく、また排除すべきものではないはずだ。【9月3日 Searchina】
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【関心と警戒・嫌悪が入り混じる微妙な対日感情】
日本への関心の高さと日本への警戒感・嫌悪感の並存・・・微妙なものがあります。

****これが中国の現実だ! 「日系車は修理しやすい」と言っただけで炎上した中国人****
中国では、日系車は消費者に人気があるだけなく、「修理しやすい」という理由から自動車修理工からの評価も高い。

しかし、日系車を含めた日本製品を褒めるとネット上で炎上することがあるのは中国ならではの事情と言えるだろう。中国の動画サイト・西瓜視頻は30日、「日系車は修理しやすい、と言っただけでネットで叩かれた」と主張する自動車修理工の動画を配信した。

この修理工は、以前動画で「日系車は修理しやすい」と紹介したところ、ネット上で悪く言われたと苦情を述べている。一部の例外的な事例を引き合いに出し、日系車は品質が悪いと主張する中国人ユーザーがいて、その主張に便乗するユーザーも多数いたそうだ。他には、日本メーカーの回し者だ、などありもしないことで批判する中国人ユーザーもいたそうで、「日系車は修理しやすい」と言っただけで散々な目にあったようだ。

配信者はこれに対し、「自分が言ったのは一般論だ」と反論している。また、他人が叩かれているのを見て面白がって便乗する中国人が多いことを問題視し、車のことを何も知らず、日系車に乗ったこともない人が批判してくるのは納得がいかないとしている。最後に「日系車が、ほかの車よりも乗りやすく、修理しやすいのは本当のことだ」と締めくくっている。

本当のことを言っただけで叩かれた配信者は気の毒だが、中国のネット上ではよくあることだ。これに対して、「本当のことを話してくれる配信者を支持する」、「愚民の喧騒は気にするな」など、配信者を応援するメッセージが書き込まれていた。

他には、「日本に関するものを良く言うと叩かれる、これが中国の現実だ」という人もいたが、これが一番の理由かもしれない。本当のことを言っていても反論する人はどこにでもいるもので、一人ひとりが賢い消費者になるしかなさそうだ。【9月3日 Searchina】
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その一方で・・・・

****入場規制まで・・・新規オープンの日系コンビニに行列ができた理由=中国****
中国遼寧省大連市にこのほど開業した日本タウンに対し、中国では「文化侵略である」、「旅順からほど近い大連には相応しくない」など激しい反発の声があがっている。中国ネット上でも日本タウンに対する批判の声は止むことなく、沈静化にはまだまだ時間がかかりそうな状況だ。

だが、中国で日本関連のあらゆるものが排斥の対象となっているかといえば決してそうではなく、河北省に新しくオープンした日系コンビニでは長蛇の列ができるほどの繁盛ぶりのようだ。中国の動画サイト・西瓜視頻は8月28日、新しくオープンした日系コンビニの様子を撮影し、紹介した動画を掲載した。

動画では、日系コンビニを店外から撮影している。オープンした場所は比較的大きな商業ビルの1階で、周囲の他の店舗に比べて店内の「明るさ」は群を抜いていて、比較的離れた場所から見ても目立つに違いない。

そして、大勢の客が殺到したためか入場規制を行っているようで、入り口の場所から50人ほどが行列を作って入場を待っている様子が映っている。商業ビルの周囲にはさほど人はおらず、日系コンビニの前だけに人が大勢いる状況だ。

大連市の日本タウンに対しては批判の声が多い状況となっているものの、動画で紹介されていた日系コンビニのほか、各地の日系スーパーなどは現地の消費者から支持されているのが現状だ。動画に寄せられたコメントを見てみると、「日系コンビニやスーパーで売られている商品は信頼できる。偽物や海賊品、注水肉やメラミンミルクなどは売られていない」といった意見があった。

注水肉とは牛肉などに水を注入し、重さを「水増し」することで販売額を不当に引き上げるやり方で、中国で過去に大きな問題となったことがある。また、メラミンミルクとは乳幼児向けの粉ミルクに化学物質メラミンが混入し、大勢の乳幼児に健康被害をもたらした事件を指している。

日系スーパーやコンビニでは「質の良い商品を安心して買える」という点で支持されており、日本関連のあらゆるものが排斥の対象となっているわけではないことがわかる。【9月3日 Searchina】
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中国の若者の間では、日本の女子高生の制服風のファッション(JK制服)も流行しています。(これも、そのうち「精神日本人」としてやり玉にあがるのかも)
なぜだ! 中国人がJK制服を着ても「日本の女子高生とは何かが違う・・・」=中国【9月3日 Searchina】
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