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(【ロイター COVID-19 TRACKER】)
【日本の第5波収束傾向はワクチン接種の進展のせい?】
日本では新型コロナ第5波の感染者が急減しており、この状況を受けて緊急事態宣言とまん延防止等重点措置は今月末で解除される方針です。
*****緊急事態宣言 まん延防止措置 今月30日で全て解除の方針 政府*****
19都道府県の緊急事態宣言と8つの県へのまん延防止等重点措置について、政府は期限となる30日ですべてで解除する方針を固めました。
新型コロナウイルス対策で、東京や大阪など19の都道府県に出されている緊急事態宣言と8つの県に適用されているまん延防止等重点措置は、いずれも30日が期限となっています。
これについて、菅総理大臣は午後5時半すぎから総理大臣官邸で西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣ら関係閣僚と会談し、対応を協議しました。
その結果、期限の30日ですべて解除する方針を固め、与党側に伝えました。
政府は28日、こうした方針を感染症などの専門家でつくる基本的対処方針分科会に諮り、了承が得られれば対策本部で決定することにしています。(後略)【9月27日 NHK】
これについて、菅総理大臣は午後5時半すぎから総理大臣官邸で西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣ら関係閣僚と会談し、対応を協議しました。
その結果、期限の30日ですべて解除する方針を固め、与党側に伝えました。
政府は28日、こうした方針を感染症などの専門家でつくる基本的対処方針分科会に諮り、了承が得られれば対策本部で決定することにしています。(後略)【9月27日 NHK】
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緊急事態宣言等にもかかわらず、人流はあまり減っていないようにも見えますが、それでも感染者が急減している理由について、24日の東京都のモニタリング会議では専門家から、8月中旬ごろから「ワクチン接種を完了していない」、つまり感染リスクの高い人は、去年の4月ごろと同じくらい外出を自粛しているといったことも指摘されています。
****お盆以降、人出増加も感染“減少”…これまでと違う様相****
人出自体はお盆以降、増えているとの指摘があり、懸念されていました。しかし詳しく分析してみると、ちょっと違う様相がみえてきたといいます。
「東京の新規感染者数」と「東京の繁華街の夜間の滞留人口」…つまりレジャー目的で夜外出していた人の数について、これまでは『人出が減った後で、時間差で感染者も減る』ことを繰り返してきましたが、今回はちょっと違います。
宣言が出て人出は減ってきてはいるものの、お盆以降の新規感染者数は増加に転じています。専門家「気をつけてほしい」と注意喚起してきたのが、この傾向です。
この人出の内容について、年代や、ワクチン接種の有無を加味して分析したデータが出ました。人出の年代を調べて、その年代のワクチン接種の割合を掛け合わせると、8月中旬ごろから「ワクチン接種を完了していない」、つまり感染リスクの高い人は、去年の4月ごろと同じくらい外出を自粛していることがわかりました。
「ワクチン接種を完了していない人」の人出が下がっている間に、ワクチンの接種が進んだということもあります。ただ、先ほどの西田氏は「お盆明けに繁華街に出たのは、主に40代以上の中年世代が中心。ただ、その世代に接種が進み、感染者は減少したのではないか」「また『若い世代』が夜の外出を控えたことが感染を抑えることに繋がった」と分析しています。
つまりワクチンの効果、そして、接種してない若い世代も頑張って自粛し、感染者の減少に繋がったのではないかという分析です。(後略)【9月24日 日テレニュース24】
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ワクチン接種者の増加と未接種者の自粛で感染を減らせたとする見解のようです。
【ワクチン接種率82%のシンガポールでも感染拡大 行動制限一部再開へ】
新規感染者に占めるワクチン接種者の割合などの数字を知りませんのでよくわかりませんが、ワクチン接種が進んでいるにもかかわらず感染者が急増している国もあります。もちろん、ワクチン接種でその波が抑制されていることはあるのでしょうが。
シンガポールでは米ファイザー製か米モデルナ製ワクチンの接種が国民の8割まで進んでおり、行動規制も緩和されましたが、8月下旬から急速な感染拡大に見舞われています。
****接種済み8割でも増える感染 シンガポールは「共存」にかじを切った****
新型コロナウイルスのワクチン接種率が人口の8割と世界最高水準にあるシンガポールで、新規感染者が急増している。大半が接種の完了後でも感染する「ブレークスルー感染」だという。
ただ、2回の接種後なら重症化率は1%程度にとどまっている。企業に週1回の定期検査を求めるといった新たな対策により、感染状況の悪化を抑え込む考えだ。
シンガポールの1日の新規感染者数は8月下旬に100人を超えてから急加速し、9月13日に600人を超えた。直近の人口は550万~560万人程度とみられるため、日本なら約1万3千人の水準になる。
