安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ディー・ベル SAGACIOUS GRACE 

2012-07-08 17:50:18 | ヴォーカル(A~D)

この土日は、両日とも仕事と飲会で、動きがとれませんでした。そこで、普段では長時間でなかなか鑑賞できない「マイ・フェア・レディー」(DVD)を借りてきました。オードリー・ヘップバーン主演の超有名作品ですが、フレデリック・ロウ作曲の素晴らしいメロディが詰まっています。「運が良けりゃ」や「時間どおり教会へ」は、イライザの父アルフレッドがユーモアたっぷりに歌う、愉快な歌です。「Get Me To The Church On Time」(時間どおり教会へ)では、「ディンドン鐘が鳴る(Ding, dong, the bells are gonna chime)」という部分のメロディーは、特にフェイヴァリットです。ほとんど関係ありません((笑)が、Dee Bellの歌を聴いてみます。

DEE BELL (ディー・ベル)
SAGACIOUS GRACE (LASER 1990年録音)

  Sagaciousgracedeebell

これは、ディー・ベル(vo)の3枚目のアルバムで、2011年にリリースされていますが、なんと録音から20年経って、陽の目を見た稀有な例になります。ざっとライナーを見ると、その原因は、歌や演奏内容にあったのではなくて、技術的な問題で、ひずみがあって発売が見送られたようです。その間の技術的進歩、あるいは、いい技術者に巡り合えたのか、ようやく2011年に発売されました。

彼女の前2作は、1作目がスタン・ゲッツ(ts)、2作目がトム・ハレル(tp)が参加していますが、コンコード・レーベルらしい穏やかなアルバムです。こちらは、ちょっとソウルフルな味もあって、彼女の本来の資質がそうなのかもしれません。伴奏は、Al Plank(p)、ヒューストン・パーソン(ts)、ジョン・ストウェル(g)、John Wiitala(b)、Colin Bailey(ds)、Michael Spiro(percussion)。テナー・サックスのヒューストン・パーソンが加わっているのにはびっくりしました。編曲は、Al Plankがやっています。

曲は、ミシェル・ルグランの「Watch What Happens」、「You're My Thrill」、「I Remember You」、「Comes Love」、「If Dreams Come True」、「I'll Never Be The Same」といったスタンダードに、ジャズ・オリジナルにディー・ベルが詞を付けた「Isfahan」(ビリー・ストレイホーン)、「The Peacocks」(ジミー・ロウルズ)、「You Can't Go Home Again」(D・セべスキー)、そして「Dear Bix」(D・フリシュバーグ作)で全10曲。

前2作と異なり、ベルのややソウルフルがかった歌が聴けます。声の質も、陰影に富んだ所謂スモーキーなものです。はじめの曲「Watch What Happens」は、スケール感もあって引き込まれますし、軽めに歌う「You Can't Go Home Again」や思いきってスイングした「I Remember You」などいいのですが、自作の詞によって歌う「Isfahan」は、意気込みは特筆すべきですが、長くてやや重く、退屈気味。ジャジーなコンボ伴奏もあり、総じては楽しめるアルバムです。

久しぶりにホームページを更新し、ディー・ベル(ヴォーカル)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ディー・ベル

【マイ・フェア・レディ】
このミュージカルを素材として、アンドレ・プレヴィンやオスカー・ピーターソンなどもアルバムを作っています。スタンダードのパレードは壮観ですが、おなじみの曲を挙げてみます。
「Wouldn't It Be Loverly?」(素敵じゃない?)
「With A Little Bit Of Luck」(運が良けりゃ)
「The Rain In Spain」(スペインの雨)
「I Could Have Danced All Night」(一晩中踊れたら)
「On The Street Where You Live」(君住む街角」)
「Get Me To The Church On Time」(時間どおり教会へ)
「I've Grown Accustomed To Her Face」(忘れられないあなたの顔)

  Myfairladydvd