ピアニストのハンク・ジョーンズが、5月16日に亡くなりました。91歳でした。ご冥福をお祈りします。バド・パウエルとともにテディ・ウィルソンやアート・テイタムにも通じるプレイは、繊細で穏やかさが感じられます。わき役としても多くのセッションに起用されて、ミュージシャン仲間の信頼も厚かったのではないかと想像します。つい最近まで活動を続けていたのが驚異的です。
HANK JONES (ハンク・ジョーンズ)
THE RHYTHM SECTION (EPIC 1956年録音)
ハンク・ジョーンズは、1918年の生まれで、活動歴が半世紀を軽く上回っています。アルバムも多数に上っており、僕が聴いたのは、主として50~60年代のサヴォイやアーゴレーベルへの録音でしたが、70年代以降の「ハンキー・パンキー」やグレイト・ジャズ・トリオ名義のものも時に楽しませてもらいました。
この作品は、当時、サイドメンとして録音によく起用されるメンバーを主役に据えたものです。ジョーンズ(p)、バリー・ガルブレイス(g)、ミルト・ヒントン(b)、オシー・ジョンソン(ds)という協調性に富んだメンバーで、それぞれの楽器が3曲ずつフューチャーされますが、ピアノ中心です。
全12曲で「Hallelujah」、「Polka Dots and Moonbeams」、「Do Nothin' Till You Hear From Me」、「Ruby, My Dear」といったスタンダード曲は主にピアノが演奏し、他の曲はフューチャーされるメンバーが自ら作っています。B・ガルブレイスやM・ヒントンの珍しいソロ・プレイが聴けるのも貴重。大きめの音で聴きました。
ハンクの自然で温和な和音や、分離のいい単音をきいていると素直に心地よくなります。「Hallelujah」、「Polka Dots and Moonbeams」などがそれにあたります。B・ガルブレイスが、チャーリー・クリスチャン直系のスリルあるソロをとる「They Look Alike」などバラエティに富んだ作品です。そして、英文字でデザインされたジャケットはたいへん目立ち、LPを手放せません。