今年の春は花粉の飛散が多いようですが、私も鼻づまり、目がかゆいなどの症状を覚え、薬を飲んでいます。春はいろいろな面でスタートの季節ですが、このごろは花粉症でちょっと憂鬱な季節でもあります。そんな気分をいささかでも晴らしたいと取り出したアルバムです。
IKE ISAACS (アイク・アイザクス)
AT THE PIED PIPER (R.G.B. 1967年録音)
アイク・アイザクスはベース奏者で、レイ・ブライアント(ピアノ)・トリオの一員としての録音がありますが、本作品は唯一のリーダー・アルバムです。しかし実際には、ジャック・ウィルソンのピアノ・トリオ作品としてみられることが多いように思います。
メンバーは、アイザクスにウィルソン(ピアノ)、そしてジミー・スミス(ドラムス)です。曲目は、「Impressions」、「Mercy, Mercy, Mercy」、「I'll Drown in My Own Tears」、「Soulin'」、「Walk on By」、「Red "I"」という6曲で、傾向の異なるものを配した興味深い選曲です。
注目はジャック・ウィルソンのピアノです。彼のトレードマークともいうべき、右手のスピードに乗った起伏のあるラインは爽快感があって、たまに聞きたくなります。本盤では、モードで演じまくるコルトレーン作の「Impression」で本領発揮です。それに対して「Soulin'」は、ピチピチとしたタッチで楽しい演奏ではあるものの、新しさはあまり感じられません。
また、「I'll Drown in My Own Tears」はかなりソウルフルで、ジャック・ウィルソンにしては珍しい。彼は優れた個性的なピアニストで、忙しいと感じる時もありますが、たまに聞くとスカッとした気分になります。結果的に、アイク・アイザクスは脇役になってしまいました。