オン・イエクン保健相は10日の記者会見で、英国などの流行の分析から、この勢いが続けば「ピーク時に1日3200人程度になる可能性がある」と語った。
大人では接種した人がほとんどのため、感染者も多くはワクチン接種済み。9月7日までの28日間で感染した3千人余りのうち、約76%を占めた。1回接種が約8%、未接種は約16%だった。
ただ、重症化率はワクチン完了者で0・8%と非常に低く、1回のみの4・3%、未接種の6・1%と大きな差が開いた。
「厳しい行動制限に戻らなくても」政府の対策の柱は
シンガポールのワクチン接種は昨年12月に医療関係者などからスタート。今年2月から一般向けに本格化した。7月下旬には接種率が人口の5割を超え、8月末に8割に達した。政府は「世界で最も高い水準にある」と説明する。
国の公的接種では米ファイザー製か米モデルナ製が使われており、保健省によると、9月6日時点で約439万人が2回の接種を完了。さらに民間の医療機関で中国シノバック製などの接種を受けた人が約8万6千人おり、合計で人口の81%が2回の接種を終えた。年齢別では70歳以上が85%、12~39歳で88%、40~69歳は90%超という高水準だ。
シンガポールでは新型コロナの感染を防ぐため、外出時のマスク着用などが義務化されているほか、たびたび厳しい行動制限策が取られてきた。特に今年5月以降は、デルタ株の広がりを受けて断続的に外食禁止などの制限が続いた。
だが、接種率が高まったことを受け、政府はコロナとの共存策に転換。8月にはワクチン接種者に1組5人までの外食を認めたほか、屋台街でも1組2人までの外食を解禁した。酒類の提供は午後10時30分までで、それまでならふつうに飲み会なども開かれていた。
産業界の要望が強かった通勤についても、在宅勤務が不可能な人のみ出社を認める方針から、8月には在宅勤務が可能な業務でも50%までは出社を認める方針に切り替えた。
その結果、増えたのが新規感染だ。バスターミナルやショッピングモールなど人の集まるところで感染が急増。従業員の食堂など、マスクを外す環境で特に感染が広がったとみられている。
そこで政府は重症化しやすい人には3回目となる追加の「ブースター接種」を急いでいる。最初の接種から6カ月を超えている高齢者などを9月から始め、今後は他の年齢層にも拡大していく方針だ。老人ホームなどでは、一時的に入所制限も設ける。
これに加え、対策の柱に据えているのは、幅広い検査や徹底した接触者の追跡、迅速な隔離、そして密集を避けたり、手を洗ったりする市民の自主的な感染防止だ。
政府のコロナ対策の責任者を務めるローレンス・ウォン財務相は6日、こうした対策を進めることで「厳しい行動制限に戻らなくても、感染が抑えられると期待している」と語った。
検査の拡充は、無症状感染者を見つける狙いがある。8月下旬から全世帯に向けて迅速抗原検査キットの無料配布を進めており、立ち寄り先での集団感染が分かった場合などにすぐに検査するよう求めている。
さらに企業での検査も強化する。建設業などではすでに2週間に1回の従業員の定期検査が義務化されているが、対象業種を拡大し、頻度も週1回にする。その他の企業には、50%までの出社は認めるものの、約2カ月分の検査キットを配り、週1回の検査と結果の報告を求める方針だ。
接触者の追跡では、スマートフォンのアプリに加え、高齢者などに向けた専用端末を配布。両者を合わせた追跡アプリの普及率は9割を超えている。他人との接触を記録するほか、オフィスビルや飲食店などへの入館を記録していく。感染が分かった場合は濃厚接触者に連絡し、自主的に検査を受けてもらうほか、自宅での隔離などに臨んでもらう。
さらに政府は9月に入り、国民に対して「不要不急の外出は控えてほしい」との呼びかけを始めている。それでも今後2~4週間は感染状況を見守り、医療機関に余裕がある状況が続けば、外食禁止や出社制限などの強い行動制限はかけない方針だ。8日にドイツとの間で始まったワクチン接種者の隔離なしでの入国受け入れについても、予定通り続けるという。
背景にあるのは経済への危機感だ。強い入国規制や外出制限を敷いてきた結果、2020年の国内総生産(GDP)の成長率は、マイナス5・4%。日本などに比べても大きなマイナスになった。
2021年4~6月は前年の外出制限の反動でプラス14・3%。貿易産業省も8月、年間では6~7%のプラス成長との見通しを発表したが、今後、感染拡大が続いて外出制限が強まれば、下方修正を迫られる可能性がある。
このため、現地の産業界やメディアなどからは「行動制限に戻るべきではない」といった声が出始めている。ただ、政府幹部は「最終手段として、行動制限という選択肢は除外しない。今後さらに感染が拡大すれば再び強い制限に踏み切るしかなくなる」と説明している。【9月15日 朝日】
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上記は9月15日記事ですが、その後も感染拡大は止まっていません。
シンガポールでは以前、劣悪な住環境にある外国人労働者の大規模クラスターが発生しましたが、今回はワクチン接種も済んだ一般住民に感染が拡大しています。
****シンガポールの新規感染者数、過去最多更新 98%は軽症****
シンガポールで22日、新型コロナウイルスの新規感染者数が1457人となり、過去最多を更新した。直近の患者の約98%は無症状か軽症で、政府はこうした患者の大半を自宅療養に切り替え、医療体制が逼迫するのを防ぐ。
