演歌歌手の氷川きよしは、随分と人気があるようです。うちの奥様も大ファンで、新宿コマ劇場や中日劇場などの公演にも出かけていきます。最近、CDの新譜「浪曲一代」も手に入れてご満悦の様子。演歌(歌謡曲)とジャズはあまり結びつかないようですが、日本民謡や童謡のジャズ化の例はあります。「月の砂漠」を聴いてみます。
LEE MORGAN (リー・モーガン)
THE RUMPROLLER (BLUENOTE 1965年録音)
このアルバムは、加藤まさを(作詞)と佐々木すぐる(作曲)により作られた童謡「月の砂漠(Desert Moonlight)」を取り上げている、リー・モーガン(トランペット)の人気盤です。この童謡を収録したきっかけはわかりませんが、ジャズ・メッセンジャーズで来日しており、その際に原曲を聞いたのかもしれません。表記はリー・モーガン作となっています。
メンバーは、モーガン(トランペット)、ジョー・ヘンダーソン(テナー・サックス)、ロニー・マシューズ(ピアノ)、ビクター・スプロールス(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)です。マシューズは、気に入っているピアニストですが、「Desert Moonlight」のソロが聴かせてくれます。
曲目が面白く、ヒット曲「The Sidewinder」と同趣向でヒットを狙ったと思われるジャズ・ロックの「The Rumproller」や「Eclipso」、そして「Desert Moonlight」、W・ショーターの「Edda」、「The Lady」という5曲でバラエティに富んでいます。
「Desert Moonlight」は、2管のハーモニーと「タッタター」という軽快なリズムでエキゾチックな味わいが出ているテーマ部がかっこいいし、三人のソロも快調です。ボサノヴァ・タッチで始まる「Eclipso」では、ヘンダーソンに次いでモーガンが吹きまくります。バラードの「The Lady」を終曲に持ってきて、最後まで聴きどころの多い作品。