これまで1日あたりの新規感染者数が最多だったのは2020年4月20日の1426人だった。当時は感染者の9割超が専用寮に住む低賃金の外国人労働者だった。
今は外国人労働者の感染は全体の1割強にとどまり、大半が一般の住民だ。シンガポールは外国人を含む人口が約570万人で、日本の人口規模にあてはめると1日あたり3万人を超える感染者が出ている計算になる。(後略)【9月23日 日経】
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こうした事態に、シンガポール政府は行動制限再開に追い込まれています。
****一度緩めた規制、再び シンガポール、ワクチン8割も感染拡大で****
新型コロナウイルスのワクチン接種が人口の82%まで達しているシンガポールで、行動制限が再び強化されることになった。接種率の高まりを受けて8月にコロナ規制を緩和したところ、感染が急拡大。医療不足に陥る可能性が出てきたため、規制の再強化を迫られることになった。
9月27日から約1カ月間、外出時のグループの人数制限をいまの最大5人から最大2人に強める。官庁や企業は在宅勤務を原則とする。「難しい決断だった。市民の失望は理解している」。政府のコロナ対策の責任者を務めるローレンス・ウォン財務相は24日の会見でそう語った。
シンガポールのワクチン接種率は22日時点で人口の82%に達している。しかし8月下旬から感染拡大が加速。18日には1日1千人を超え、23日時点で1日1500人に達している。政府は今後2週間で6千人に達する可能性もあるとみる。
過去28日間の感染者約1万6千人のうち、97・9%は無症状か軽症。289人(1・8%)が酸素供給が必要な状況で、29人(0・2%)が集中治療室(ICU)に入院した。13人(0・1%)が亡くなった。
政府はワクチン接種済みの12~69歳の感染者については自宅療養を原則としている。一方で急な重症化に備え、地域の医療機関と連携し、既往症がある無症状や軽症の感染者が入所する施設の整備を進めている。
それでも患者の総数が増えれば重症者も増える。結果として医師や看護師などの負担も増えることから、行動制限で感染者の総数を抑える方向にかじを切る。
8月にワクチン接種者に1組5人までの外食を認めたほか、在宅勤務が可能な業務でも、50%までは出社を認めた。だが9月27日から10月24日までは外出制限の人数を2人に絞るほか、在宅勤務を原則とすることに戻す。職場に出る従業員については、週1回の自主検査を強く促す。行動制限の強化に対応して家賃の減免などの支援策も打ち出す方針だ。
ブースター接種も広げる。すでに60歳以上の接種を始めているが、これを50歳以上に拡大する。
一方でウォン財務相は「ロックダウンには戻らない」と強調。行動規制の強化は、新規感染の増加が医療不足を起こさない水準に落ち着くまでの措置だとして「もはやかつてのような少ない感染者に抑えることはしない。それは不可能だ」と述べた。【9月24日 朝日】
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シンガポールは新型コロナの感染が広がりはじめた2020年1月から入国制限措置を取り、徹底した追跡、監視システム、都市封鎖(ロックダウン)で早期抑え込みに成功した国の一つとされてきた。
ワクチン接種率も世界トップレベルを誇る。
ただし、市中感染をゼロまで抑え込む「ゼロコロナ」に関しては、8月にリー・シェンロン首相が「現実的ではない」と指摘し、「ウィズコロナ」への転換を示した。
これを受けて保健省は新型コロナを「パンデミック」(世界的大流行)から限られた範囲での流行である「エンデミック」にするための行動計画を進めている。しかしオン・イエクン保健相は今月24日の記者会見で「新型コロナの変異株デルタが我々の計画を許してくれない」と話し、苦戦している様子だった。【9月27日 毎日】
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【「ウィズコロナ」に必要な“覚悟”】
「ゼロコロナ」を断念して「ウィズコロナ」へ。
しかし、その「ウィズコロナ」もワクチン接種だけでは難しい面もあるようです。
行動規制だけでなく、ブースター接種、全世帯に向けて迅速抗原検査キットの無料配布、企業での検査強化、追跡アプリの活用(日本ではいつのまにか消えてしまいましたが)などの対策は、日本も参考にできる取り組みでしょう。
(ブースター接種すればどうかはわかりませんが)これまでのワクチン接種だけでは感染拡大は止められない・・・というのは、シンガポールの事例が示す教訓です。
しかし、一方で98%は無症状か軽症というように、ワクチン接種で重症化・死亡は大幅に軽減できるのも事実です。
日本について言えば、いつまでも自粛を続けて行くわけにもいきませんので、ワクチン接種を更に進めてワクチンパスポートなども活用した「ウィズコロナ」へ舵を切る必要があるでしょう。
ただ、その際、シンガポール、あるいはイギリスの事例が示すように、ある程度の感染拡大はやむを得ない、それに伴って若干の死者増加もあると“腹をくくった”覚悟が必要です。
多少の感染拡大でうろたえて、すぐに自粛というタコつぼに戻るのではなく、重症者や死者の動向を慎重に見極め、一定にリスクは受容していく・・・そういう方向性を政治化・マスメディアには示して欲しいのですが・・・リスクを極端に嫌う「安心安全教」の日本では無理かな。